10月5日から7日にかけて、東京ビッグサイトで開催された「第38回 国際福祉機器展 H.C.R.2011」。3日間で11万8154人が来場した、非常に活気のある展示会だ。毎年、多数のロボットおよびロボットテクノロジーを応用した福祉機器が展示されたりデモを行ったりするのも特徴で、それらを紹介する。

東海ゴム工業:RIBA-II

まずは、そのものズバリのロボットから。今回の目玉は、関東地方での一般への初お披露目となった「RIBA-II」(リーバツー:Robot for Interactive Body Assistance-II)だろう(画像1~4)。

画像1。RIBA-IIが実際に女性を抱え上げているところ。ベッドに寝かせてあげたり、ベッドから車いすへ移乗させてあげたりといったパフォーマンスを披露した

画像2。RIBA-IIを正面から。やはり介護福祉用ロボットは顔のかわいさが重要で、これだけ大型でもこの顔のためにお年寄りたちにもかわいいと評判だそうだ

画像3。真横から見たところ。人を抱えて倒れないようにするため、移動機構とバッテリ搭載部分である水色の部分がかなり大きくなっている

画像4。ヒジ関節。身体の一部や衣服などを巻き込んだりしないよう、また人と接してもケガをさせたりしないようにクッション性の高い素材でほかの部分と同様に覆われている

RIBA-IIは、理化学研究所と東海ゴム工業が共同設立した「理研-東海ゴム人間共存ロボット連携センター」が2011年8月2日に発表した、80kgまでの人を抱え上げることが可能な双腕型移乗介助(介護支援)ロボットである。実際に女性を抱え上げるパフォーマンスをデモで披露した。

RIBA-IIは、実際に人と接することから、全身がクッション性の柔軟材料で覆われており、そこに同社が開発した「スマートラバーセンサ」という柔軟性のあるセンサが採用されている。そのため、RIBA-IIを目的の方向に移動させる作業も、センサのある部分に触れて軽く押すだけで行えるなど、操作しやすくなっている。

また、関節部も衣服や肌、髪の毛などを挟んだり巻き込んだりしないよう柔軟素材で完全に覆われている。関節を覆ってしまうと、サーボモータの熱が逃げないために問題があるように思われるかも知れないが、熱に強く作ってあり、これまでのところは問題が生じたことはないという。ただし、カバーを外したりすると、熱気が出てくるそうで、あまりにも長時間稼働させるのは、さすがに問題が生じそうである。

課題としては、最大で80kg(実績最大値96kg)もの人を前部で抱え上げられる設計のため、脚部(移動機構)が後方に大きく張り出していること。そこにバッテリなど重量物を入れてバランスを取っているそうだが、病院や介護施設での使用を考慮しても、ちょっと大きいだろう。身長137cm、幅82cm、前後103cmというスペックで、重量はバッテリを含めて230kgとなっている。

また、日本人の大型化に伴って、平均体重も増えているため、80kg以上の人も珍しくはなくなってきており、今後はさらなるパワーアップにも挑戦し続けるとしている。これまでで最大96kgまでは持ち上げているということで、今後は100kg以上を目指すとしている。

なお、東海ゴム工業ブースでは、RIBA-IIに使われているスマートラバーセンサを応用した、「床ずれ防止アクティブマットレス」や「体圧検知センサ搭載ベッド」なども展示していた。

画像5。ぐにゃりと曲がってしまうほど柔らかいため、曲面への仕様も容易な「スマートラバーセンサ」

画像6。スマートラバーセンサを応用した「床ずれ防止アクティブマットレス」を使用したベッド。体圧検知を行えることから、お尻など身体のでっぱっている部分はベッドの面が自動的に凹むようになっている。それで体圧を分散させて床ずれが起きにくくする仕組みだ