ヨーロッパまで"最短最速"

北欧におもしろい航空会社がある。フィンランドのヘルシンキを拠点にするフィンエアーだ。フィンエアーは成田・関空・名古屋から直行便を飛ばしている上に、日本からヘルシンキまで約9時間半で着く便利さを持っている。ヨーロッパ便は12時間前後かかるのが普通だから劇的に速いのである。ヘルシンキにはヨーロッパへの飛行ルート上の極めて有利な場所に位置する"地の利"があるのだ。

フィンエアー340-300型機。フィンエアーは1923年設立の世界で5番目に歴史の長い航空会社

これから日本市場はどうなると思うかとの質問に、「来春には日本市場は完全に活気を取り戻すだろう」と、日本の"完全復活"をベフビライネン代表取締役兼CEOは予測した

ゆえに、ヘルシンキ乗り継ぎで行くと、日本から最短最速で到着できる場所がヨーロッパ中にあり、2011年夏スケジュールの場合、アムステルダム、ベルリン、マドリードなど33都市もあった。また、最短最速とまではいかなくても、日本を出発した同日に乗り継ぎできる都市は40にも及ぶ。この9月にヘルシンキで行われた記者会見で同社のミカ・ベフビライネン代表取締役兼CEOは、「日本路線の増便を検討したい」と話していたので、さらに便利さが増す可能性もある。

ヨーロッパへの旅行で抜群の使いやすさを発揮するフィンエアーだが、一方でサービスでも定評がある。イギリスの航空サービス調査会社「スカイトラックス」の「2010年ワールド・エアライン・アワード」では、「北欧のベストエアライン」に選ばれた。また、日本人にも人気があり、海外旅行検索・比較サイト「エイビーロード」などの一般旅行者が選ぶ航空会社ランキングではベストテンの常連的な存在だ。

実績あるグルメとワインのセレクション

ウェルカムドリンクの「ジョセフ・ペリエ」。贅沢なシャンパンが注がれているグラスはイッタラ製。イッタラはフィンランドを代表するテーブルウェアのブランドだ

さて、前置きが長くなったが、便利さでもサービスでも高く支持されているとなれば、当然、乗ってみたくなる。そこで、フィンエアーの成田 - ヘルシンキ便を搭乗してみることにした。今回はビジネスクラスを体験。ファーストクラスは設置されていないので、ビジネスが最上級クラスとなる。高評価フィンエアーの最上サービスを体験してみようというわけだ。

AY74便は成田を定刻の11時に出発。ウェルカムドリンクのシャンパンは、英国ロイヤルファミリー指定のジョセフ・ペリエのヴィンテージ2000。さすがはヨーロッパ系航空会社の最上クラスというセレクションである。

食前の白ワインが注がれたキラキラと輝くグラスもイッタラ製。ビジネスクラスの食器はすべてこのブランドで統一

ワインは白、赤、デザートワイン各2種類。食前酒にはのブルゴーニュの白を選んだ。シャルドネを使ったこのワインは人気があり、機内に置くには間違いのないワインの1つだろう。ちなみに、シャンパンもこの白ワインのワイングラスではなくイッタラのグラスでサーブされた。北欧デザインで知られるイッタラはフィンランドのテーブルウェアブランドで、ここでもフィンエアーのこだわりが感じられる。

イタリアン風の前菜は、すべて期待を裏切らないものだったが、特に「ポテトとリーキ(西洋ネギ)のスープ」が印象的だった。名前から想像できるように、素朴ですっきりした印象。かつ温かみがあり、現地で触れたフィンランド人の気質に近い、そんな味だった。