空気清浄機をはじめ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機など白物家電を中心に14品目の「プラズマクラスター」搭載製品を販売するシャープが、12月2日に同技術搭載ドライヤー2機種を発売する。推定市場価格は、スタンダードタイプの「IF-PD1」が17,800円、高機能モデルの「IF-PB1」が19,800円。

本体色は「IF-PB1」がピンク系、ゴールド系、ホワイト系の3色、「IF-PD1」がピンク系、シルバー系の2色のカラーバリエーションで展開

除菌、脱臭、静電気抑制、美肌などに効果があるとシャープが謳う、同社独自のイオン発生技術「プラズマクラスター」。今回、保湿と静電気抑制効果に着目し、ドライヤーを開発した。シャープによると、イオンが髪に付着すると、その周りで水分子が髪の表面を覆ってキューティクル(髪の表皮層)を引き締め、内部に水分を浸透させる効果があるという。加えて、マイナスとプラスのイオンを放出するプラズマクラスターの場合、両イオンにより連続的に水分子を供給できるため、キューティクルの表面に水分子コート層を形成することができる。

一方でマイナスイオンだけの場合は、同極のイオン同士で反発し合うため、水分子が付着できないとのことだ。プラズマクラスタードライヤーは、1立方cmあたり約230万個の高濃度イオンを放出。シャープが行った実験では、冷風の髪の水分量がプラズマクラスターなしの場合に比べて10%程度多くなることが分かった。髪の弾力性やクセを抑える効果も確認されている。

ヘアーサロン「asia」代表のヘアーアーティスト・時枝弘明氏による、トークとプラズマクラスタードライヤーの実演

また、髪に発生する静電気は、頭部(髪)の側がプラスに帯電する一方でブラシや手はマイナスに帯電し、プラスとマイナスのイオンが引き合うことで生じる。これに対しプラズマクラスターでは、プラスとマイナスの両方のイオンを放出することにより、ブラシも髪も静電気を抑えることができ、髪がまとまりやすくなる効果がある。シャープがサティス製薬に依頼して行った調査では、静電気を1/3程度抑制したほか、枝毛や切れ毛の本数もおよそ半減したことがわかった。

なお、上位機種のIF-PB1では、50度の温風で髪を乾かせる「地肌エステモード」を搭載。髪の主成分であるたんぱく質のケラチンは、湿った状態で約55度から変性してしまうのに対し、この製品では低温風による乾燥により髪のダメージが抑えられる。このほか、ハンズフリーで使える専用台が付属するのもポイントだ。

新製品の発売に先駆け、シャープは11日に製品発表会を開催。製品概要の説明のほか、ヘアーサロン「asia(アジア)」代表のヘアーアーティスト・時枝弘明氏が登場し、トークとデモンストレーションを行った。新製品の印象について時枝氏は「正直なところ、プラズマクラスター製品を使ったのは今回が初めてですが、性能の良さに驚いた。今ではスタッフ全員が使っていて、業務用も早く欲しい」とコメント。さらに「静電気が抑制されるうえ、乾いた後も髪に水分が残ったままの感じがする。ドライヤーがまた次のステージに上がった」と今回の製品を評価した。

製品発表会では、シャープ 健康・環境システム事業本部 調理システム事業部長の長谷川実氏が「新たに美髪効果が実証されたことにより、プラズマクラスター製品群にドライヤーを追加した」と商品開発の経緯を説明した

シャープがドライヤーを発売するのは、約15年前にリリースされた「愛髪(めがみ)」以来。イオンドライヤーは、「ナノイー」発生機能搭載製品を展開するパナソニックの「ナノケア」をはじめ、美容業界で定番のメーカーであるクレイツイオンなども発売している。シャープは、プラズマクラスターを家電製品に幅広く展開することで、その効果を多くの消費者に実感してもらうことを目指す。

同社は「女性ならではの目線で商品開発を行った」(シャープ健康・環境システム事業本部調理システム事業部長・長谷川実氏)と今回の製品の意義を強調。2012年度には中国・ASEAN地域でプラズマクラスタードライヤーを発売する予定で、以降も欧米やインド、中近東などグローバルに展開する意向を明らかにしている。

プラズマクラスタードライヤー本体。重量は約610gで大きめだが、ヘッド部分の重心と持ち手のグリップ感のバランスが良好。実際に手に取って試した印象としては、ブローの際にも使いやすそうだ

上位機種では持ち手の後ろ側にスイッチボタンがあり、低温温風の「地肌エステモード」に切り替えられる

最高1,200Wの高出力で、すばやく髪を乾かすことができる。セット用ノズルも付属

ヘッドの後方に取り付けられている、プラズマクラスター発生ユニット。簡単に取り外しが可能で、スタイリング剤などが付着した際にも手入れが行える