――『牙狼<GARO>』という作品自体についてお伺いしたいのですが、最初に監督が『牙狼<GARO>』という物語を着想したのは、どういったきっかけですか?

雨宮監督「元々、何かダークヒーロー的なもの、見た目がちょっと怖い感じのヒーローをやってみたいという思いがあって、そんなときに東北新社さんから、『今までになかったヒーロー物をやれないか』というお話をいただいて実現したのが『牙狼<GARO>』です。せっかく東北新社さんとやるなら、CGもきちんとしたドラマのいいところで使いたい。そこで考えたのが、スーツとCGが融合できるような佇まい。メタリックなヒーローで、しかも金色というものです。これはスーツだけでもできないし、CGだけでもできない。そこから金色のキャラクターができてきて、世界観をさらに広げていったという感じです」

――『牙狼<GARO>』は最初、子ども向けとして作る予定だったというお話ですが?

雨宮監督「実は子ども向けとして考えていたときも、それが大人向けになったときも、基本的なところはあまり変わっていないんですよ。僕の中では、時間帯が変わったぐらいの意識です。ただ、予算的に、最初に考えていた子ども向けの企画はちょっと厳しい。相当お金がかかりそうだということで、今の『牙狼<GARO>』になった感じです。なので、子ども向けの番組というパッケージで作っていたら、いくつかの要素が追加された『牙狼<GARO>』になっていたかもしれません」

――子ども向けのほうが予算が必要なんですね

雨宮監督「子ども向けだと、前提としてマーチャンダイズを意識しないといけない。そうなると、馬だけでいいのか? という話にもなりまして、馬以外にも、鳥に乗ったり、変形したりといった要素を加えたほうがスポンサーもつきやすいですし、出資するほうも少し安心するわけですよ。もちろんそういった要素が入っても僕の中の『牙狼<GARO>』の世界みはまったく変わらないので、実際に変形などの要素も考えてはいたんですけど、そうなるとやはり相当にお金がかかる。結果、当時のスタッフと僕の身の丈にあった企画にまとまり、その中で精一杯、頑張って作ってきたという感じになっています」

――そのほかの点で、大人向けということで変わってきたところはどのあたりですか?

雨宮監督「CGの使い方はもちろん、ガロのデザインやホラーのデザイン、アクションや戦う様といったところは、たぶん子ども向けでも大人向けでも変わらなかったと思います。子ども向けならエログロがなくなるぐらいですね。結局、僕が描くヒーローの佇まいというものは変わらないと思います。実際のところ、もちろん話数によっては見せられないような回もありますが、意外と子どもと一緒に観ていますという方が多いですね。子どもは子どもなりに楽しめる要素があるんだと思います」

――全体的にダークなイメージが強い『牙狼<GARO>』ですが、エンディングのムービーはかなりポップな感じに仕上がっています

雨宮監督「エンディングに作品の世界観を繋げるのはあまり好きじゃない。ちょっと抜けた感じで、次また観るぞ、みたいな感じにしたいんですよ」

――箸休めみたいな?

雨宮監督「そうですね。今回のエンディングテーマは奥井(雅美)さんに作っていただいていて、ワード的にはかなり『牙狼<GARO>』の世界観とリンクしているところもあるのですが、エンディングはやはり別の作品にしたいなという意識があります。ただ、その中でもやはり本編とリンクする要素がありますので、じっくりと観ていただきたいですね」

――音楽に関しては前回のシリーズでもかなりこだわっていらっしゃいましたが、今回も同じように毎回音楽を変えていく感じでしょうか?

雨宮監督「毎回、ムリに変えたいと思っているわけではないのですが、結果的に毎回変わっちゃうんですよ。今回もあまり使い回しをしている曲はないですね。曲が先にあって、それに映像を組み合わせるのではなく、やはり映像に合った曲がほしいですし、実際、できあがった映像を観て、曲をつけてもらったほうが全然早いんですよ。スタッフも僕の好きなテイスト、嫌いなテイストというのをよく知っているので、直しも少ないですし、すごくやりやすいです」

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