――今回のシリーズから新たに登場するキャラクターもいますが、基本的な設定はあまり変わっていないですよね?

雨宮監督「キャラクターはあまり変えていないです。鋼牙が急にベラベラ喋るわけでもないですし(笑)。鋼牙は鋼牙だし、(涼邑)零君もあんな感じです。世界観もまったく変わっていません。ホラーというのは根絶できる種ではなく、人がいる限り、延々と生まれては消え、生まれては消えを繰り返し、それを倒す魔戒騎士も年老いたら若者に譲る。だから、世界観自体はまったく変わらないのですが、ただその中で、彼らの中でしか起き得ないドラマを表現している。そんな感じですね」

――監督は総監督というお立場ですが、それぞれの話数については、どの程度まで関わっていらっしゃるのでしょうか?

雨宮監督「どういう物語を作るのかという、お話の部分はすべて僕が見ているので、台本に僕の名前がなくても、基本的には僕のほうから、『こういう話にしてください』という感じで、各脚本家の方にお願いして書いてもらっています。あと、どんなホラーにするか、どんなデザインにするかというところは僕がやっていますし、あと一番大きいのはゲストのキャスティングですね。誰にどんな役をやってもらうのかというところ。だから、台本とゲストのキャスティング、そしてホラーについては僕のほうであらかじめ固めて、それから各監督さんにお願いしているという感じです」

――ゲストに関しては、前シリーズもかなり豪華でしたが、今回も第1話の竹中直人さんをはじめ、かなり豪華な布陣になっています。監督がゲストの方を選ぶ基準のようなものはありますか?

雨宮監督「まず、基本的には子ども向けの番組にはゲストで出ないような方。竹中さんも出てはいらっしゃるのですが、そういった"匂い"のあまりない方ですね。牙狼はキャラクター物ではありますが、なるべく特撮ヒーロー物という感じからはちょっと脱却したいなと思っていまして、そういう意味でも、皆さんが良く知っている方が魔物として出てくるという構図のほうが面白いのではないかという思いで、キャスティングをしています」

――あくまでも、普通のドラマという視点でのキャスティングということですね

雨宮監督「あとは、僕が一度、一緒に仕事をしたいなって思える役者さんが多いですね(笑)。キャスティングはかなりわがままにやらせてもらっているので、ありがたいなと思っています」

――注目の第1話ではやはり竹中さんの熱演が光っていると思うのですが、そのあたりは監督の期待通りといった感じでしょうか?

雨宮監督「新シリーズの1話ということで、主人公の冴島鋼牙を早めに出して、その人となりを示さなければならないわけですが、それ以上に『牙狼<GARO>』の場合は世界観が特殊なので、まずはそれを説明しないといけない。そして、そこを面白おかしくみせないといけないんだけど、それを楽しんで演じられて、なおかつ絵が弾む、インパクトのある役者さんというところで、竹中さんにお願いしたのですが、やはりすばらしかったですね」

――『牙狼<GARO>』は、やはりアクションシーンも大きな魅力だと思いますが、そのあたりにこだわりはありますか?

雨宮監督「前のシリーズから、スペシャル、映画とやって、小西君がほぼ完璧に近い感じで、スタントアクションシーンをこなせるようになったので、なるべく彼ができること、チャレンジすればできそうなこと、難しかったら成功するまでカメラを回す、みたいな感じでやっています。今回はほとんど吹き替えなしで、本人がやっていますね。前回は半分ぐらいだったので、ここが大きく変わってきているところです。アクションシーンの組み立ても、小西君が生身でやることが前提になっています」

――小西さんが全てを演じることで、リアリティも増してきますよね

雨宮監督「そうですね。顔が映っていないカットもあるので、たまに吹き替えだと思われることもあるんだけど、けっこう本人がやっちゃっています」

――3話ではバイクによるアクションシーンも見どころと言えそうです

雨宮監督「3話に関しては、横山(誠)監督の意見です。前回は銃撃戦をやりたいといって銃撃戦をやっていましたが(笑)。今回の『牙狼<GARO>』では、各監督がチャレンジしたいことを入れていこうという思いがあって、一応エピソード自体は僕のアイデアなんですけど、そこにバイクチェイスの要素を入れたいということで、話が膨らんでいった感じですね」

――あのバイクのアクションシーンはかなり撮影も大変だったのではないかと思うのですが

雨宮監督「まだ最終回までの撮影が終わっていないのですが、今のところは全エピソード中で一番時間が掛かっていると思います」

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