今の旬はなんと言っても「ふたご座流星群」の観察&観賞だ。残念ながら、もっとも活発に流れる極大と呼ばれる14日(2010年12月)の関東の夜の天気は曇りが多く、見逃した方も多かったと思う。しかし、極大が過ぎたからと言って流星がまったく見られなくなるわけではない。宝くじの前後賞と一緒で、国立天文台の情報によれば11日~16日の間ならそれなりに流れるというので、チャンスはまだあるから流星観察にチャレンジしてみてはいかがだろうか。

しかし、流星は見たいが「ふたご座ってどこにあるの?」という人が多いのではないだろうか。昔、天文少年だったという人ならともかく、突然空を見てふたご座がわかる人はそういないはずだ。でも大丈夫。iPhoneユーザーなら、簡単にふたご座の位置を検索して表示できるアプリが揃っている。しかも流星群の中心である放射点(輻射点)の位置も表示してくれるので、お子さんとの流星観察あるいは彼女とのデートの際に「流星群って放射点という流れる中心があるの知ってる?」と自慢することもできる。

今回紹介する星座アプリは「Star Walk」「星地図 3D+」「星座表」「iステラ」「Starmap Pro」の5本。どれも星座を探すには便利なアプリだが、機能や使い勝手が異なる上にすべて有料なので、ふたご座流星群以降も宇宙を楽しみたい人は、自分にあったアプリを選んだほうがいいだろう。次の大きな流星群は1月4日が極大といわれている「しぶんぎ座流星群」だ。しかし、しぶんぎ座という名称は現在使われておらず実はりゅう座の一部にこの流星群の放射点があるのだが、「そもそもりゅう座ってどこよ?」という人も多いだろうから、ふたご座流星群を見逃した人は今から星座アプリを使って勉強して挑戦してはいかが。

すっきりした画面で星空を気軽に散歩「Star Walk」

「Star Walk」の画面は横位置表示のみ。ユーザーインターフェイスが小さなアイコンに機能的にまとめられており、かなり広々と感じる。また、星座と星座線が画面の中央に来ると浮き出るように表示されるので、星座アプリにありがちな「表示情報が多すぎて何がなんだかわからない」という見にくさもない。星を探す、あるいは実際の宇宙と比べながら楽しむにはオススメのアプリである。

設定項目は他の星座アプリと比べてシンプルで、夜間モードや星座など7項目のみだ。これは、星座のイメージが画面の中央に来るまで表示されないので、細かいオンオフは必要ないという考えなのかもしれない。デジタルコンパスに対応し、宇宙に向けてiPhoneの位置を変えるとそれに応じて画面も移動する。また、カメラで撮影した画像とアプリの天体図を重ね合わせてコンパスを調整する機能も備えている。検索項目は、星座、太陽系、深宇宙、星、衛生数の5種類。価格は350円(執筆時点)。

星空の散歩にはもってこいの星座アプリ。動きがスムーズで、画面の中央に来た星座のみイメージと星座線を表示するなど使いやすさに気を配っている

なお、対応モデルは、iPhone、iPod touchおよびiPad互換、OSはiOS 3.0以降、ジャンルは教育、アプリサイズは120MB、対応言語は日本語他、執筆時のバージョンは5.0。

宇宙空間を旅できる星座図鑑「星地図 3D+」

「星地図 3D+」は、縦横表示が可能な星座アプリで、デジタルコンパスと加速度センサーに対応しており、リアルタイムで宇宙の様子を表示できる。このソフトは「プラネタリウム」「完全図」「3Dナビ」という3つのモードを備えており、用途に応じて使い分けられるのが特徴だ。「プラネタリウム」は、他のアプリと同様に現在の位置と時間で見られる天体を表示するもので、星座アプリとしての基本機能だと言えよう。「完全図」は天球表示、「3Dナビ」は星の物理的な位置を3Dで表示するもので、まるでスタートレックのU.S.S.エンタープライズ号で宇宙空間を旅しているような気分が味わえる。

データは、4万個以上の星および6,538の遠距離天体を収録。設定は、星、星座、座標、位置、時間など8項目可能。星座、星、太陽系、Deep Skyの4つから検索することが可能で、検索した位置に向けて矢印が表示され、iPhoneをその方向に動かすと実際の宇宙での位置を知ることができる。操作が簡単で動作が軽快な手軽に使えるアプリといえよう。価格は350円(執筆時)。なお、1万5,000個以上の星、303の遠距離天体に絞った「星地図 3D」は230円(執筆時)。

