欧州債務危機など不安定さを増す世界経済。そうした中、投資を行うには、世界各国の政治や経済の実情を知っておく必要がある。弊誌では、セゾン投信代表取締役社長の中野晴啓氏がビジネスの最前線で活躍する人たちを招いて対談する「中野晴啓世界一周の旅」を、ワールドインベスターズTVとの同時企画として配信。そのオープニングを飾る「アメリカ編」第1回を以下に紹介したい。

「中野晴啓世界一周の旅」は、セゾン投信のファンド「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」の組み入れ先の国の中でも、比較的大きなサイズの国を取り上げ、その国の専門家の方とその国の最新情報や真相について経済的な側面から語る対談コンテンツ。今回は、バンクオブニューヨークメロン証券 ヴァイスプレジデントの佐々木一成氏を招き、世界最大の経済大国の米国の政治・経済の現状や、その光と影の部分について、中野氏と語っていただいた内容の概要をお伝えする。

セゾン投信代表取締役社長の中野晴啓氏

中野 : 皆さんこんにちは。「中野晴啓世界一周の旅」へようこそ。セゾン投信の中野晴啓です。今申し上げたのがこの番組のタイトルですが、私がやっておりますセゾン投信の運用方針というのは、徹底した世界への国際分散投資ですから、ぜひこのグローバルな世界を皆さんに知っていただきたいと思ってこの番組をスタートさせました。

つまり、この番組を通じて、私どもが投資している先の経済や政治の情報について、皆さんと一緒に共有して、そこに住んでいる人達の姿等を、その国に行っている様な疑似体験をしていただきたいと思っています。

今回はその第1回でございますが、最大の投資先であるアメリカ合衆国をまず最初にすべきだろうと思い、米国の専門家であるバンクオブニューヨークメロン証券の佐々木一成さんをお招きしました。

佐々木さんは私の20数年来の古い友人でして、米国でも最も信用力の高い金融機関に勤めていらっしゃいます。

まず米国の現状について、佐々木さんのほうからレクチャーしていただければと思います。

佐々木 : 皆さんご存知の通り、ウォール街のデモが起きています。いろんなデータを調べてきたんですけれども。例えば日本でも有名なシティバンクさんとか、JPモルガンさんとかいろいろありますけれども、ああいったところのトップは日本円にすると数十億円の報酬を受けていて、そういったことが妥当なのかということはずっと言われてきたんですけれども、ウォール街の論理ということでそれがかき消されてきました。

バンクオブニューヨークメロン証券の佐々木一成氏

今年8月に債務上限の引き上げ問題でもめて、米国債がデフォルトするのではないかというところまで追い込まれたわけですけれども、それはなんとか回避されました。そうは言っても、米国経済がどうも低空飛行だということで、雇用が伸びない中、デモの背景として失業率が依然として下がらないことが挙げられます。特に、年齢が若い20代の層は全体の失業率の3倍にあたるといわれています。正確に言うと、25%ぐらいです。

中野 : 全体の失業率は9.2%ですから、そうすると、ものすごい世代間格差というか、収入以上に搾取されているような感覚なんですね。

佐々木 : 若い人達はそのように感じているのではないでしょうか。オバマ大統領もいろんな政策は打つんですけれども、なかなか実体経済に反映されてこない。そういった不満の矛先が、デモといった形で出ているのだと思います。

中野 : 名だたる金融機関のトップの報酬って、どのぐらいなのでしょうか?

佐々木 : Googleなどで検索するといろんな数字が出てきますが、数十億円になる場合もあるということです。例えば、50億円もらっている人がいると、年収500万円の人を1,000人雇えます。

中野 : それなら失業率が高いのも当たり前ですね。米国の病っていうのも、その極端な格差にありますね。

佐々木 : 米国はそれを放置してきた面もあります。この部分は真摯に反省しないと、国としての求心力が揺らいでしまいます。

中野 : あのデモは一時的なものと切り捨てられないということですか?

佐々木 : 偶然なんですけれども、米国は10年単位で、大きなことがおきています。1991年は湾岸戦争、2001年は9.11テロ、その都度国としての存立が試されています。今年も10年の節目の年で、経済格差の解消が大きな焦点になっています。

中野 : 根が深いというか、闇が深いというか、その辺りが少しずつ浮き彫りになっているのですね。あのデモでは99%という数字がクローズアップされていて、我々99%は1%に搾取されているのだと。米国の経済って、上位の1%が全体の4割を稼いでいるんですね。また、上位5%で、全収入の8割を稼いでいる。これは日本とは全く違いますね。日本の感覚で米国を見ていると、問題の深刻さは分からないということですね。


次回の「アメリカ編」第2回では、ドルの問題などについて、お二人が語った内容を紹介する。

ワールドインベスターズTV『セゾン投信社長 中野晴啓の世界一周の旅・第一回 アメリカ経済編(1)世界一周の始まりはアメリカから…』の動画URLは以下の通り。

http://www.worldinvestors.tv/products/detail.php?product_id=1100