日本マイクロソフトが都内で報道関係者向けに開催した「マイクロソフト メディア エクスチェンジ」で、間もなくKDDIから発売されるWindows Phone 7端末が公開され、OSの機能について詳細な説明が行われた。

※イベントでマイクロソフトが発表した内容の詳細は、以下の記事が詳しい
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すでに、Windows Phone 7は北米および欧州で発売済みであるが、今回KDDIから発売される端末はWindows Phone 7.5(コードネーム"Mango")と呼ばれる最新バージョンの端末となる。Windows Phone 7.5端末の市場投入は、世界でも日本が最初となる。iPhoneでもAndroidでもない、もうひとつの選択肢となるWindows Phone 7について、あらためて全体を俯瞰してまとめてみたい。

Windows Phone IS12T

Windows Phone 7とZuneの関係

つい2年ほど前まで、スマートフォンといえばiPhoneの独壇場であったことは間違いない。今も、ギークではない人がスマートフォンという単語から想像するのはiPhoneだろう。だがiPhoneが登場する以前からスマートフォンと呼ばれるものは存在した。国内での知名度は低いが、iPhone以前の時代では、スマートフォンといえばResearch In MotionのBlackBerry、Nokia(旧 Symbian)Symbian OS、そしてMicrosoftのWindows Mobileなどが中心だった。MicrosoftにとってWindows Phone 7は初めてのスマートフォンではない。

しかし、Windows Mobileは携帯電話よりもPDAと呼ばれていた小型コンピュータに指向した「小さい Windows」であったため、今思えば(端末によって多少の差はあったが)全般にスマートとは呼べない使い勝手であった。iPhoneの登場でスマートフォン市場にイノベーションが起こったとき、Windows Mobile 6以降のアップデートでネットワーク関連のサービスを充実させて対抗を試みたが、アーキテクチャの古いWindows MobileではiPhoneのユーザー体験には遠く及ばず、iPhoneのシェアが広がる一方だった。やがてMicrosoftの社員ですらiPhoneを使うようになり、社内のプライベートイベントでスティーブ・バルマー CEOが社員のiPhoneを奪って踏みつける、という演出をして見せるほど無視できない状況だったようだ。

そこでMicrosoftはスマートフォン向けのOSを新しく作り直すことにした。それがWindows Phone 7であり、製品の位置づけとしてはWindows Mobileの後継となるが、技術的にはWindows Mobileとは全く異なるシステムである。実際にWindows Mobile向けのアプリケーションは、一切Windows Phone 7では動かない。Microsoftが過去の製品との互換性を完全にあきらめる決断をするのは珍しい。日本マイクロソフトの横井伸好氏は、繰り返しWindows Phone 7が以前のWindows Mobileを継承するものではなく、全く新しいMicrosoftのスマートフォンであることを強調していた。

生まれ変わった Windows スマートフォン

このイベントでは全く語られなかったがWindows Mobile 6.5とWindows Phone 7の間に、日本では知られざる製品がある。携帯音楽プレイヤーの「Zune」だ。Windows Phone 7は、Windows Mobileではなく、むしろZuneの流れを継承していることに注目する必要がある。