【レビュー】

世界のOSたち - CUIからGUIへの道を作り出した「Apple DOS」

1 Apple II用のDOSが存在した時代

 
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コンピューターというハードウェアを活用するために欠かせないのが、OS(Operating System:オペレーティングシステム)の存在です。我々が何げなく使っているWindows OSやMac OS XだけがOSではありません。世界には栄枯盛衰のごとく消えていったOSや、冒険心をふんだんに持ちながらひのき舞台に上ることなく忘れられてしまったOSが数多く存在します。「世界のOSたち」では、今でもその存在を確認できる世界各国のOSを不定期に紹介していきましょう。今回は「Apple DOS」を紹介します。

Apple II用のDOSが存在した時代

GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)採用OSの雄であるAppleのコンピューターですが、その歴史を紐(ひも)解けば、CUI(キャラクターユーザーインターフェース)の時代がありました。時は1978年。日本ではピンクレディーの大ヒットが社会現象を巻き起こし、日立のベーシックマスターL1が発売された年です。各社がこぞってパーソナルコンピューターを発売するのは翌年以降で、NEC PC-8001が世にデビューしたのも1979年でした。

海外に目を向けますと、1970年代のパーソナルコンピューターと言えば、Appleがその代表格。1976年にApple I、1977年に改良版となるApple IIを発売しましたが、今回紹介するのはコンピューター本体ではありません。そのApple IIの上で動作していた「Apple DOS」です。

そもそもDOSは「Disk Operating System」の略称で、文字どおりディスクドライブを制御するためのソフトウェア。Apple IIの純正オプションには、Apple Disk IIという5.25インチのFDD(フロッピーディスクドライブ)が用意されており、Apple IIの爆発的ヒットを支える重要なデバイスでした。このデバイスを制御するため、Apple共同設立者の一人であり、Apple I/IIの開発者であるStephen Wozniak(スティーブ・ウォズニアック:オズの魔法使いにひっかけた、Wizard of Wozというあだ名が有名)氏が制御システムを書き上げています。

1978年にリリースされた「Apple DOS 3.0」ですが、初リリースでありながらもバージョン番号は「3.0」。最初のバージョンながらも、その数字に違和感を覚える方もおられるでしょう。これは開発チームの一人だったポール・ロートン(Paul Laughton)氏が、ソースコードをコンパイルするたびに0.1ずつ数字を増やし、3.0の時点でリリースされたからと言われています。

しかし、Apple DOS 3.0は依然とバグが残されており、一カ月後の7月には修正を加えた同3.1を、翌年の1979年2月には同3.2をリリースしています。この年に発売されたApple II Plusにあわせるように、同年7月には同3.2.1をリリースしました。少々乱暴なリリースタイミングですが、当時はインターネットどころか米国でパソコン通信が始まったばかり。アップデートプログラムを配布する手段も限られると同時に、ホビー色の強かったパーソナルコンピューターの牧歌的な空域を感じ取れるのでは。最終バージョンは1980年に発売されたApple DOS 3.3ですが、Apple II内蔵のROM BASICと共に併用することを前提にしているため、標準的なコマンドはBASIC風の味付けがなされていました(図01)。

図01 最終版となるApple DOS 3.3。リリース日である1980年8月25日の日付けが表示されます

コマンドプロンプトでファイルの一覧を表示する際は「CATALOG」コマンドを使用し、ファイルの読み込みや実行は「LOAD」「RUN」コマンドを使用します。残念ながら筆者はApple IIを店頭で見たことはありますが、所有していなかったため、Apple DOSの言語体系に関して詳しく述べることはできません。しかし、後述するApple ProDOSでは、当時コンピューター業界を席けんしつつあったMS-DOSを意識し、コマンド体系が変化しています(図02~03)。

図02 「CATALOG」コマンド(コマンドプロンプトで言うところの「dir」)を実行中

図03 Apple DOS 3.3に含まれるカラーデモを実行。これらは「LOAD」「RUN」といったコマンドを使用します

このようにディスク制御が可能になったApple IIでは、米Broderbundのバンゲリング帝国三部作に数えられるLode Runner(ロードランナー)やChoplifter(チョップリフター)といった今に連なる名作ゲームが多数登場しました。もちろんAtari 2600など家庭用ゲーム機器の存在は大きかったのも事実。しかし、当時としてはハイエンドなスペックを持つパーソナルコンピューターでゲームをプレイする文化が生まれたのは、Apple IIの存在が欠かせなかったと言えるでしょう(図04~05)。

図04 ダグラス・スミス氏作のLode Runner。読者のなかには眠れない夜を過ごした方も少なくないでしょう

図05 ダン・ゴーリン氏作のChoplifterは、ヘリコプターで人質を救出するアクションゲーム。手を振る人々に哀愁を感じたユーザーが続出でした

話がそれてしまいましたが、30年以上前のソフトウェアとなるApple DOSですが、Syndicomm社が運営しているオンラインショップでは、Apple DOS 3.3が2ドルで販売されているから驚きです。さすがに実機が必要なので購入は現実的ではありませんが、当時のApple IIに対する人気を垣間(かいま)見られるのではないでしょうか(図06)。

図06 Syndicommが販売しているApple DOS 3.3。ディスクのみですが2ドルで購入できます

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インデックス

目次
(1) Apple II用のDOSが存在した時代
(2) Apple SOSの失敗とApple ProDOSの登場。そしてApple GS/OSへ

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