【レビュー】

独特の世界観でファンをひきつける「チェブラーシカ」、その魅力とは?

      [2012/01/04]

    日露韓という国際的なチームで制作された『劇場版チェブラーシカ』

    2010年冬、ロシアで国民的な人気を誇るパペットアニメーション作品「チェブラーシカ」シリーズの実に27年ぶりとなる新作『劇場版チェブラーシカ』が公開された。本作は、中村誠監督を始めとする日本人スタッフを中心に、ロシア人スタッフ、韓国のアニメーションスタジオが協力して制作したもので、日本ではもちろん、現地ロシアでも国民の高い期待を裏切ることなく、喝采を博したという。

    それから約1年後となる今回、DVD『劇場版 チェブラーシカ 特別版』がリリースされた。この特別版には、日本ではごく一部の劇場だけで特別上映された"幻の"ロシア語バージョンを収録。よりオリジナル版に近い「チェブラーシカ」が楽しめる作品に仕上がっている。ここではその見どころに触れつつ、本作を紹介したい。

    第1話では、その再現性にも注目!

    1969年に制作されたオリジナル版「チェブラーシカ」の物語は、オレンジの木箱に入って南の国からやってきた不思議ないきもの"チェブラーシカ"と、動物園で働く孤独なワニ"ゲーナ"の出会いからはじまる。この第1話は「チェブラーシカ」の世界を説明する上で外すことのできないストーリーとして、新作『劇場版チェブラーシカ』にも、この物語のリメイク版が収録されることとなった。

    第1話「ワニのゲーナ」のワンシーン。左は1969年に制作されたオリジナル版、右は2010年に制作された新作

    このリメイクパートの制作にあたり、中村監督はオリジナル版のイメージを正確に踏襲することに注力したという。ただし、当時と比較するとカメラの精度は格段に上がっていたため、当時のものを当時のままで作ったのでは、簡素に映ってしまうという問題も発生した。そのため、新作ではオリジナル版以上にディテールを作り込む必要があったほか、フレーム数も当時と同じ12フレームではなく、24フレームに増やすなど、雰囲気を損なわずに新しく手を加えるということに、苦心したという。オリジナル版を見たことのあるファンであるなら、その自然な再現性にもぜひ注目してほしい。

    チェブラーシカのプロトタイプ。様々な動きと角度で撮影し、検証が重ねられた

    観客をひきつける秀逸なストーリー展開

    そして本作には、この第1話に続き、完全オリジナルストーリーとなる第2話「チェブラーシカとサーカス」と第3話「シャパクリャクの相談所」が収録されている。新たに制作された物語では、やはりそのストーリー展開が見どころだ。あくまでもオリジナル版の穏やかで哀愁漂う世界観は壊さず、それでいて観客をドキドキさせたり、感動させたり、クスっとさせる要素も埋め込まれた魅力溢れる作品に仕上がっている。

    『劇場版 チェブラーシカ 特別版』のワンシーン

    なお、今回発売されたDVDの初回限定版には、中村誠監督による「チェブラーシカ」資料集などが特典として同梱される。この資料集には、本作のメイキングストーリーとして、新作の構想から制作のプロセス、オリジナル版制作スタッフとのやりとりなど、ファンならずとも興味深いエピソードが満載されている。

    韓国にあるアニメーションスタジオでの撮影風景

    長い時を経て蘇った本作の制作過程に想いを馳せながら、可愛らしくも哀愁漂う「チェブラーシカ」に癒されてみてはいかがだろうか。

    『劇場版 チェブラーシカ 特別版 コレクターズエディション(初回限定生産)』
    DVD 2枚組 7,140円
    本編DISC:ロシア語版本編、ロシアプレミア上映時の映像
    特典DISC:ロシア語本編(銀残しver.)、メイキング映像、原作者 E. ウスペンスキー氏&オリジナル映画の美術監督 L.シュワルツマン氏インタビュー
    同梱特典:「チェブラーシカ」資料集(160P)、フィルムカットセット(3枚入り)
    発売元:フロンティアワークス  
    販売元:東宝

    (c)2010 Cheburashka Movie Partners/Cheburashka Project

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