【レポート】

日本科学未来館の常設展示メディアラボの第10期「字作字演」を体験

東京・台場の日本科学未来館では2月1日から、3階の常設展示「情報科学技術と社会」の中で特に人気の高い展示「メディアラボ」がリニューアルし、第10期展示「字作字演(じさくじえん)」がスタートした(画像1・2)。6月25日(月)まで展示され、観覧・体験は同館への入場料のみで可能。1月31日にプレス・関係者向け内覧会が実施され、体験してきたのでその模様をレポートする。

画像1。メディアラボのブース。3階の常設展示「情報科学技術と社会」の中にあり、正面にある別の常設展示「零壱庵」は、メディアラボ第8期までの展示の内で、それぞれの代表的な作品を1つずつ展示している

画像2。点線に沿って切り取ると、立方体を作れるデザインが採り入れられている「ポ」に第10期展示のタイトル「字作字演」が記されている。字作字演の4文字には、ご覧の通り別の文字が隠れている

今回の展示は、コンピュータとデザインの関係についての研究を行っている武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科准教授兼プログラマ(情報処理推進機構の未踏ソフトウェア想像事業より、2004年度下半期「天才プログラマー/スーパークリエータ」に認定)の古堅まさひこ(真彦)氏(画像3)と、「メディアラボ」のタイトルロゴの制作も担当した(画像4)、グラフィックデザイナーの塚田哲也氏と秀親氏による新しい文字の概念を探る大日本タイポ組合(画像5・6)と、の3人によるコラボレーションだ。

画像3。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科准教授兼プログラマーの古堅まさひこ氏。3カ月で今回のプログラムを作ることになったのがなかなか大変だったそうである

画像4。メディアラボのロゴは、実は大日本タイポ組合のデザイン。メディアラボでの展示はまさに満を持しての登場といった具合

画像5。大日本タイポ組合の塚田哲也氏。「今回は、字を来た人が作ってくれるので、割と楽です。楽という字は楽しいという字なので、みんなに楽しんでいただけると、いつの間にか発見することがあると思います」とコメント

画像6。大日本タイポ組合の秀親氏。第10回記念展示という言葉に食いついてしまったという。「来館者がどんどん文字を作ってくれて、どんどんデータが溜まるので、僕たちはとても嬉しいです」とコメント

字作字演とあるように文字に注目し、文字をその文字としてヒトが認識する要素は何であるのかを、分解、回転、拡大、組み合わせなどのさまざまなアルゴリズム(演算)を用いて、実際に観覧者が操作したり作ったりして体感する内容となっている。文字の成り立ちを考えながら、文字の持つ個性、さらには手書き文字とコンピュータによる入力文字の個性など、文字の新しい側面を発見していける内容だ。

展示作品は、「平たいポ」、「反対ポ」、「立体ポ」、「合体ポ」、「全体ポ」の5つ。まず「平たいポ」だが、「P」、「L」、「a」、「y」の4文字をピースとして組み合わせ、モニタ上で指定された別の文字を作るという内容(画像7・8)。作成に成功したら登録すると、後ほど説明するが、全体ポの大型スクリーンに登場する。また、モニタ以外にもボードにマグネットのP、L、a、yを貼り付けられるコーナーもある(自由に作りたい場合はこちらを利用)。

平たいポは、同じピースを複数使って回転はもちろん、裏返して使ったりするのもありなのだが、とても難しそうに思えるかも知れない。しかし、サンプルとして、ひらがなとカタカナの50音と、アルファベットの大文字小文字が再現されており、工夫次第では漢字もいける。ちなみに、筆者も自分の名前を再現してみた(画像9・10)。

画像7。「P」、「L」、「a」、「y」の4文字をピースとして、さまざまな文字を作るというもの。パズル的な思考が必要な感じ

画像8。モニタ上に指定された文字をパネルの上で作成すると、その形状が読み取られ、指定された文字の新しいフォントとして登録され、全体ポの大型スクリーン上で表示される

画像9。サンプルのひらがな・カタカナの50音と、アルファベットの大文字小文字52文字

画像10。ボード上に日高の文字を作ってみた。なかなか「高」が難しくて、あまり格好のよくない出来映えとなったが、もっと時間をかければ日の字に近いサイズで作れそうな気もする

