1月9日、東京大学 本郷キャンパスで日本最大級のAndroidイベント「Android Bazaar and Conference (ABC) 2011 Winter」が開催された。

主催は、「日本Androidの会」。携帯キャリアや携帯メーカー、Android開発者による講演や展示が行われた。本稿では基調講演と招待講演を中心に、イベントの様子を紹介する。

基調講演を行う日本Androidの会 会長の丸山不二夫氏

基調講演を行ったのは、日本Androidの会 会長で早稲田大学大学院客員教授の丸山不二夫氏。冒頭で丸山氏は、本イベントの目的を「Androidの広がりを実感してもらうこと」だと述べ、講演を始めた。まず、丸山氏は今日のAndroidの世界を読み解く視点として、ハードウェアの高機能化、低価格化という「コモディティ化」が進んでいることを指摘。40年前に使われていた超大型コンピュータ「Cray」を引き合いに、今日ではCrayをはるかに超える処理能力を持った携帯が爆発的に普及していると述べた。また、サーバを大規模に集積するクラウドは、コモディティ化の典型であるとした。

40年前の大型コンピュータ「Cray」とAndroid初期機の比較

さらに、指数関数的に増大しているハードウェアの処理能力は過剰な状態であり、その過剰な能力は個人のコミュニケーションや情報共有のために消費されていると述べた。

続いて丸山氏は、ネットワークの利用も爆発的に増大しているとし、その例としてTwitterやFacebookが驚異的な成長を遂げていることを挙げた。また、iPhoneの登場により米AT&T社のトラフィックが3年間で50倍に増大したことを紹介。IT技術の「コンシューマ(=消費者)化」により、万人がIT技術の恩恵を受けるようになったと述べた。加えて、タッチスクリーンや音声認識、画像認識や動作認識といったわかりやすいインタフェースの進化がコンシューマ化を加速しているとした。

丸山氏は、音楽、映画、出版、放送などのメディア産業が、クラウドとクラウドデバイスによって今後10年でダイナミックに変化するだろうと予測。そして、その変化のすべてと接点を持つのがAndroidであると指摘した。また、日本の可能性については、高機能携帯などのクラウドデバイスが多く普及していることを強みとして挙げた。いわゆる「ガラケー」と呼ばれるフィーチャーフォンは、機能面では先進性があり、課金などのビジネスモデルには学ぶべきものがあるとした。

最後に、日本のAndroid開発者は国内市場を狙うのではなく、グローバルな市場で勝負することが重要だとし、Androidマーケットへのアップロード数で世界1位を目指そうと述べ、講演を締めくくった。