ワコムは、同社が主催するクリエイター向けセミナー「Wacom Creative Seminar」の1周年を記念して、スペシャルセミナー「Wacom Creative Seminar Special」を開催した。本レポートでは、「Intuos」によるライブペインティングを披露したイラストレーターの山下良平氏によるセッションの様子をお伝えする。

マウスの限界を感じ、ペンタブレットユーザーに

学生時代は路上でイラストの活動をしていたという山下氏。その時の出会いがきっかけで上京することとなり、2002年からイラストレーターとして活動している。コンペなどで自分の活動をアピールしているうちに縁があり、ナイキをはじめとする有名企業との仕事に携わることができたそうだ。

ナイキとの仕事に携わった頃について語る山下氏

山下氏は、手描きの作品からソフトウェアで編集したグラフィックまでを手掛けている。アナログとデジタルの使い分けについては、「一点モノの作品を作るアートワークの場合はデジタルで制作し、アナログで仕上げる。逆にクライアントワークの場合には、アナログで描いたものをデジタルで仕上げていく」と、その秘訣を語った。

同社のペンタブレット「Intuos」を初代から使っているという山下氏。ペンタブレットを使い始めたきっかけは、均一な線しか引けないマウスの限界を感じたことだったという。同氏は最近まで「Intuos3」を使っていたといい、今回発売される新製品の「Intuos5」は、右手で描きながら、左手でスクロール、ズームインズームアウトというタッチ機能が直感的にできるため、大変便利とのことだった。

「Intuos」ならではの、臨場感溢れるライブペインティング

ここからは、山下氏によるライブペインティングの様子を画像とともに紹介しよう。

まずは下地から描き始める。今回はオレンジを選んだ

いつも一番奥の景色から描いていき、徐々に手前に移っていくそうだ。空と森を、不透明度70%程度で描き分けていく。同氏は暗いものから明るいものへ取り掛かる癖もあるとのこと

コピー&ペーストで水面に映ったように描く。指先ツールで水面の波を表現

岩を描き、その上から覆い焼きツールで白っぽい光を表現。覆い焼きは、Photoshopに備わるありがたい機能のひとつだ

次に人物。投げ縄ツールで人物を描く。人物の服のしわなどは指先ツールで作る。コピーアンドペーストで水面に移す。指先ツールで反射させる。ズームして水しぶきを作る

最後に木漏れ日の光が強めにさす様子を描く。濃度をハードライトにし、明るさを調整して完成

今回の絵のテーマは「躍動感」だという。一連のワークフローを披露し終えた山下氏は「人物を大胆に描き、光で明るく照らす。これが自分らしさ」と自身の作風についても語ってくれた。