シトリックス・システムズ・ジャパンは24日、都内のホテルで2012年の戦略発表会を開催。2012年のビジョンや方向性のほか、今年リリース予定の製品をいくつか紹介した。

シトリックス・システムズ・ジャパン 代表取締役社長 マイケル キング氏

シトリックス・システムズ・ジャパン 代表取締役社長 マイケル キング氏は、「2011年はシトリックス・システムズ・ジャパンにとっても、ワールドワイドのシトリックスにおいてもすばらしい年であった。シトリックス・システムズ・ジャパンは、世界のシトリックスの中で成長率がNo.1になったほか、シトリックス オンライン サービスは、ワールドワイドで、対前年比18%の成長を遂げ、売り上げが4億2,700万ドルになっている。このサービスは日本ではまだ展開していないが、今後情報を提供する予定だ。また、XenDesktopは、仮想デスクトップでダントツのリーダーであり、Citrix Recieverは15億のデバイスに対応している」と、同社の業績が順調に推移している点を強調した。

そして同氏は、現在の日本企業においては「モビリティの課題」、「企業向けクラウドの進化」、「クラウドサービスの構築」が大きなテーマになっており、今後は特定のクラウドサービスに縛られることなく、パブリッククラウドとプライベートクラウドを融合していくことが重要になるとした。そして、「すべてのサービスがクラウドサービスになる」と述べた。

同氏は日本における2012年の戦略について、「モバイルワークスタイルの実現とクラウドサービスの拡張を可能にするソリューションを提供し、どこにいても仕事が融合的にできる環境を届けたいと思っている」と述べ、そのために「デスクトップ仮想化とモバイルワークスタイルにおけるリーダーシップ拡大」、「クラウドサービスの強化」、「お客様、パートナーへの価値向上」の3つの活動に注力していくという。

日本における2012年の戦略

「デスクトップ仮想化とモバイルワークスタイルにおけるリーダーシップ拡大」では、「VDI-in-a-Box」、「Citrix AppDNA」、「Mobilizing Enterprize Apps」という製品を、「クラウドサービスの強化」では、「Citrix NetScaler」「Citrix CloudStack」製品を新たに提供。「お客様、パートナーへの価値向上」では、トレーニングや教育に注力し、シトリックスユーザーグループコミュニティを開設するという。

ユーザーグループコミュニティを開設

XenDesktopが大規模なエンタープライズ向けの製品であるのに対し、「VDI-in-a-Box」は、中堅・SMB、あるいは大企業の部門向けの仮想デスクトップ製品。サーバ1台でVDIの提供に必要な機能を網羅し、ユーザーの追加は、サーバを追加することにより行う。そのとき、コンフィグレーションは自動的に最適化されるという。機能をVDIのみに絞ることで価格を抑えており、XenServer、Hyper-V、ESXなどの各ハイパーバイザに対応する。出荷開始は4月1日を予定している。

XenDesktopがとVDI-in-a-Boxのターゲットユーザーの違い

MVDI-in-a-Boxは、HDXテクノロジに対応し、ユーザーの追加は、サーバを追加することにより行う

「Mobilizing Enterprize Apps」は、メインフレームやC/Sなどですでに構築済みの業務システムをモバイル対応するための製品群。1つは、XenApp 6.5 Mobirity Pack(無料)で、この製品をXenAppに入れると、Windowsの画面をタブレットライクなUIに変更できる。

XenApp 6.5 Mobirity Packの導入前(左)と導入後(右)

また、「Mobile Application SDK for Windows」(無料)というSDKも提供。この製品では、モバイル対応に特化した50以上のAPIを提供し、タッチインタフェースや自動デバイス検出、モバイルデバイスの保有機能へのアクセス機能などを提供する。このAPIを利用すると画面解像度の違いをアプリケーション側で変更する必要がなく、Citrix Receiverが吸収し、モバイルデバイスのGPSのマップ機能、カメラなどの機能を、既存のアプリケーションと連動させながら利用できるという。

「Mobile Application SDK for Windows」

「Mobile Application SDK for Windows」を利用したアプリの例

「Citrix AppDNA」は、OSやブラウザ、物理から仮想などのマイグレーションをサポートするツールで、影響の洗い出し、移行プランニング、アプリケーションの復旧とパッケージの自動化などを提供する。この製品は今年の下半期に提供する予定だという。

「Citrix AppDNA」

また、Citrix Receiverのアップデートも行い、作業中の環境がデバイスや場所を変えても継続的に利用できるように機能強化するという。このバージョンでは、ファイルの閲覧、編集、保存、共有のほか、リモートからの削除もサポートする。このアップデートは、今年の下半期に行われる予定だ。

「Citrix Receiver with Follow-Me Data」

Citrix NetScalerは、Webサーバやデータベースサーバのフロントエンドとして、ロードバランスとコンテンツスイッチング、コンテンツの圧縮とキャッシュ、SSL処理、ネットワークの最適化などを行う製品として提供されているが、今後、オンデマンドのクラウドサービスとして提供する予定だという。提供は第1四半期を予定している。

「Citrix NetScaler」をサービス化

そして、「Citrix CloudStack」は、プライベートクラウドを業務のピークにあわせて、Amazonようなパブリッククラウド上に拡張できる機能。マルチハイパーバイザ対応で、Citrix NetScalerと連携し、ネットワークも制御するという。この製品の提供は第1四半期を予定している。

「Citrix CloudStack」