FTFは当然ながらFreescaleが製品やサービスを提供する全分野に関するアピールの場であるから、本来は「これが一押し」というものは無い(というか、当たり前ながら「全部押し」である)筈なのだが、個人的には一番精力的にアピールしていると感じたのが自動車(Automotive)向け関連製品のあれこれである。

基調講演の中でもAutomotive関連としてMcLaren Electronic SystemsがF1向けのEUCにFreescaleのMCUを使っているという話をした(Photo01)直後に「F1? ここはアメリカだぜ。アメリカのレースっていったらやっぱりNASCARだろう!」といきなりNASCARと一緒にTodd Armstrong氏が登場(Photo02)、2012年よりMcLaren Electronic SystemsがNASCAR向けにも、FreescaleのMCUを搭載したECUを提供することになったことを発表した(Photo03)。

Photo01:McLaren Electronic SystemsのManaging DirectorであるPeter Van Manen氏。手に持っているのがF1向けのECUだそうである。

Photo02:舞台後方が2つに割れ、スモークと共に本物のNASCARが登場。「流石にこれだけは、FTF Japanに持ってくるのは無理だ」とは(FTF Japan設営のために)視察に来ていた某スタッフ談。まぁ日本ではNASCARがそこまで人気か? というのも微妙な感じでもあるが(当然FTF America会場では大きく湧いた)。

Photo03:NASCAR Automotive GroupのManaging DirectorであるTodd Armstrong氏。

現在のNASCARはキャブレターベースのエンジンとなっているが、2012年からついにこれがECUベースの燃料噴射に切り替わることになっており、このECUをMcLaren Electronic Systemsが独占供給、全チームに同じECUが提供されることになるそうだ。この事そのものはビジネスに直接関係するわけではないが、参加者へのインパクトという観点では非常に大きく印象に残る事になった。このNASCARなどはその後会場のど真ん中でFTF期間中常に展示されていたほか、Technology Labではミシュランの試作したインホイールモーター/電動サスペンション(Photo04)の動作デモ(Movie01)が常に行われているなど、目を引くものが多かったのも事実だ。

Photo04:サスペンションもモーターもミシュランが試作したもの。どちらも内部のコントローラにFreescaleのDSCを採用している、という事で展示された模様。
実際の動作デモの様子(wmv形式 420KB 5秒)

またFTFにあわせてFreescaleはAutomotive関係でいくつかの新製品発表も行っており、これの関連展示やセッションも潤沢に行われていた。こうしたものをいくつかピックアップしてご紹介したい。