既報の通りソフトバンクモバイルは7日、米アップル社製のスマートフォン「iPhone 4S」の価格や料金プランを発表した。同日、緊急で会見を開いて発表した孫正義社長は、「(通信料金の割引を含めると)世界で一番安い価格でiPhone 4Sを発売する」とアピールした。予約開始は10月7日から、販売開始は14日から。

料金プランを発表する孫正義氏

iPhone 4Sは、アップルが開発する最新のiOS搭載スマートフォンで、同シリーズは、国内では2008年からソフトバンクが独占的に取り扱っていたが、最新モデルのiPhone 4SではKDDIからも発売されることから、ソフトバンクの施策が注目されていた。

今回、同社は16GBモデルを実質負担金0円、32GBモデルを同毎月480円、64GBは同毎月880円の端末価格で販売。料金プランは従来通りバリュープログラム(i)で、月額基本料金はホワイトプラン(i)の月額980円、Web利用料のS!ベーシックパック(i)の月額315円、パケット定額サービスのパケットし放題フラットの4,410円で提供する。

月々の料金プランは従来通り

実際の端末価格は、16GBモデルが46,080円、32GBモデルが57,600円、64GBモデルが67,200円で、毎月1,920円の月月割が24回分あり、利用料金から割り引く形で提供される。そのため、毎月の支払いはそれぞれ最低で5,705円、6,185円、6,585円となる。

実質負担金は16GBモデルで0円。iPhone 4も併売され、8GBモデルが0円で購入できる

会見で当初配布されたプレスリリースには、64GBモデルの実質負担金が毎月960円となっていたが、これが880円に訂正され、孫社長は「最後にもう一声いこうと先ほど変更した」と話し、ぎりぎりまで検討していたことを明らかにしている。「できるだけ多くの人にiPhone 4Sをお届けしたい」と孫社長。「そのために努力を惜しまない」を強調する。

さらに、ソフトバンクでは新たに「アレ コレ ソレ キャンペーン」を10月14日から実施。ソフトバンクのiPhone購入者または既存のiPhoneユーザーがタブレット端末の「iPad 2 Wi-Fi+3G版」を購入した場合、端末代金を除く月額料金が0円から利用できるようになる。申し込みが可能なキャンペーン期間は10月14日から11月30日まで。

iPhoneユーザーまたは新規購入者が、iPad 2を月額料金0円から利用できるようになる

100MBまでのパケット料金、S!ベーシック基本料、事務手数料などが0円で、端末価格のみがかかる

同キャンペーンでは、2年契約の「(iPad 2専用)ゼロから定額プラン」に加入することで、契約事務手数料、ユニバーサルサービス料が無料で契約でき、基本使用料は0~4,980円で、利用量100MBまでは0円となり、それ以降は1パケットあたり0.0525円になる。また、月額のWeb基本料が315円かかるが、こちらも100MBまでは無料だ。孫社長によれば、現在同社のiPadユーザーでは4割以上が利用量は100MB未満だという。

iPad 2にはWi-Fi版とWi-Fi+3G版があり、従来はWi-Fi版の方が端末料金は安かったが、このキャンペーンではWi-Fi+3G版の方が実質的に安くなるため、孫社長は「世界で唯一、ソフトバンクだけが安いというむちゃくちゃな施策」と胸を張り、アップルのロゴに引っかけて「リンゴ割のようなもの」と話す。

キャンペーンは、端末代金は毎月1,860円×24回で支払い、利用料に対して別途毎月1,860円の月月割が適用される仕組みなので、最低金額は端末代金の毎月1,860円ですむことになる。

さらに、iPhone 3G/3GSユーザー向けに「実質無償機種変更キャンペーン」も実施。既存のiPhone 3G/3GSユーザーがiPhone 4/4Sに機種変更した場合、残存する分割支払金と同等の金額を利用料金から値引きすることで、実質的に機種変更を無償にする。ホワイトプラン(i)に加入し、新スーパーボーナス用販売価格で機種変更したユーザーが対象となる。

iPhone 3G/3GSユーザーなら、分割支払金の残額相当を割り引く形で、機種変更をしやすくする

例えばiPhone 3GS 16GBの分割支払金毎月1,580円の場合、iPhone 4S 16GBを購入すると、分割支払金が毎月1,920円追加されるため、合計で毎月3,500円の分割支払金が発生する。それを毎月の利用料から割り引く形になるため、iPhone 4Sの毎月の支払いである最低5,705円で利用できるようになる。

孫社長は、「一人でも多くに(急逝した前アップルCEOの)スティーブ(・ジョブズ氏)が陣頭指揮して作った作品をお届けしたい」とキャンペーンを実施する理由を話す。

今回の同社のiPhone 4S向けの施策に対し孫社長は、繰り返し「ギリギリまで」「一人でも多くの人々に届けたい」と繰り返し、「経営的な数字を計算するとここまで出してしまっていいのかという議論もあったが、精一杯のことをやりたい」と強調する。

同じくiPhone 4Sを取り扱うKDDIに対する優位点に対して問われた孫社長は、「そういう次元のことではなく、とにかくこの熱い思いを大切にしていきたい」との回答にとどまった。それに対して同社の宮川潤一CTOは、ソフトバンク版とau版のiPhone 4Sでは、W-CDMAのHSPA方式である同社と、CDMA EV-DO Rev.A方式であるauでネットワーク方式が違うため、理論値の通信速度が下り最大14.4Mbpsと3.1Mbpsである点、データ通信中に音声通信ができない点を優位点とアピールする。

宮川潤一CTO

ソフトバンク版のiPhone 4Sでは理論値の通信速度が高速で、通信中の音声着信が可能な点をアピールする

通信速度に関してはあくまで理論値であり、1つの基地局から複数のユーザーが帯域を分け合う携帯通信の場合は、同時接続数などに応じて速度が低下する。そのため、孫社長も「どれだけの速度が出るかは同じ場所でも時間帯で違う」と認めるが、既存のiPhoneユーザーにとっては「少なくとも今までよりも良くなる(速度が速くなる)場所は多い」とコメントしている。