【レポート】
新エネルギーに関するさまざまな製品や技術、素材などを扱う展示会「スマートエネルギーWeek 2012」が2月29日から3月2日までの3日間、東京ビッグサイトにて開催された。同展示会は、「第8回 国際水素・燃料電池展(FC EXPO 2012)」、「第5回 国際太陽電池展(PV EXPO 2012)」、「第3回 国際二次電池展(バッテリー ジャパン)」、「第3回 太陽光発電システム施工展(PVシステムEXPO 2012)」、「第3回 量産試作加工技術展(エネテックジャパン 2012)」「第2回 エコハウス & エコビルディング EXPO」、「第2回 国際スマートグリッド EXPO」の計7つの展示会で構成される総合展示会となっているが、今回は、PV EXPO 2012を中心にレポートする。
日本における太陽光発電に関する展示会としては、3カ月前に「PV Japan 2011」が開催されてから、それほど時間が経過していないことから、今回のPV EXPOではPV Japanと重複する展示内容が一部で見られた。一方で、太陽光発電による電力の固定価格買取を義務付ける「再生可能エネルギー特措法」の施行が4カ月後の2012年7月に迫っていることから、固定価格買取制度の開始を睨んだ出展内容が多く見られた。特に停滞気味の欧州市場に対して、日本市場の成長への期待が高まっていることから、中国、韓国、台湾といった東アジアを含めた海外メーカーの出展が目立った。
東日本大震災以降の電力供給不安への対策として、太陽光発電で作った電力をいかに使うかということに着目し、蓄電システムを含めたトータルソリューションの電力システムとして、スマートグリッドを意識した提案が目立った。また、蓄電システムについては、鉛蓄電池からリチウムイオン電池への過渡期にある。鉛蓄電池との比較で、リチウムイオン電池は大容量化に優れ、産業用途ではリチウムイオン電池の導入も進んでいるが、住宅用途ではコストが合わないという。今回の展示でも、住宅向けには、鉛蓄電池の蓄電システムとリチウムイオン電池の蓄電システムとの並列展示があり、リチウムイオン電池の蓄電システムは参考出展となっている出展社があった。
パナソニックは、太陽電池、リチウムイオン蓄電池ユニット、パワーステーションを組み合わせた「住宅用創蓄連携システム」を出展した。パワーステーションは、太陽電池用パワーコンディショナと蓄電池用パワーコンディショナを一体化したシステムで、太陽電池とリチウムイオン蓄電池を連携させ、停電時だけなく平常時も電力を最大限に活用する。
例えば停電時には、日中であれば、太陽光発電の電力を利用しながら余剰分を蓄電池へ蓄え、夜間などに利用する。なおパワーステーションの出力は5.5kW、リチウムイオン蓄電池ユニットの蓄電容量は4.65kWhとなっている。
また、太陽光発電からの自立運転用に住宅用リチウムイオン蓄電池システムを参考出展した。太陽電池で発電した電気を独立した電源として蓄えておき、停電時に卓上照明、ポータブル機器などの電源として活用する。蓄電容量は既存の鉛蓄電池システムの0.96kWhから1.6kWhに向上し、出力電力120Wでのバックアップ時間も鉛蓄電池の最大3時間から最大6時間に延長している。
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パナソニックの「住宅用創蓄連携システム」。パワーステーション(左)とリチウムイオン蓄電池ユニット(右) |
パナソニックの「住宅用蓄電システム」。リチウムイオン蓄電池ユニット(左)と鉛蓄電池ユニット(右) |
京セラは、太陽光発電連携型リチウムイオン蓄電システムを出展した。蓄電システムはニチコン製で、蓄電容量7.1kWhの大容量タイプ。2012年夏より、京セラの太陽光発電モジュールおよびエネルギーマネージメントシステムと組み合わせた新システムとして販売を開始する予定。
太陽電池市場のさらなる拡大を睨んで、パネルメーカー側もいかに運用していくかに力点が移っているように見える。そのためか、太陽電池セルの発光効率を競うような展示は以前よりも少なくなった。その中では、今回、シャープと京セラがセルの高効率化について展示を行った。
シャープは、次世代BLACKSOLAR高効率化技術を参考出展した。セル裏面のP層とN層の数を増やし、電極の数を増やすことで高効率化を実現している。出力は、セルを42枚配置したモジュールで現行の170Wから190Wまで向上している。なお、さらに高効率化を進め、195Wまではめどが立っているという。また単結晶Siウェハの厚さは従来の1/3になっているため、電極を増やしても製造コストは低減できている。
京セラは、変換効率17.8%を達成した多結晶シリコン太陽電池セル「Gyna」を出展した。キャリアの再結合を防ぎ、高出力化を実現した。同セルを用いた公共産業用モジュールは出力330Wを達成している。2012年4月より量産を開始する予定。固定価格買取制度の開始を睨み、まずは住宅用に展開していくという。
結晶Si系および薄膜Si系がメガソーラーや住宅向けへの導入を進めているのに対し、有機系などは意匠性を活かした提案が見られた。
京セミは、球状太陽電池「スフェラー」のFRPボディ一体成型技術として、タケオカ自動車工芸の電気自動車「T-10」を出展した。同車のボディに約30Wのスフェラーを一体成型したもの。自動車へ太陽電池パネルを装備する場合は、平らな天井部などに限られていたが、スフェラーは構造体に一体化することで、ボディの曲面でも発電が可能となっている。全方位からの光をキャッチすることで、走行中および駐車中に太陽の位置に関わらず発電できる。発電した電気は12V系のサブバッテリーに蓄え、LEDヘッドライトやウインカー、ワイパーなどの電源として活用し、電気自動車の走行距離の向上にも貢献する。
コナルカは、旭硝子との共同開発品として、「シースルー太陽光発電Low-Eペヤ・モジュール(仮称)」を参考出展した。コナルカの太陽電池セル「POWER PLASTIC」と旭硝子の複層ガラス「サンバランス」を組み合わせたもの。POWER PLASTICは透視性を有する有機薄膜系の太陽電池セルで、フレキシブルかつ軽量で自由な変形が可能となっている。一方、サンバランスは窓外側ガラスの乾燥中空層に接する面に、熱放射を遮断する特殊金属膜(Low-E膜)をコーティングしている。両者を組み合わせることで、PVモジュールによる太陽光発電とLow-Eペヤによる断熱を同時に行う。単板のガラスにフィルムモジュールを張り合わせており、軽量となっている。
東リは、太陽電池ロールスクリーン「ETERIOR スクリーン」を出展した。遮光用のロールスクリーンにフィルム型アモルファス太陽電池を一体化したもの。日差しの強い窓に設置することで、遮光しながら発電する。最大で幅は1000mm、縦は1800mm。太陽電池は同社でモジュール化を行っている。
今後の販売展開で、まずはコンビニエンスストアでの利用を想定し、営業活動を注力するという。東日本大震災の時の混乱から、今後のコンビニエンスストアは災害時の避難・補給ステーションとして期待されており、ある程度の発電設備を備えておくことが必要になる。同社のETERIORは既存の窓に設置するだけで、容易に発電機能を付加できるため、太陽光発電設備を備えていないコンビニエンスストアでも後付けで容易に発電が可能になるという。
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