スペイン・バルセロナで開催された、世界最大のモバイル見本市「Mobile World Congress 2012(MWC 2012)」で、米Google会長であるEric Schmidt氏が基調講演を行った。同氏の講演は、デジタルデバイドやネット検閲が中心であったが、Android OSに関しても言及した。

Eric Schmidt氏(左)とデモを行ったモバイル担当プロダクトマネージャーのHugo Barra氏

「Chrome for Android」ではChromeとAndroidチームがコラボ

MWC 2012の会期中、最新OS「Android 4.0(Ice Cream Sandwich)」を搭載したスマートフォンが各社から発表されたが、Schmidt氏は最初に、2月にリリースしたばかりの「Chrome for Android」を紹介。Hugo Barra氏が、Android 4.0を搭載したリファレンス機「Galaxy Nexus 」を利用してデモンストレーションを実施。高速な検索機能、モバイル向けに工夫したタブや同期などの機能をアピールした。

Web検索などの機能を備えたアドレスバー「Omnibox」に入力を開始すると、候補をいくつか提案してくれる。バックグラウンドで読み込みを開始しているため、最上部にある候補をクリックすると、1秒未満でページが開く。Barra氏は「事実上、読み込み時間はゼロ」とアピール

リンクを拡大表示する「Link Preview」のデモ。リンクがたくさん張られているサイトでも、スムーズにリンク先を確認できる

タブも大きな特徴となる。タブは無制限に開くことができる上、縦に並べてトランプのように表示画面を調整できる。横へのスワイプで削除することも可能

Barra氏によると、ChromeとAndroidはGoogleがこれまででもっとも大きな投資を行ったプロジェクトであり、Chrome for Androidで初めて2つのチームが協業したという。開発目標は、「高速なモバイルブラウザ、クリーン、簡単なナビゲーション」とのことだ。

低価格化によりAndroidはさらに広がる

Schmidt氏は「すべての人のポケットにAndroidが入る」と、Android端末のさらなる普及について言及。また、端末の価格については、「70ドルラインが臨界点」と見ているようだ。「今年400ドルのスマートフォンは、来年には100ドルになる」と述べ、現在、多くのメーカーが100ドル~150ドルの価格帯を目指していると明かした。「70ドルまで下がると、まったく新しい巨大な市場にリーチできる」とSchmidt氏は説明する。また、現在、毎日85万台のAndroid端末がアクティベートされていることも報告。累計3億台を出荷したという。このような規模は「かつてないレベル」と述べた。

会場からAndroid OSを採用しながら、Googleサービスを利用していないメーカーがある問題について聞かれると、「Androidはオープンソースなので可能、そのような行為は想定内だし、問題ではない」と返した。「選択は自由で、われわれは強制しないし、提訴もしない。ユーザーからのプレッシャーを受けて、Android MarketやGoogleパッケージを利用してエコシステムに加わってくれることを望む」とも述べた。

Schmidt氏はこのほか、Android 4.0をすべてのデバイスで動くようにし、Android Marketを強化するなど、「今年はAndroidのエコシステムを拡大する戦略だ」と述べた。

(記事提供: AndroWire編集部)