Web制作会社の成長を助けるオープンソース「EC-CUBE」

日本マイクロソフトの「WebsiteSpark」は、従業員25名以下のWeb開発会社を支援するプログラム。参加開発会社に対して、様々なWeb開発ツールが、無償提供されるWebsiteSparkには、ネットワークパートナーを通じて参加することになっている。そのネットワークパートナーのひとつに、ロックオンの「EC-CUBE」がある。「EC-CUBE」とは、日本製のオープンソースECサイト構築システムであり、オープンソースならではの柔軟性と日本の環境で使いやすい仕組みを多数備えるものだ。

EC-CUBEとは?

ECサイト構築では、海外も含めていろいろな製品が使われている。パッケージ製品・オープンソースともに豊富な種類があり、海外製のオープンソースを使うWeb開発会社も多い。ただ、オープンソースでは十分なサポートが受けられなかったり、日本の開発環境では使いにくい側面もあるなど、活用しきれていないという事例も見受けられる。 ロックオンの「EC-CUBE」は、日本発のECサイト構築オープンソースとして、自由度の高さや使い勝手の良さで評価されている。日本発ということで、コミュニティにも日本ならではのナレッジが蓄積され、開発をサポートしてくれる。2010年には、初めてEC事業にチャレンジする事業主でも手軽にECサイト構築ができることを目的にした、ASP版の「EC-CUBE ASP」を発表している。

「EC-CUBE」を活用したWebサイト開発事例

フルブライト 代表取締役 河野貴伸氏

現在、従業員数20名程度のフルブライトは、Web制作会社としてアパレル関係を中心に、総合的なWebクリエイションを提供している。ECサイトの構築では、「EC-CUBE」を使った案件を多く手がけるなど、デザインからシステム開発まで豊富な経験を持つ。「弊社は元々、普通のWeb制作会社といいますか、Webデザインを手がける会社でした」と語るのは、同社の代表取締役 河野貴伸氏(以下、河野氏)。Webデザイン関係の企業では、自然な流れで総合的なWeb制作を請け負う体制になることが多いようだが、フルブライトでもデザイナーが中心である体制はそのままに、ECサイト構築まで手がける企業として成長を続けている。

フルブライトは、様々なWebサイトを構築している

"日本発"の「オープンソース」でのECサイト構築

「昨今の経済状況などもあって、お客さまも潤沢に予算を使えるような状況ではありません。そのような中で弊社としても、ECサイト構築だけで予算を使ってしまい、デザインやメンテナンスなどに十分なコストがかけられないという状況を、どうにかしたいと考えていました」と河野氏は語る。これまでもフルスクラッチですべて組み上げたり、海外製のオープンソースなどを使っていたという河野氏は、「やはり予算やスピード感という2つを同時に満たすことはなかなか難しく、オープンソースなら予算はクリアできても、お客さまの要望に100%応えにくいなどの問題がありました」と語る。

実際、コスト的にメリットのある海外製オープンソースを使う事例も多いが、やはり日本以外の環境で開発されたゆえ、問題点もあるようだ。これについて河野氏は、「私自身がいくつもオープンソース系のものを試してみて、実際に制作でも使ってみたりする中で、どうしても海外製のものだとトラブル時の問題解決に時間がかかったりすることがあります。また、完成後にお客さま自身で運営していく場合など、やはりメンテナンスがしにくいなどの問題が起きたりしがちだということもありました」と語る。さらにいえば、制作者が海外の人であれば、文化的な背景も商習慣も異なるため、日本のECサイト構築ではマッチしない部分もあるだろう。

そんな状況の中で、"日本発"である「EC-CUBE」を知り、最初は趣味半分で使ってみたという。河野氏は、「その使いやすさと柔軟さに魅力を感じた」と「EC-CUBE」の印象を語ってくれた。もちろん、オープンソースということでコストダウンを図ることができ、クライアントに対して余剰予算をデザインなどに振り向けるというような提案もしやすくなったという。結果的にクオリティをアップしながら、全体的なコストダウンが可能になり、両者にとってwin-winの関係が築きやすくなったのだそうだ。