夏に向け、エアコンの節電効果に期待が高まっている。ダイキン工業が行った第16回空気感調査によると、「今夏、節電への貢献度が高い対策」として「エアコンの設定温度を控えめにする・利用しない」が78.8%とトップに上った。今回は、ダイキン工業のメディアセミナーから、エアコンではじめる身近な節電対策について紹介する。

室内と室外のダブルで日射を遮断!

エアコンで取り除く熱のことを「熱負荷」と呼び、その熱負荷が大きくなると多くの電気を消費することになる。熱負荷には主に7種類あるが、中でも「ガラス窓からの日射量」「電灯、電気器具の発生熱量」の対策をすることで、かなりの節電効果が得られるという。

ガラス窓からの日射量の対策だが、カーテンやブラインドで屋内側からだけでなく、すだれやよしず、緑のカーテンで屋外側からも二重で遮断すると効果がアップする。中でも特に重要なのが屋外。カーテンやブラインドでは熱が室内に入ってしまっているため、できればよしずや緑のカーテンなどで熱を遮断したいところ。また、白熱灯やパソコン、テレビなど室内には発熱体が多いので、使っていない家電製品は電源を切るように気をつけたい。

見落としがちな室外機もしっかりチェック!

エアコンのフィルターは、ホコリがついていると風の通りが悪くなり、たくさんの電気を消費する。そのため、2カ月に1回はフィルター掃除をするよう心がけたい。汚れが少ない場合は掃除機でホコリを吸い取り、汚れが多い時は中性洗剤を溶かしたぬるま湯でつけ置き洗いする。なお、フィルター自動掃除機能がついているエアコンであれば、時折フィルターにホコリがついていないかチェックする程度で十分だ。

忘れがちなのが室外機の対策。室外機は周囲の空気を使って冷たい「熱」を作っているので、周囲に空気を吸い込むのを邪魔するものがあると、風の通りが悪くなり、たくさんの電気を消費するのでできるだけ、室外機の周囲には物を置かないよう気をつけよう。また、室外機は吸い込む空気が涼しければ涼しいほど電気代を節約できる。室外機から離れた場所からよしずやすだれで日陰を作ったり、打ち水をしたりすれはより効果は高まる。なお、打ち水をすると、水1gの蒸発につき、0.58kcalの熱が奪われる。朝夕の日が高くない時間帯に打ち水をすると、外の埃も押さえられて一石二鳥。お風呂の残り水などを利用するのが望ましい。

自分でエアコンの風量はコントロールしない!

エアコン使用時は、風量は自動を選択することが望ましい。節電なら風量を「弱」にすればいいのでは、と思いがちだが、エアコンは室外機で作った冷たい「熱」を室内に無駄なく運んだとき、最も効率よく運転できる。自分で風量をコントールすると室外機で作った熱が効率よく室内に運ばれず、また返って冷やし過ぎの元になる。

ダイキン工業が行った実証実験によると、(1)窓の外側によしずで日よけ+窓の内側にレースのカーテン、(2)エアコンのフィルターを掃除する、(3)室外機の風通しがよい――といった節電対策を行った部屋と行っていない部屋で比べたところ、節電ありの部屋は節電なしの部屋に比べて1日で21.8%の消費電力量削減に成功した。また、設定温度を2度高く設定したことで1日22.6%の消費電力量を削減できた。これまで紹介した対策に加え、設定温度を2度上げることでさらなる節電効果を生むことができる。

扇風機と併用する場合は、温度むらがあるとき、あるいはもっと涼しく感じたいときに使うと効果を発揮する。たとえば、室内の上下に温度むらがあったり、エアコンからはなれた場所が暑かったりする時は、設定温度を下げるのではなく扇風機を併用して温度むらをなくそう。また、設定温度を高めても風量を強くすると体感温度は変わらないため、扇風機とエアコンを併用すると効果はさらに高まる。ただし、寝室で扇風機の風が強いと感じる時には、扇風機を壁や天井に向けて、間接気流を作るとよい。

無理をしてエアコンを使用しないなどすると、室内での熱中量リスクが高まるなど危険も多い。今年はちょっとの心がけでできる節電対策で夏場を乗り切ろう。