夏といえば怪談、怪談といえば稲川淳二……。怪談ストーリーテラーとしておなじみの稲川淳二が放つ「超こわい話DVDシリーズ」より、『稲川淳二の超こわい話 赤い部屋』と『稲川淳二の超こわい話 青い部屋』の2巻が2011年7月22日にバンダイビジュアルよりリリースされた。

『稲川淳二の超こわい話』より『赤い部屋』と『青い部屋』の2巻が同時発売

新たな怪談話を引っさげて、全国を巡る「ミステリーナイトツアー」も今年で19年目。そこで今回は、ますます絶好調の稲川淳二がシーズン到来に向けて語った怪談の魅力を紹介していこう。

稲川淳二が語る『稲川淳二の超こわい話 赤い部屋 / 青い部屋』

――今年もまた稲川さんの夏がやってまいりました

稲川淳二

稲川淳二「おかげさまで。もう風物詩としてやっていきたいなと思っております(笑)」

――7月22日には『稲川淳二の超こわい話』から「赤い部屋」と「青い部屋」の2本がリリースされましたが、まずは今回のポイントについて教えてください

稲川「夏のツアーが終わってしまうと、なかなか怪談を話す機会がなくなるんですけど、やっぱりいい作品、いい話ってあるじゃないですか。そういった話をまとめて紹介したいという気持ちからDVDを出すのですが、今回の2本は微妙にタッチが違いまして、一方は、何となくストーリーが滑らかで、『ああ、怪談だよね、怖いよね』って思える話。もう一方は、チクッ、チクッと突き刺さってくるような、『あ、ヤバイ』って感じられるようなタイプの話になっています。怖さを"肌"で感じるか、"神経"で感じるか、そんな感じの違いがあると思います」

――「いい話」という言い方をなさいましたが、怪談における「いい話」とはどういったものになりますか?

稲川「怪談というのは本来、ただ怖いだけではなくて、変な話や不思議な話、優しい話や笑える話があったりするわけですよ。そういう意味では、『いい話』というのは胸にジーンとくるお話ですね。もしかすると、怪談というのは結局、"優しいお話"なのかもしれません。懐かしかったり、切なかったりするんだけど、どこか優しい。突き刺さるような怖さというのはむしろホラー。闇があるから怖いんだけど、闇があるからこそ救われる人もいる。怖さの中でも優しさを感じられる、そんな話が僕は好きですね」

――そのあたりの"優しさ"が、稲川さんの怪談が支持されている理由にもなっていると思います

稲川「そのように言っていただくとちょっと恥ずかしいのですが、やはり怪談は優しくないといけないし、その優しさがないと怪談じゃなくなると思うんですよ。怪談は事件じゃない。血が出て、裂かれて、傷だらけでって……それはホラーですよ。そんなものを見たら、誰だって怖い。でも怪談は、気がついたらゾーっとするような、状況を感じることで冷えてくるような怖さ、そして気がついたら自分のそばで起こってもおかしくないような怖さ。怪談には、そういった不思議な情緒や感性がある。怪談に乾ききった話というのは向かない。情念や想い、怨念といったもの、そういったものが私自身も好きだし、追求しているところではあります」

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