デルタ航空会社 アジア太平洋地区担当上級副社長 ヴィネイ・デューベ氏

デルタ航空は2月17日、羽田空港の就航およびアジア地域における事業戦略について記者会見を行った。デルタ航空は、日米間路線で、週あたり117便を就航。アメリカン航空の41便、日本航空の30便、ユナイテッド/コンチネンタルの70便、全日空の42便を大きく上回る。

2月20日からは羽田-デトロイト、21日からは羽田-ロサンゼルスの2つの新規路線を就航し、さらに路線の強化を図る。羽田発の羽田-デトロイト便は、午前6時55分に出発し、現地時間の午前4時50分に到着。デトロイト発は午後7時30分発で、翌日の午後11時に到着。羽田-ロサンゼルス便の羽田発は午前1時に出発し、先日の午後6時40分に到着、ロサンゼルス発は午前0時10分発、翌日の午前5時に到着することになる。

デルタ航空会社アジア太平洋地区担当上級副社長のヴィネイ・デューベ氏は、「東京在住の方には大変便利な便になる。また、羽田と米国西海岸、東海岸双方へのゲートウェイを結ぶ唯一の米国航空会社になるほか、デルタ航空のデトロイトとロサンゼルスからのネットワークを活用することで、米国内140都市以上に、スムーズな乗り継ぎを実現する。予約数については明らかにできないが、いい手応えを感じている」とした。

他社を大きく引き離す日米間路線の便数

羽田空港から新たに就航する2つの新路線

デルタ航空会社 成田機内食部 総料理長 石本正敏氏

機内食については、デルタ航空会社成田機内食部総料理長の石本正敏氏が説明。「生活リズム、体内時計を考慮してメニューを考えた。メインディッシュで量の加減ができるようにしたのが特徴」とし、羽田-デトロイト便では朝食スタイルの和食を開発。深夜発となる羽田-ロサンゼルス便では、睡眠確保のために短時間のサービスを心がけたという。

なお、デルタ航空では、機内食の食材はアメリカ南部最優秀シェフのミッシェル・バーンシュタイン氏が選定、ワイン選定は世界で15人しかいないコートオブマターソムリエ認定のアンドレア・ロビンソン氏が担当しているという。また、機内食はすべて自社で調理しており、新たに就航する便の機内食も同様の調理方法を採用。「オートメーション化したものではなく、すべて手づくりで行っている」(石本氏)と語った。

羽田-デトロイト便の機内食

羽田-ロサンゼルス便の機内食

一方、同社では、2月20日から3月31日まで羽田路線の特別キャンペーン価格を用意。ロサンゼルス便は平日は4万円、週末は5万4,000円(燃料サーチャージは別途)などで提供する。さらにマイレージプログラム「スカイマイル」を利用した羽田キャンペーンを開始。3月31日までに羽田路線を利用すると最大3倍のボーナスマイルのプレゼント、旅に関するアイデアを投稿すると、毎週1名に2万マイルのプレゼント、応募者全員のなかから抽選で1名に100万マイルをプレゼントする。

また、これまでスカイマイルは、24カ月間利用がない際にはマイルの有効期限が切れていたが、2011年1月1日にさかのぼって、マイルの有効期限を廃止。米国主要航空会社のなかで、唯一、マイル有効期限がないマイレージプログラムになるという。さらに、シルバー、ゴールド、プラチナの3種類のメダリオン会員資格に、新たに最上級のダイヤモンドを追加した。

羽田便の特別キャンペーン価格を用意する

新たな羽田就航を記念したスカイマイルキャンペーン

会見では同社の業績およびアジア地域の戦略についても触れられた。

2010年の業績については、「売り上げ増加に加えて、デルタは最も高い営業利益をあげている航空会社であり、前年比26億ドルもの利益向上を実現。約20億ドルのキャッシュフローを活用し、債務を削減することでバランスシートを改善。機内プロダクト、テクノロジー、施設、設備の機材間の差をなくして、長期的にビジネスを展開できるインフラを確立した」(デューベ氏)という。

同社が発表した2010年12月期の通期連結決算では、純利益が14億ドル、特別項目を除く純利益は5億9,300万ドルとなった。また純負債は150億ドルとなり、前年から20億ドル削減したという。

2011年度の事業計画については、「これまでの取り組みと一貫したものであり、経済環境の改善、法人需要の拡大、綿密な座席供給量の調整により、利益の増加・拡大を目指すほか、バランスシートの強化、将来に向けた戦略的投資を継続することで、売上げ増と生産性の向上を図る」とし、「ビジネスニーズが高いが、乗り入れに制限がある市場において、効果的に座席を増やすことで、国際的成長をを見込む。国際的成長の大部分をヒースロー、羽田、北京、上海への就航から見込む」とした。

また、2013年度までに総額20億ドルを投じて、空港での顧客サービスの向上とテクノロジー導入を推進。空港ラウンジ「スカイクラブ」を全世界でリニューアルするほか、ニューヨークJFK空港とアトランタ空港で国際線ターミナルを改装。成田空港では、顧客サービス専門スタッフ「レッドコート」の導入と、手荷物検査場での優先レーンの設置を行う。

また、機内サービスの強化においても、2013年までに20億ドルを投資して、すべての国際線長距離用ワイドボディ機材に完全水平になるフルフラットベッドシートの導入に加え、すべての長距離用機材にオンデマンド型個人用オーディオやエンターテメイントシステムを導入。新エコノミーコンフォートクラスの設置や、米国内のローカル線向けの70席小型機にもファーストクラスを追加する。また、米国内線用機材の80%にあたる772機に機内インターネットWi-Fi設備を導入する。

2011年夏からボーイング747-400型に導入されるフラットベッドシート

さらにスカイチームとしてのネットワークを強化。スカイチーム加盟航空会社の日本発着路線は、1日176便になるという。「成田空港も引き続き、ハブとしての役割は重要にものになる」としている。

なお、デルタ航空は2008年以降、12の太平洋路線を追加しており、日本およびアジアでのネットワークを拡大しているという。中国市場の成長にあわせて、北京-デトロイト、北京-シアトルといった米中を結ぶ路線も強化しているところだ。「利用者の経験がよりよいものになるように、さらサービス品質を高めていくために投資を進める考えであり、、ネットワークも拡大していきたい」(デューベ氏)とした。