【レポート】

「タイガーマスク基金」設立 - 原作者の妻「全国の伊達直人さんにお礼を」

 

一過性のブームで終わらせるわけにはいかない――。NPO法人ファザーリング・ジャパン(安藤哲也代表理事)が1日、児童養護施設の子どもたちを支援する基金を創設した。その名も「タイガーマスク基金」。同日開かれた会見には、「タイガーマスク」の作者、故梶原一騎さんの妻、高森篤子さんも同席。「全国の伊達直人さんの善意にお礼を言いたい。タイガーマスク運動で、私も何か手助けしたいという気持ちが膨らんだ。(基金は)主人の意に沿ったもの(基金設立は)だと思う」と話した。

プレス会見の様子

子どもたちの"あした"を応援したい

このタイガーマスク基金は、施設にいる子どもや、施設から社会に巣立っていく退所者を支援するために創設されたもの。基金は個人や企業、団体から募る寄付金で賄う予定だ。特に施設から社会に巣立っていく退所者の自立支援に力を入れていくという。

安藤哲也代表理事

ファザーリング・ジャパンによると、児童養護施設の子どもたちは原則18歳で施設を出なければならないが、その際に支給される「支度金」は、アパートの敷金や礼金を払ったり、冷蔵庫などの生活用品などをそろえたりするには、決して十分な額ではない。また、施設を退所した後は相談相手もなく社会で孤立してしまうケースも多い。

同プロジェクトでは、希望する施設退所予定者に審査の上、独立支援金を給付する。また、その際に支援団体への登録やセミナー参加などを条件とすることで、支援する大人との継続的なつながりを持たせるとしている。そのほか、児童養護施設や退所後の子どもたちの現状などについて知る学習会、虐待予防セミナーなどの啓発活動も行う予定だ。

公式ホームページも開設、伊達直人をイメージしたロゴ

故梶原一騎さんの妻、高森篤子さん

同基金の公式サイトも同日オープン。伊達直人をイメージしたロゴを使っており、その名の通り"タイガーマスク色"が前面に出たサイトとなっている。というのもこの基金、発起人に名を連ねているのは「タイガーマスク」の原作者である故梶原一騎さんの妻、高森篤子さんと、漫画家の故辻なおきさんの妻、辻芙美子さん。

公式サイトには、この2人からのメッセージも掲載した。高森さんは一連のタイガーマスク運動のことを「想像だにしない善意の行動」と表現。「その時になって私は気がついたのです。おのが微力と術のなさを言い訳にして、私は動こうとしてなかったことを……」と振り返り、「『タイガーマスク基金』の立ち上げは、人の役に立つ、役に立たせて貰いたいという切なる想い、心からの願いなのでこざいます」と、この基金への思い入れを語っている。

また、辻さんは「『タイガーマスク』は子どもたちに夢を与えるために、悲しみを背負い生きる人間の姿を描いた作品です。(中略)わたくしも1人の伊達直人としてタイガーマスクになり、この基金を通して子どもたちに夢を与えることに力になれたら幸せです」とつづっている。

『お前いいことしたな』とほめてもらえるかも

会見には、高森さんと、「タイガーマスク」の漫画を描いた故辻なおきさんの長男、辻秀樹さんの姿も。高森さんは「主人は50歳で亡くなったが作品を遺してくれたおかげで私と子どもたちは生活に困らず生きてこられた。そのことに対するお礼の気持ちを社会に返したい。私にとって主人が書いた作品は主人の『分身』。それがこの社会で役に立たせてもらっていること、パワーを起こしてくれていることに感謝したい。(基金は)主人の意に沿ったもの。主人からは『お前いいことしたな』とほめてもらえるのでは」と話した。

また、辻さんは「児童養護施設などへの支援が全国に広がり驚いた。全国の伊達直人さんには感謝の気持ちでいっぱいです」と述べ、「父は子どもが大好きで、近所の子どもとキャッチボールしたり、ボーイスカウトの活動にも携わっていました。この基金のことをすごく喜んでいると思います」と天国にいる父親のことを語っていた。

安藤代表理事は「社会に旅立つ青少年への目に見える支援をしていきたい。子どもたちの"あした"を応援していきたい。せっかくのタイガーマスク運動を一過性のものにしないことが重要だと思う」と広く募金を呼び掛けている。

左から2番目が辻秀樹さん、3番目が高森篤子さん

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