地平線の上に天体が表示される「プラネタリウム」モード(1番目の図)。GPSに対応しており、iPhoneを動かすと表示もリアルタイムに変わる。「完全図」は天球での表示(2番目の図)、「3Dナビ」は宇宙空間を高速で移動することができる(3番目の図)

タッチすると写真と一緒に情報を表示「星座表」

「星座表」は、GPSに対応するなど、基本的な機能は他の星座アプリとほとんど同じだが、表示されている星や星団・星雲にタッチすると画面の切り替えなしに情報を表示することができる。しかも星団と星雲は写真付で表示されるので肉眼で見えなくてもその姿を知ることが可能だ。太陽系の惑星の多くは地表を、月は月面に着陸した宇宙飛行士の写真が表示される。

画面の中央に星座が来ると絵が表示されるのは「Star Walk」と同様だが、星座線は全体で一括して表示する/しないの選択のみとなっている。画面は縦横どちらの表示にも対応しており自由度が高い。検索は、惑星、星、星座、Messiersの4種類で、矢印で検索した位置までiPhoneを導くようになっているが、星座以外は到達した瞬間に説明文が表示されてしまい星が隠れてしまうのは少々残念だ。価格は350円(執筆時)。

画面中央に来た星座のみイメージを表示するため比較的見やすい。星団や星雲をタッチすると写真付の解説が表示される。また、本来は肉眼では見えない地球の裏側にある天体も表示することが可能だ

なお、対応モデルは、iPhone、iPod touchおよびiPad互換、OSはiOS 3.0以降、ジャンルは教育、アプリサイズは16.2MB、対応言語は日本語他、執筆時のバージョンは1.74。

表示の美しさと詳細な設定が可能「iステラ」

「iステラ」の特徴は、なんと言ってもその美しい表示だろう。星がキラキラと輝き、恒星によって大きさや色も異なる。しかも地平線よりも下の場所、つまり本来は見えない星も表示することができ、「地面の下にはこんな星座が出ているんだ」という感慨に浸ることができる。

機能は豊富で、経過時間によるアニメーションや大気差の浮き上がり/減光のシミュレーションなどもできる。また、恒星、星団、星雲といった細かい表示のオンオフも可能で、恒星、星座、メシエ天体、太陽/月/惑星、彗星、流星群の放射点の6種類から検索もできる。ただし、操作ボタンが小さくて押しづらいのと、アイコンで表記されているために慣れないと間違えることが多い。現在のバージョンは不足していたGPSやコンパス機能も搭載している。価格は1,000円(執筆時)。

星がキラキラと光る「またたき」を再現しているのはこのアプリだけ。下に配置されたボタンが小さく、数もかなり多いため、操作性はいまひとつだが詳細な設定が可能だ。なお、流星群の検索ができるのはこの「iステラ」と「Starmap Pro」で、「Star Walk」は放射点の表示のみ

なお、対応モデルは、iPhone、iPod touch、ジャンルはナビゲーション、アプリサイズは9.2MB、対応言語は日本語、執筆時のバージョンは2.1.1。

最大のデータ量を誇る最強の星座アプリ「Starmap Pro」

今回紹介している星座アプリの中でもっとも高価で高機能なアプリがこの「Starmap Pro」だ。250万個の星、8,300個の星の物理的特性、47万5,000個の小惑星、隕石ゾーンなどを収録。また、最高16等級まで表示可能で、NGC/IC天体カタログを網羅しているという。もちろんデジタルコンパスをサポートしているのでリアルタイムでiPhoneを向けた方向の天体を表示することができる。

設定項目も実に豊富で、検索は、惑星、星座、星、銀河、星団、星雲、流星、彗星、ID、キーワードが可能で、さらに表示された写真からの検索もできる。極めつけは望遠鏡のコントロール。天体の見かけの大きさを観測できる接眼レンズビューや向きのコントロールまでできてしまうのだ。普通の星空の散歩にも利用できるが、どちらかと言えばアマチュア天文家向けの観測用アプリという側面が強い。価格は2,200円(執筆時)。12等級35万個の星に絞るなどデータを省略した「Starmap」は1,400円。

「Starmap Pro」のデータ量は今回レビューした中で最も多く、さらに望遠鏡のコントロールが可能で、接眼レンズで覗いた際の天体の見かけの大きさがシミュレーションできる。通常の星空散歩にも使用できるが、光学機器の設定などはかなり専門的で、天体観測を経験したことがないとすべてを使いこなすのは難しいだろう

なお、対応モデルは、iPhone、iPod touchおよびiPad互換、OSはiOS 3.1.2以降、ジャンルはレファレンス、アプリサイズは76.3MB、対応言語は日本語他、執筆時のバージョンは2.1.4。