Lionを試していて気になったのが、UIの細かな変更点だ。たとえば、FinderのサイドバーやMailのメールボックスに表示されるアイコンがiTunesのように単色になっている。色つきの方が一目で区別つきやすくてよかったと思うのだが、そのメリットよりもデザインの統一感を重視したということなのだろう。また、ダイアログなどに表示される日本語フォントも変更になっており、慣れるまで若干違和感を感じる。

Snow LeopardのFinder(左)とLionのFinder(右)。サイドバーのアイコンが色つきからモノトーンに変わっている。目ためはLionの方がきれいだが、従来の方が目的のアイコンを探しやすかったと思う

システム関連のフォルダの扱いもかなり変わっているようだ。従来はユーザーフォルダの下層に「ライブラリ」フォルダが見えており、ユーザーが手動でアプリの初期設定ファイルを削除したり、バックアップを取っておいたりすることができた。しかし、Lionではこの「ライブラリ」フォルダが隠されており、Finderからは見えなくなっている。初心者にはこの方が親切だが、Macを使い慣れたヘビーユーザーにとってはかなりイライラさせられる仕様変更だと思う。

ユーザーフォルダの中身。従来はあった「ライブラリ」フォルダが隠され、見えなくなっている

一方、うれしい変更点もある。たとえば日本語入力システムの「ことえり」が進化しており、語句の変換時に辞書で詳しい意味をポップアップ表示するようになった。また、iPhoneなどでも採用されている絵文字が標準で搭載され、簡単に入力できるようになっている。

日本語入力システム「ことえり」の入力画面。従来も語句の簡易的な意味は表示されたが、Lionではより詳しい情報を参照できるようになっている

Lionには絵文字が標準搭載され、簡単に入力できるようになった。iPhoneなどで絵文字を多用している人にはうれしいポイントだ

このほかにも、使っていると以前の環境には戻れないと思わせる改良点は数多い。アプリや周辺機器の互換性さえ問題なければ、導入することで使い勝手や作業効率などは大幅に向上するだろう。逆に古いソフトウェア資産を多く持っている人は、当面はアップグレードを見合わせた方が無難だ。とくに紙媒体のデザインやDTPに関わるユーザーは、アプリが問題なく動いたとしても印刷時などに不具合が出る可能性はゼロではない。ソフトウェアメーカーや周辺機器メーカー、印刷会社の対応状況を見ながら時間をかけて検討した方が、いろんな意味で安心。いずれにしても、移行する際は必ず「Time Machine」などのツールを使って以前の環境をバックアップしてから行うようにした方がいいだろう。