コンパクトデジカメを選ぶ際、重視されるであろう要素はいくつかあるが、普段から写真を撮り慣れている人がことさらこだわるのが「レンズ」である。その点で、がぜん注目されるのは伝統の「LEICA(ライカ)」ブランドを冠したレンズを搭載する「LUMIX(ルミックス)」シリーズ。このたびそのLUMIXに、光学20倍ズームモデルの「DMC-TZ30」が登場することとなった(3月8日発売予定)。

そこでここでは、35mmフィルム換算で24~480mmをカバーするLEICA DC VARIO-ELMAR(バリオ・エルマー)レンズを採用し、さらに、なめらかなAVCHD Progressive動画(フルハイビジョン・60p)に対応する高い動画性能と地図付きのGPSまで搭載という、まさに"全部入り"ともいえる本機のレビューをお届けしよう。

「LUMIX DMC-TZ30」。これほどの機能が詰まっているとは思えないコンパクトなボディ。グリップは指がかりが良く使いやすい

まずはいつものように外観から。サイズはいつものスリムなLUMIXで、このコンパクトなボディの中に本当に20倍ズームレンズが格納されているのか疑いたくなるほど。だって、考えてみてくださいよ。センサーサイズの違いこそあれ、もし24-480mmの交換レンズなんてものが存在したらどれほどの大きさになるのかを……!

左側に見えるのが電源スイッチ。その上(この写真では下)は動画の録画開始・停止ボタン

撮影モードダイヤルの「M」「S」「A」からマニュアル撮影も行えることが分かる。Lマイクの下にあるのは、GPSの動作ランプ

ボディ各所はパナソニックらしい真面目で丁寧な作り。クロームのボディフレームや削り出しのボタン、ダイヤカットされたモードダイヤルなど、男性には特に好まれそうな高級感がある。でも、こういうカメラを持ち歩く女性もカッコイイ(個人的趣味丸出し)。ステレオマイクの装備も、AV機器メーカーらしく抜かりはない。どんなに映像(動画)がキレイでも、音がショボければ台無しだもんね。

右上に見えるのが撮影・再生モード切り替え用のスライドスイッチ。液晶モニターがタッチパネル式なこともあり、ボタン類は少なめ

バッテリーの寿命はCIPA規格で約260枚と、かなり心許ない。高速連写やムービー撮影などの機能を使うなら、予備バッテリーは必須だ

電源スイッチがボタンではなくスライドスイッチなのは、鞄やポケットの中で誤って押されてしまわないための配慮だろうか。ただし、手袋をした状態などでは操作しにくいので、そういう使い方には向いていない。また、撮影モードと再生モードをスライドスイッチで切り替えるという(やや懐かしい)仕様のため、再生画面からレリーズボタン一発で撮影に復帰できない。このせいで、シャッターチャンスを逃してしまうことが幾度となくあった。これは改善を希望する点だが、このように「モードがしっかりと分かれていた方がわかりやすい」という人も、もちろんいるだろう。購入を検討される際は、ぜひ店頭で使ってみていただきたい。

HDMI端子とUSB端子を装備。USBはPCとの接続のほか、充電時にも使用。USBケーブルとUSBコンセントが付属する

TZ30は、前身の「TZ20」に引き続き、GPSを搭載している。しかも今回は、新たに地図が搭載された。地図のスケールは1/25,000と詳細なので、かなり詳しく撮影地を確認できるのが嬉しい。ただ、GPS波を常にキャッチ・更新しているようではないようだ。

同梱のDVD「LUMIX Map Tool」には90以上の国や地域の詳細地図データを収録

また、移動中(電源オフ時)に自動的に移動ログを拾う機能もなく、地図もシンプルなので、観光や移動の手引きとして使うことは想定されていないと思われる。これはあくまでも、撮影地点の確認のための地図なのだろう。それでも、最寄り駅への道順確認などには十分役に立つし、当機は背面液晶にタッチパネルを採用しているので、タッチで地図を操作できて快適だ。なお、この地図はカメラ本体には搭載されず、製品に同梱のDVDから使用するSDカードに地図データをコピーして使用する。

写真の撮影地点情報を日本語で表示させることが可能。ランドマークを自分で入力、追加することもできる

GPSの現在地情報が更新されない場合(意外と多い)は再測位(測位更新)をすることとなるが、筆者の使用時はこの測位に5分以上掛かることもあった