多くのスポーツ選手や芸能人が実践していることから口コミで広がり、その"効果"から絶大な支持を集めている「加圧ダイエット」。その元になっているのが「加圧トレーニング」だ。そんな「加圧ダイエット」や「加圧トレーニング」だが、言葉が一人歩きしていて、間違った認識をしている人も少なくない。そこで発明者でWHO医師で医学博士の佐藤義昭氏に話を聞いてみた。

まだ知らないという人のために簡単に説明すると、加圧トレーニングとは腕や脚の付け根に専用のベルトを巻き、個人にあった圧力を加え、血流量を制限してトレーニングをすることで短時間の運動でも十分な効果を生むトレーニング法。週に1~2回、15分程度、加圧トレーニングをおこなうだけでダイエットや筋力アップ、血行促進などの効果があることが学術的にも証明されている。また、加圧トレーニングをすると通常の約290倍もの成長ホルモンが分泌されるという研究結果もあり、若返り(アンチエイジング)、美肌、ケガのリハビリなどの効果があることも実証されている。

そもそも「加圧トレーニング」はWHO医師で医学博士の佐藤義昭氏(サトウスポーツプラザ代表)が45年以上の試行錯誤を繰り返して確立したトレーニング法。今では東京大学などの研究機関でも効果が実証され、国内ばかりでなく国際的にも高い評価を受けている。

さて、そんな「加圧ダイエット」や「加圧トレーニング」だが、言葉が一人歩きしていて、間違った認識をしている人も少なくない。また、類似の効果をうたった商品も市場に出回っている。

そこで発明者の佐藤氏に「加圧トレーニング」について話を聞いてみた。

発明のきっかけは正座だった

――ここ最近、いろいろなところで「加圧トレーニング」という言葉を耳にします。そもそもどのような経緯で生まれたのでしょう?

WHO医師で医学博士の佐藤義昭氏

「もう45年以上前のことになりますが、ある法事の席で正座をしていたところ足がしびれてしまったんです。そのときほぐすために自分でマッサージをしたんですが、筋肉の張り具合が"追い込んだ"ときの状態に実に似ていた。そこでひらめいたのです。血流を悪くすれば、人工的にハードなトレーニングをしたことになるのではないか、と。それ以来研究をはじめたのがきっかけです。当初は適切な血流制限がわからずトライ&エラーの繰り返しでしたが、トレーニング法というからには安全でなければいけない。そうして長い年月を経て確立したのが現在の加圧トレーニングです」

――単純に加圧して運動するだけでは効果は上がらないのでしょうか?

「効果があがらないどころか実に危険です。加圧ダイエット、加圧トレーニングは専門家が個人個人の適切な圧を調べ、必要な負荷を決めて、はじめて安全に、効果を確認できるものです。血流をコントロールするだけにひとつ間違えれば血栓など重大な事故にもつながりかねません。そのため、我々は加圧トレーニングをする場合は必ず認定医やインストラクターの指導のもとで、専用のベルトを用いておこなってもらっています。我々のメソッドに沿っておこなう限りは安全です。これまで45年間、事故が起こったという話はひとつありません」

――専門家は国内にどれぐらいいるのでしょうか?

「現在、トレーニング施設は全国に約1,700カ所。インストラクターは約2,900人います。我々(加圧トレーニング本部・サトウスポーツプラザ)のホームページから近くのジムやインストラクターを検索することが可能です。また、アカデミックの現場ですと国内では東大病院の22世紀医療センターの『加圧トレーニング・虚血循環生理学』(代表:中島敏明特任准教授)という講座で研究が進められています」