ウィルコムの基地局を生かすことで、来年度いっぱいで全国政令指定都市の99%をカバーし、その段階で人口カバー率は92%になる見込みだ。ただ、近氏は全国エリアへのカバーを広げるよりも、トラフィック集中している都市部を中心にエリアを展開していく意向を示しており、トラフィックが少ない場所は3Gで対応するという方針だ。

基地局の展開計画。東京、名古屋、大阪、北九州市、福岡市、札幌市の各地域

それに加えて、AXGPでは「クラウド基地局」を活用する。従来、基地局にはアンテナや制御装置などが1つずつ搭載されており、分散制御の状態だったが、クラウド基地局では、多くの処理をベースとなる基地局に集約化し、集中制御する。クラウド化によってマイクロセルの基地局を協調制御することで、干渉対策やトラフィック制御などが集中して行え、より安定して、信頼性の高いネットワークが構築できる。1つ1つの基地局サイズも小さくでき、コスト削減にもつながる、という。AXGPの基地局はすでに95%がクラウド化しているそうだ。

クラウド基地局では、協調制御によって、個々の基地局を扱う

伝送路には光ファイバを利用している

クラウド基地局を利用することで、干渉によって動作しない基地局があった場合も、協調制御で干渉を抑えることができるという

バックアップを設けることで、さらに信頼性の向上も可能

なお、2月から発売されるソフトバンクのポータブル無線LANルーターは下り最大76Mbps対応で、バッテリの持続時間や熱の問題などを解消し、規格通りの下り最大110Mbpsに対応した端末は「今年後半から来年ぐらいには出る」(近氏)見込みだ。

説明会では、東京都内をバスで巡回しながらのデモも実施された

ファイルのダウンロードによるスループットの測定

フルHD動画の再生

iPadを使用したビデオ通話のFaceTimeによる通信実験がそれぞれ行われた

実際の通信速度。最高速は60Mbpsを超えた

FaceTimeの実演。FaceTimeでは、AXGP対応の無線LANルーターで通信を行った。映像は滑らかで、音声も途切れることなく通話できていた

ソフトバンクの孫正義社長は、AXGPがTD-LTEと「100%互換」と話しているが、マイクロセルやクラウド基地局などの技術的な違いがある。また、ファーウェイによれば端末も一部ソフトウェアの変更が必要になるそうだ。ただ、TD-LTE対応端末をAXGP対応にするハードルは「特に高くない」(ファーウェイ)ほか、ハードウェアは共用化できるという。

AXGPの機材。無線装置のRRH

無線制御装置のBBU

ファーウェイのTD-LTE向けポータブル無線LANルーター(左)とUSBドングル

WAN回線にTD-LTEを使う家庭用ルーター

こちらもTD-LTE用USBドングルだが、左の灰色のドングルはTD/FDDの双方に対応する

(記事提供: AndroWire編集部)

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