そして反対ポは、タッチスクリーン上にタッチペンを用いて、指定された文字を書くという内容。クセモノなのはカーソルが左右反対どころか、上下まで逆さまに動く可能性があるところだ(ランダムで左右だけか、上下左右になるかが決まる)。左右が反対の鏡文字は集中して慎重に挑めば、よほど複雑な字でない限りは、なんとかできるという感じだ。

しかし、上下まで逆さまになると、まずお手上げで、ほとんどのヒトがうまくいかず、指定された文字とはまったく別の、下手したら字には見えないようなものができてしまう。それが大スクリーンに投影される形になるので、読める字にはしたいものである。

画像11。ガを書いているところを撮影させてもらった。ヒトは、左右反転(鏡文字)はそこそこ対応できるのだが、上下反転はなかなか難しいのがわかる。なおかつ、左右と上下が同時に反転すると、もはやなんだかわからない

立体ポは、大小2つの立方体の辺や対角線などを使って、カメラで撮影して2次元化した時にモニタで指定された文字を作れるかどうかという内容(画像12)。各辺や対角線は軸に沿って回転させられ、表面はカメラにしっかりと映る白、裏面は背景と同化してしまう黒となっており、どれを白にするか、どう組み合わせて置くか、どの角度から見せるかなど工夫することで、かなりの文字を作り出すことができ、これまたハマり度の高い内容となっている。

画像12。立体ポは立方体を2つ使って文字や記号を作るというもので、これは「&」を作ってもらったところ。立体パズルゲーム状態で、やり出すと止まらなくなる雰囲気

そして「合体ポ」は、ひらがなやアルファベットなどを最大5文字まで使って組み合わせて、指定された文字を作るというもの。どんな文字を使うかは自由だが、指定された文字をどう分解して、それがほかのどの文字に似ているかということを見抜いたりするのがコツ。例えば、画像13では「え」を作ろうとしており、挑戦している方は「A」と「n」と「1」を組み合わせているが、なかなか難しい。たぶん、「う」を上部に、「ん」を下部に持ってきて組み合わせた方が見えそう。

画像13。画面に指示された文字を、別の文字を最大5文字まで使って、拡大縮小や回転などをさせて組み合わせて作る。指定された文字をどういう風に分解できるかがコツだろう

最後は、これまで紹介した4つの体験型展示作品で登録した文字を映し出す「全体ポ」だ(画像14)。ちなみに、字作字演のハッシュタグをつけてツイッターでつぶやくと、この画面に登録された文字を使ってその文章が流れる(画像15)。必ずしも、指定された文字に似せることに成功した文字ばかりが登録されているわけではないので、判読不能の文字も多数ある。が、そこは読める部分の前後の文脈から判断するというのもまた楽しみ方の1つ。そんな推測できる能力もスゴイし、画像が並ぶことでもジ・言葉・文章として認識できるヒトの能力もスゴイのである。

画像14。全体ポ。ほかの4つの体験型展示で作った文字が、ここに移動して表示される

画像15。赤い枠で囲った部分が、ツイッターのつぶやき。ツイッターの文章は実際に見れば、ほかとは動きが異なるので、ひと目でわかる

このように、自分のパズル的センスと、グラフィックやデザインセンスを発揮して楽しめるのがメディアラボ第10期展示の特徴だ。いつもは、内覧会は時間帯によっては自由に触れたりするのだが、今回は訪問者が多かったことと、みんな触りたくて仕方がなかったようで、2時間の内覧会で各体験型展示が人の列が途切れないという状況。かなり中毒性の高さが特徴だ。そんなわけで、あなたも自分ならではのフォントを作りに、ぜひ未来館に出かけてみてはいかがだろうか。

なお、日本科学未来館では、この後も3月10日(土)からは6月11日(月)まで「終わり」を題材にした企画展「世界のおわりのものがたり~もはや逃れられない73の問い」(別途入場料大人1000円、18歳以下300円が必要)、3月19日(月)から4月9日(月)までNHK教育テレビの番組「大科学実験」で実際に使用された装置や器具が集合するイベント展「行ってみなくちゃわからない! 大科学実験 in 未来館」(通常の入館料で観覧可能)などを予定。春休みは友人同士で遊びにいったり、お子さんを連れて行ったりするのにピッタリ。ぜひ今からチェックしておこう。



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