ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンは、ディズニー・アニメーション史上最大のヒット作である物語『ライオン・キング』の3D劇場公開を2011年10月8日に開始する。映画『塔の上のラプンツェル』にて、3Dクリエイティヴ・アーツ・アワードの最優秀3Dシーン賞を獲得し、本作において3Dスーパーバイザーを務めたロバート・ニューマン氏に映画『ライオン・キング/ディズニー デジタル 3D』の制作秘話を伺った。

――なぜ「ライオン・キング」の3Dバージョンを制作したのか、その理由を教えて下さい。

ロバート・ニューマン(以下、ニューマン)「今回、全く新しいアートの形式、メディアを作るという意気込みで取り組みました。オリジナル作品の為にアーティストが紙に描いた線には、手描きならではの魅力と迫力が備わっていますが、立体化すると他の方法では得られない実体感を作り出せます。この映画を100回観た人でも、3D版を全く初めて観る映画のように感じていただけるはずです」

3D化作業は全体で9カ月かかったという

――3D化することで、どういった効果が得られると考えましたか。

ニューマン「映画で最も重要なのは物語です。『ライオン・キング』を3D化すれば、物語性が向上すると私は知っていました。3D化の目的が物語の効果を高めることでないなら、私はこのプロジェクトに興味を持たなかったでしょう」

――本作の3D化には総勢60人以上のスタッフが関っているとのことですが、3Dスーパーバイザーとして、具体的にどのような仕事をしたのか教えて下さい。

ニューマン「3D版『ライオン・キング』のスーパーバイザーとして、私は各キャラクターを3Dでどう見せるか、そして3Dで見た時に、画面から飛び出るのは何で、画面の奥に描かれるのは何かを決めたのです。また、物語性を高めるのに効果的な奥行きの出し方も、私なりに考案しました。これは、3D化において最も重要なことです。奥行きによって物語を高めるために、まず、作品のストーリーにあったチャートを作りました。そのチャートには1~10の数字を付け、1は感情的な盛り上がりが最も少ないシーン、10は最も感情が大きく盛り上がる場面でダイナミックなアクションシーンやクライマックスシーンが該当するようにしました。このチャートを私は、"奥行きのスクリプト"として使いました」

オリジナルフフィルム(左)と3Dステレオグラファー、ロバート・ニューマン氏が制作した3D奥行きマップ(右)。プラスの数字が画面から飛び出す画像のピクセル数をマイナスの数字は画像の奥行きのピクセル数を表すことで3Dの奥行きが生まれる

――3D化が最も大変だったシーンはどこですか。

ニューマン「野生動物たちが暴走するシーンはとても大変でした。多くの視覚効果が使われている場面であることに加えて、画面上の全ての動物を3D化する必要がありました。特に尖った三角形のくちばしと翼、そして尾羽を持つザズーの3D化には手こずりました。シンバやムファサのような、丸みを帯びた体に比べると、角ばったディテールを3D化するのはずっと大変なのです」

コンピュータで奥行きを表現したグレースケールの最終イメージ。白に近いほど観客に近く、色が濃いほど、観客から遠くなる

映画『ライオン・キング』3D版は、2011年10月8日より、全国の109シネマズ、ユナイテッド・シネマほかで3D限定公開。同時に『ライオン・キング』ブルーレイ(3,990円 期間限定 発売元:ウォルト・ディズニー・ジャパン)も発売される。

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