【レポート】

休日の寝だめは赤信号、遅寝早起きはオススメ! 「もはや国民病」睡眠障害の現状と対応

 

ファイザーは31日、国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所の三島和夫氏を招いたプレスセミナーを開催。三島氏は「睡眠障害の現状とその対応」と題して講演した。

「睡眠障害はもはや国民病のひとつといっても過言ではない」

三島氏は最初に「睡眠障害はもはや国民病のひとつといっても過言ではない」と強調。日本人の約4、5人に1人が何らかの睡眠問題を抱えているとし、日本人の20人に1人、65歳以上では8人に1人が睡眠薬を必要としていると説明した。背景には、高齢化・心理社会的ストレスがあり、三島氏は「眠れないのが一時的ならともかく、長期に続くと深刻な心身の問題が生じる」と話した。

三島氏によると、日本人の睡眠時間が一貫して短縮し続けており、日本人成人の1割が慢性的な強い眠気を自覚しているとのこと。特に、世界各国と比較しても日本人の短時間睡眠は突出しており、特に有職女性の睡眠が少ない状況にあるとした。三島氏は「これは女性に家事を押し付けている現状を示しており、働く女性、人口減少の中で女性の活躍望まれる中、危惧すべき問題」と語った。

また、夜型社会・24時間社会・サマータイム移行で睡眠覚醒リズムの異常を呈する人が急増。これにより、交通事故や産業事故のリスクが高まり、心理社会的なストレスも大きい現状について触れた。

眠れないままベッドにいるのは逆効果!

睡眠障害には100種類もあり、不眠症だけに限るものではないと三島氏。「短期の治療でよくならない場合、睡眠障害を疑う必要があるとした。「睡眠障害は心身の問題を引き起こし、一過性不眠から慢性不眠(疾病)へ移行する可能性がある。慢性不眠は生活の質の著しい低下を招くほか、うつ病のリスクを高め、自殺の原因になることも」。睡眠障害では、交感神経活動が緊張した状態が昼、夜ともに続いており、24時間たえず覚醒した状態に体がセットされてしまうという。

そして、慢性不眠症に陥りやすい人の特長として、不適切な睡眠習慣があると指摘。眠れなくても横になっていれば休まるは嘘であると話し、「眠れないままベッドにいると、逆に不眠が悪化する。眠れないときはリビングに行き、眠気がやってきたらベッドに行くことが大切。また、安眠グッズを買いこんで寝るための儀式をする人がいるがそれも逆効果。眠ろうとする努力が失望感に変わり、さらにエスカレートした行動につながってしまう。こうした儀式は全てやめてほしい」と語った。また、かかりつけ医に睡眠薬をもらってきかないという場合、専門医に相談する方がいい」とのこと。また、長すぎる午睡や不活発な生活スタイルも影響するとした。

休日寝だめは赤信号! メンタルヘルスにも注意を

睡眠時間については「そのひとなりの十分な睡眠時間であれば何時間でも構わない。体内時計にマッチした、適切な時間帯で十分な睡眠がとれていることが重要だ」という。自分なりの十分な睡眠時間を知るには「朝起きた時にある程度眠れた。日中にひどい眠気、倦怠感がなければ一応のゴールと考えていい」と述べた。

逆に、休日寝だめをしたり、起きにくい人は赤信号だと三島氏。「週末お休みに3時間以上遅くでないと起きられないのは赤信号。うつチェックをすると半数がうつ状態。逆に休日早く起きたり、平日と大きな差がない人はうつ状態の比率が下がっていく。メンタルヘルスも注意する必要があるひとつの信号ではないか。過度の心配をする人もいるかもしれないが現実問題としてそういう実態がある」と語った。

遅寝早起きはオススメ! 寝酒はNG

夜型生活について、三島氏は「目を開けていない時刻に目を開けている状態」とし、これが続くと夜早く寝付けなくなってしまうと話した。体内時計は明るい光で調節され、日中の自然光は10万ルクス、窓辺でも1万ルクス浴びる計算。そのため、朝に日光を浴びると早寝早起き型に変われるとした。一方、室内だと数百ルクス程度。さらに、夜に光を浴びてしまうと体内時計が調整され、夜型になってしまうと説明した。三島氏は「夜、ゲームなど4、5時間やっていると、体内時計が夜型になってしまう。夜、明るい照明で長時間何かをやることをやめるだけで夜型生活を回避できる」と呼びかけた。

また、早寝早起きもよくないと三島氏。「体内時計で寝る時間の2~3時間前が寝つきが悪い。だまって遅く寝ればいい。そうすると、睡眠薬1個分ぐらい寝つきが良くなる。眠りが浅い時はむしろ積極的に遅寝早起きにする」ことを薦めた。そして、睡眠薬代わりの寝酒は「古いタイプの睡眠薬とほとんど同じ効果。深い眠りが減って朝起きた時に倦怠感が起こる。寝るために飲むというのは絶対やめよう。晩酌で寝床に入る4時間前に飲むのが一番よい」と力を込めた。

出典:睡眠障害の診断・治療ガイドライン研究会/睡眠障害の対応と治療ガイドライン2002(じほう)

そして、こういう対処法をやってそれでも眠れなければ、専門医、かかりつけ医のところで、薬で眠れたという意識を持った方がいいと語った。世界10カ国で行った調査で、眠れない時に医師を受診が10人に1人と世界と比較しても少ない現状に触れ、日本人の睡眠薬嫌いについて指摘。「睡眠薬を始めて飲んだ人を対象に行った調査で、半数が1カ月以内に処方もらわなくていい状態になり、3カ月で70%に達した。慢性不眠で飲まなければならなかった人は7~8%。少なくとも睡眠薬を飲んで対処すればちゃんと睡眠薬離れできる。長期で飲んでいる場合は、専門医の指導の下でやめられる」と呼びかけた。

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