こんにちは。一日3時間をニコニコ動画に費やすダメ社会人、山田井ユウキです。

今日もさっそく最近流行の動画や埋もれている良動画を独断と偏見で皆さんに紹介していこうと思います。選ぶ基準はただ一つ、僕の趣味です!

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さて、ニコニコ動画で人気のジャンルといえばまず出てくるのが「ボーカロイド」です。これはもう、今さら説明するまでもありませんよね。

では、「人力ボーカロイド」はご存じでしょうか?

え? ボーカロイド自体が人の手で調律するものなんだから"人力"だろうって?

それは確かにそのとおり。でも、ニコニコ動画において「人力ボーカロイド」というのは、そういう意味ではなく、通常のボーカロイドとはまた違った一つのジャンルを指した単語なのです。

では実際の動画をご覧いただきながら説明していきましょう。


とりあえず再生していただきたいのですが、この歌声を聴いてどう思われたでしょうか?……タイトルにあるとおり、ミュージシャン「宇多田ヒカル」の歌声に確かに酷似しているものの、何かこう、妙な違和感も覚えたかと思います。

これは別に宇多田ヒカル本人が歌った楽曲というわけではなく、過去の彼女の歌った音源から音をピックアップして切り貼りし、「ココロ」という楽曲のメロディーを再現しているのです。

つまり、「なぜ　私　震える」という歌詞ならば、「な」「ぜ」「わ」「た」「し」「ふ」「る」「え」「る」をそれぞれ宇多田ヒカルの曲から探し出してきて抽出し、つなげた上で音程を調整して制作しているのです。

もちろん実際には「私」「震え」といった単語はその固まりで使われがちですから、それらが見つかりさえすれば一文字ぶち切りよりは自然に合成することができるでしょう。

しかし、それを見つけ出すためには宇多田ヒカル本人の楽曲をとことんまで聴き込む必要がありますし、その後には音程を調律するという難度の高い仕事が待っています。

人力ボーカロイドとは、そうした苦労と愛が生み出した結晶のような動画なのです。

ちなみにこの動画、宇多田ヒカル本人の目にもとまったようで、Twitterで「よく出来てるね～これ！制作者に拍手。しかし、自分の顔を使ったコラ写真を見た時のような気持ち悪さが(笑)」というコメントを残しています。

さて、それではそれ以外にも、いくつか僕のお気に入り動画をご紹介していきましょう。


「千の風になって」で知られるテノール歌手の秋川雅史が、ニコニコ動画初期から大人気の「true my heart」を歌うという現実には絶対にありえない人力ボーカロイドならではの奇跡のコラボレーション。切り貼りされてもそれとわかるだけの歌のうまさはさすがの一言です。

秋川雅史はこれ以外にもいくつか人力ボーカロイドとして動画が制作されており、「千の風になって」の歌詞をもじって「墓歌(ぼか)ロイド」というナイスなタグが定着しています。


タイトルだけ見ると普通のボーカロイド曲ですが……実はこれ、投稿日に注目していただくとわかるとおり、まだ鏡音リンの発売前に投稿された動画なのです。

じゃあどうやっているのかというと、鏡音リンの音声を担当している声優の下田麻美の音声を切り貼りすることで、擬似的に鏡音リンの歌声を作り出しているわけですね。何ともはや、驚くべき努力と技術です。


以前、一度ご紹介したのですが、大好きなので再掲。ご存じ喋りもいける偉大な野球選手の板東英二に、ボーカロイドの人気曲「裏表ラバーズ」を強引に歌わせた動画。

歌詞をそのまま再現するのではなく、板東英二自身のキャラクターに合わせた改変がなされており、これがじわじわと笑いのツボを刺激してきます。


芸能人ではなく、ニコニコ動画で大人気の歌い手「いさじ」の声を使った人力ボーカロイド動画も存在しています。わかる人にはわかると思うのですが、本当にすごい完成度で、本人からも「あれ、いつ歌ったっけ?」という茶目っ気たっぷりのコメントがもらえたのだとか。


最後は現在のニコニコ動画における人力ボーカロイド最高峰の作品をどうぞ。

……もはや本人以外の何者でもないというか……知らずに聞いたら、いや、知ってから聞いても、とてもこれが音声の切り貼りと調律で作られた人力ボーカロイド作品だなんて信じられません……。

以上、驚くべき技術と努力、そして愛に満ちあふれた、人力ボーカロイド作品のご紹介でした。

勝手エヴァンジェリスト・山田井ユウキ

1980年生まれ。レビューサイト「カフェオレ・ライター」で、映画、漫画、ゲームなどを独自視点からレビューする他、「builder by ZDNet Japan」「ハリウッドチャンネル」など各種媒体で記事を連載中。どんなに忙しくても一日数時間ニコニコ動画に費やすという、社会人としてあるまじき生活を謳歌中。好きな動画ジャンルはゲーム実況、ボカロ、他エンタメ系全般。
(タイトルイラスト:3P3P) ※本コラムで紹介している動画は、作者やサイトなどの都合により削除されることもあります。あらかじめご了承ください。