この夏の新製品として発売された一連のVAIOの中でも、とりわけハイエンドユーザー好みの製品に仕上がっているのが13.3型モバイルノートの「VAIO S」シリーズだ。このシリーズは、外出時の持ち運びにも対応できるサイズ・重量を実現しながら、デスクトップPC並みの高い性能を有していることが特徴。自宅やオフィスで普段使うメインマシンを外にも持ち出して使いたいというユーザーに最適な製品だ。

VAIO Sシリーズのラインナップの中でも、店頭販売用の標準仕様をあえて設けず、BTOの「VAIOオーナーメード」専用モデルとして用意された「VPCSA」シリーズは、ワンランク上のグラフィックスチップやクアッドSSD構成を選択できるプレミアムクラスの製品となっている。今回はその実機を利用して使い勝手とパフォーマンスを検証してみたい。

従来機「SB」シリーズの上に登場した「SA」シリーズ

まず、VAIO Sシリーズのラインナップについて整理しておこう。春の新製品発表でフルモデルチェンジされた現在のVAIO Sシリーズだが、従来は「VPCSB」で始まる型番を持つ機種が店頭およびオーナーメードモデルとして販売されていた。ここに夏モデルで新たに追加されたのが、「VPCSA」の型番を持つオーナーメード専用モデルだ。本稿では便宜的に前者を「SBシリーズ」、後者を「SAシリーズ」と呼ぶことにする。

SA・SBそれぞれのオーナーメードモデルで選択できる主な仕様をまとめると、次のようになっている。

VPCSA2AJ VPCSB2AJ
ディスプレイ 13.3型ワイド 1600×900 13.3型ワイド 1366×768
CPU Core i7-2620M (2.70GHz、TB時最大3.40GHz)
Core i5-2520M (2.50GHz、TB時最大3.20GHz)
Core i5-2410M (2.30GHz、TB時最大2.90GHz)
- Core i3-2310M (2.10GHz)
メモリ 4/6/8GB (最大8GB) 2/4/6/8GB (最大6/8GB)
グラフィックス Radeon HD 6630M Radeon HD 6470M
インテル HD グラフィックス 3000
ストレージ SSD: 128/256/512GB/1TB SSD: 128GB
HDD: 500/640/750GB HDD: 320/500/640/750GB
光学ドライブ ブルーレイディスク/DVDスーパーマルチドライブ
モバイルWiMAX 搭載
無線WAN 選択可 -
外形寸法 約331×23.3×224.5mm 約331×23.9×224.5mm
重量 約1.54~1.75kg 約1.64~1.79kg
(スラッシュはオーナーメード時の選択肢を示す)

最も大きく異なるのはディスプレイの解像度で、いずれもサイズは13.3型ワイドで共通なものの、SAシリーズは1600×900ドット(WXGA++)、SBシリーズは1366×768ドット(WXGA)となっている。VAIO Sシリーズに従来よりもさらに高精細なディスプレイを搭載できるモデルが追加されたことが、SAシリーズ登場の最大の意義としてまず挙げられるだろう。

また、グラフィックスやストレージなどパフォーマンスを大きく左右する要素については、SAシリーズのほうがより上位のコンポーネントが用意されている。そのほか、無線WAN機能(FOMA網対応の通信モジュール)が搭載できるのもSAシリーズだけのメリットであるほか、本体のサイズや重量もSAシリーズのほうがより薄型軽量。可搬性を高めるため、筐体設計の細部のチューニングをSBシリーズ以上に徹底していると言えるだろう。

今回の試用機の色はシンプルで落ち着いた「オールブラック」だが、このほか「グロッシーブラウン」と「ライトシルバー」を含めた全3色のカラーバリエーションが用意される。これらの色はすべてSAシリーズのための専用色で、SBシリーズの同系色と比べてもさらに深みのある高級感の高い仕上げとなっている。

深みのある黒が高級感を演出するSAシリーズの専用色「オールブラック」