実際に印刷してみると、その印刷品質と速度に驚く。まず印刷品質だが、最高解像度は4800×1200dpiで黒に顔料インクを採用しているだけあって、にじみのないクリアな印刷結果が得られた。普通紙で文字中心の印刷を行った場合には読みやすくくっきりとした印刷になったし、写真用紙への印刷では粒状感なども肉眼で見ている分には気にならない。

4色印刷と6色印刷を切り替えてみると、風景写真などではそれほど差が見られないものの、より明るい色から暗い色まで再現可能な範囲が広がっているように感じた。蛍光色を使ったデザインのサイトや、明るい肌色が広い面積で使われているイラストなどでは鮮やかさが感じられる。

印刷速度はモノクロ最高22ppm、カラー最高18ppmとなっており、実際にウェブサイトをUSB接続のPCから印刷してみたところ、印刷開始ボタンを押してから1枚目の紙が完全にはき出されるまでで約30秒かかった。もちろん内容とPCの処理速度で実測値には違いが出てくるが、特に遅いという印象はない。十分快適に使える範囲といえるだろう。

4色インクでプリントしたものをマクロ撮影した。白い花びらの中に小さな点が散らばっている

6色インクでプリンタしたものをマクロ撮影した。白い部分はより白く、全体がなめらかな階調になっている

デスクサイドでもモバイルでも活躍するコンパクトプリンタ

品質も速度も、コンパクトプリンタだからという妥協感はない。給紙能力はA4用紙で50枚、封筒で3枚。日常的な利用に十分耐えられるプリンタだ。

対応用紙サイズがA4、A5、A6、B5、L判、10×15cm、封筒(C6/DL)、ユーザ定義(76.2×101.6~215.9×355.6mm)となっており、日本で一般的に使われるハガキや長4封筒のサイズが標準では用意されていないが、ユーザー定義でサイズを指定すれば利用可能だ。

唯一の難点を挙げるとすれば、作動音が大きく感じられることだろう。コンパクトモデルは全体的に音を防ぐ素材が少ないため、作動音が目立つのが普通だ。起動直後等、モーターが回るような甲高い音が聞こえるため、外出先の雰囲気等に合わせて使うように気をつけたい。家庭やオフィスで使う分にはそれほど気にならないだろう。

外出先で自由に印刷したい、オフィスのデスクサイドに手軽に印刷できるプリンタを置きたい、普段使わない時にはコンパクトに収納しておきたい、というようなニーズを確実に満たしてくれるモデルだ。大型複合機は必要ない、というユーザーにはぜひ検討してもらいたい。

■試用機の仕様
製品名 HP Officejet 100 Mobile
印刷方式 オンデマンド型サーマル・インクジェット
インクシステム 4色/6色(オプション)交換式
インク種類 黒:顔料系、カラー:染料系
用紙サイズ A4、A5、A6、B5、L判、10×15cm、封筒(C6/DL)、ユーザ定義(76.2×101.6~215.9×355.6mm)
プリント解像度 最高4,800×1,200dpi
プリント速度 モノクロ:最高22ppm、カラー:最高18ppm
給排紙トレイ 普通紙最高50枚、封筒3枚
インタフェース USB 2.0、Bluetooth 2.0、Pictbridge(10×15cm)、USBスロット
サイズ/重量 W348×D175.3×H84.4mm/2.3kg
対応OS Windows XP Home/Pro(SP2以降)/Vista/7、 Mac OS v10.5.8以降~、v10.6
付属品 インクカートリッジ、ドライバ、電源ケーブル、USBケーブル、スタートガイドなど
HP Directplus価格 19,950円