情報機器が高度に進化・発展した現代において、腕時計の役割も大きく変わってきた。典型的な現象としては、今の時間を知るために見る最も実用的な道具が腕時計から携帯電話に変わったと言われる。とはいえ現在でも腕時計を身につける人は多い。おそらく、ひとつにはファッションのためのアイテムという役割があるのだろうが、一方で、他の機器では代替できない機能を持つ唯一無二のツールとしての活躍を期待できるカテゴリーの時計というものもまた存在する。

その代表例のひとつが、カシオ計算機の「PROTREK」シリーズだろう。電子コンパスや気圧センサーなどを搭載し、登山をはじめとする野外活動の中で、現在地点の方位や高度をいつでも瞬時に知ることのできるアウトドアウオッチである。この時計自体はマイコミジャーナルでも度々紹介してきたのでその機能については過去の記事をぜひ参照していただきたいが、山を知り尽くした同社の開発者が手がけた、本当のアウトドアシーンにおいての実用を強く意識した製品であることがわかる。

樹脂バンドを採用したアナログ3針フェイスの「PRW-5000」(左)とチタンバンドモデルの「PRW-5000T」

ただ、そのようなこの時計ならではの機能は、アウトドアにおいてしか有用でないものなのだろうか。先に触れたように時刻を知るだけならほかにも方法がある中、あえて選ぶウォッチとして、PROTREKのようなユニークな製品を日常においても使ってみるというライフスタイルは、果たして"有り"なのだろうか?

いつもはアウトドアシーンで活躍してくれるPROTREKだが…

実際、数カ月間「普段使い」の腕時計としてPROTREKのデジタル・アナログコンビネーションモデル「PRW-5000」を使用してみたが、結論から言うと、"大いに有り"であった。

もちろん、厳しい大自然の中とは異なり、都会の生活においてどうしても現在地の高度を求めなければならないといった機会はあまりない。というよりも、まずそんな機会が訪れることはないだろう。だから、山にいるときと違ってPROTREKが日常を大きく変えるということはない。

しかし、このようなツールを持ち歩くことによって、生活感を少し豊かにしたり、世界を見る視野を少し広げられる、そんな作用が確かに実感できたのだ。……つづきを読む