MCU全般

前回の記事でもちょっと触れたMicrocotroller Solution Group(MSG)のFTF Updateであるが、これは元々MSGを率いるReza Kazerounian博士(Photo05)が、自身が率いるMCUマーケット全般について説明を行うという1時間あまりのミーティングであり、この中でMCUマーケットについての動向が説明されたので、まずはこちらをご紹介したい。

Photo05:Senior Vice President and General Manager, Microcontroller SolutionsのReza Kazerounian博士

氏が率いるMSGそのものは、Freescaleにおける売り上げの4割近くを占める大きな部門であり、またそのMCUの6割以上が自動車向けとなっている(Photo06)。ではその自動車向けMCUでは? というと昨年との比較で43%の伸びを示し、また業界でNo.2ポジションにつけている(Photo07)。このMCUが自動車にどの程度入り込んでいるか、というのがこちらのグラフ(Photo08)。2009年こそ落ち込んでいるが、基本的には右肩上がりでマーケットが次第に大きくなっていることが読み取れる。

Photo06:左下の円グラフはMCU全体でのマーケットシェア。ルネサスが28.1%と最大だがFreescaleも9.3%とそれなりで、以下Samsung/Infineon/Atmel/
Microchip/STMicroelectronics/TI/富士通と続く。

Photo07:セッションでは右側のグラフももう少しちゃんと社名が出ており、左からルネサス/NEC、Freescale、Infineon、富士通、TI、ST、その他となっている。縦棒は左が2009年、右が2010年のものだ。

Photo08:左のグラフ、縦棒はMCU Content/Veheicle(自動車一台あたりのMCUの合計価格)、折れ線はLV Production(M個)である。右は青がBody&Security、緑がDIS、赤がPowerTrain、水色がChassis & Safetyで、このCahasis & Safetyの比重が高まりつつあるのがわかる。

このマーケットに対し、Freescaleは8/16/32bit MCUとi.MXシリーズというバラエティに富んだラインナップを今後とも提供し続ける、というのが基本的な同社のメッセージである(Photo09)

Photo09:今年から32bit MCUにQorivvaシリーズが加わったが、昨年までもPowerPCベースのMCUがここにはあり、単に明確にラインナップ名がなかったというべきか。むしろ、トップエンドにi.MXを明確に持ち込んだことが主な違いといえるかもしれない。

さて、同社が今後ターゲットにしている市場としては、Photo10にあるようなところで、ここは18~27%ときわめて高い成長率が見込めるとしており、ここに向けて積極的な展開を行ってゆくとしている。また地域別としては、アメリカ/ヨーロッパでは既に一定のシェアを確保しており、今後はアジア地域がメインになるとしている(Photo11)、それぞれの地域に応じた戦略をとってゆくとしている(Photo12)

Photo10:Safetyに関しては、やはり同社のミリ波レーダーがポイントになっている。Driver InformationについてはほぼARM系でないと勝負にならず、ここでは差別化のポイントにならないため、むしろGENIVIとかAutoSar準拠OSとか、そうした部分を差別化のポイントに持ってきている。

Photo11:アメリカ及びヨーロッパは、安定したシェアを握ってはいるものの、成長の余地はそれほど大きくない。この観点ではアジア地区が今後の成長の大きな原動力になるという。

Photo12:日本については、既にかなりの規模の自動車産業が存在しているが、競合メーカーががっちりシェアを握っているマーケットであり、そこにどう食い込んでゆくかがキーになる。他方、その他の地域はむしろこれから自動車産業が伸びてゆくという話で、なのでジョイントベンチャーなどの形でゆっくりとシェア及び売り上げを増やしてゆきたいとの話だった。