シニアシステムズエンジニア 西田和弘氏

「ジャーナルITサミット - 2010 仮想化セミナー」のヴイエムウェアの講演では、シニアシステムズエンジニアの西田和弘氏が登壇。「仮想化を拡大していくための考え方とその設計方法」と題し、サーバ統合率の向上、キャパシティ管理、仮想化拡大のための指針について解説した。

西田氏はまず、仮想化環境をめぐる近年の動向として、市場に出回る新規サーバの多くが仮想化を前提とした製品になっており、性能、可用性、セキュリティといったこれまで仮想環境に抱かれがちだった懸念は払拭されていることを指摘。仮想化が標準になるなかで、仮想環境を有効に活用し、さらに拡大していくためには、どういった点に目を向けておくべきかを説明した。

統合率を向上させる施策

仮想環境を活用するうえで、まず留意すべき点としては、統合率の向上がある。統合率とは、単一のハードウェア上で同時に動く仮想マシンの数がどのくらいになるかを示したもの。仮想化の目的の1つはコスト削減にあるが、どうコスト削減を進めればいいかの指標として利用できるのが統合率だ。

「ハードウェア1台を100万円とすると、統合率を上げれば上げるほど、サービスあたりのコストは下がる。統合率が1対1の場合は、100万円だが、10対1になると、10万円。20対1になると5万円。統合率を上げればコスト削減に直接つながる」(西田氏)というわけだ。

では、統合率を挙げるために具体的にどのようにすればよいか。いくつかの方法があるなかで、西田氏が提案するのが、仮想化環境の中で、リソースを自動的に再配置する方法だ。ヴィエムウェアでは、統合率を上げるためのシステムとして、DRS(Distributed Resource Scheduler)を提供している。DRSは、クラスタの各ホストのCPU、メモリの負荷状況を監視し、vMotionにより動的にロードバランスしたりする機能を提供するもの。

「簡単にいえば、vMotionを使って、各物理ホストの負荷を分散、平均化するもの。負荷が高い仮想マシンが同じホストに同居しているケースでは、ピークが重なるためにそのままでは統合できないが、負荷を分散することで、すべての仮想マシンの要求を処理し、統合が可能になる。実際の利用者調査では、仮想マシンの統合率が40~60%向上した例がある」(西田氏)

キャパシティ管理の自動化

統合率の向上に加えて留意すべき点がキャパシティ管理だ。仮想化環境では、リソースプールを作成してCPUやメモリなどを配置することになるが、これを手動で行っていては、システムとして最適かどうかが分かりにくくなる。それを見極めるための仕組みを使うことで、統合率の向上を図り、また将来の需要も予測しながら理想的なリソース状態を保つことが可能になるという。

「仮想環境が整備されると、新たな環境を簡単に構築できるようになるため、次々と仮想マシンが生成されていく傾向がある。そこで重要になるのは、いつリソースが足りなくなるのかを予測すること。これは通常、決して簡単な作業ではないが、適切なキャパシティ管理を行うことで、リソースを可視化し、将来的な需要の予測に対応できる」

具体的には、ヴィエムウェアが提供する「VMware vCenter CapacityIQ」というツールを利用することで、適切なキャパシティ管理が可能になるという。このツールは、中・長期の平均データからリソース利用率の傾向を推測し、どの時点でリソースが足りなくなるかを示すことができる(トレンド分析)。また、仮想マシンの追加やホスト追加などのシナリオに応じて、予測されるリソース状況をシミュレートする機能(What if分析)なども有するという。

西田氏によると、こうした統合率の向上とキャパシティ管理の最適化を行った後は、クラウド環境への対応が求められるようになる。「クラウド環境は仮想化環境の正常な進化形と言えるもの。その際に、システム管理者から心がけておくべき点としては、ハードウェア障害に対応できる可用性をどう担保するか、シンプルで明確なSLAに基づく課金モデルが構築できるかなどがある」(同氏)とする。また、ヴィエムウェアでは、クラウド環境に対応したプラットフォームとして、VMware vCloud Directorなどを提供していることなども紹介した。