【レポート】

金星探査機「あかつき」続報 - エンジン噴射中に1回転していたことが判明

 

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は12月8日、この日2回目となる記者会見を開催し、金星探査機「あかつき」について、午後になってから明らかになった新情報を公表した。新たに、軌道制御エンジン(OME)噴射後の姿勢情報が分かっており、これによって、探査機が5秒間で1回転するほど大きく姿勢を乱していたことが明らかになった。

同日午前に開催された記者会見の内容はこちら

同日20時半より開催された記者会見には、中村正人プロジェクトマネージャが出席。この姿勢情報について詳しく説明した。

「あかつき」ではすでに3軸制御が確立しており、午後からハイゲインアンテナ(HGA)の高速通信(32kbps)を使って、探査機のデータレコーダーからのダウンロードを開始した。この日取得できたデータ量は28MB。まずは、セーフホールドモードへの移行がいつ起きたのかを調べるために、推進系の調査に着手した。

グラフは、横軸が時間、縦軸が目標姿勢と実際の姿勢の差を表している。線が3本あるのは、それぞれX/Y/Z軸周りの角度である。OME噴射(8時49分)直後に少し乱れた姿勢は、大体1分30秒後くらいには収束。その後しばらくは安定していたが、2分23秒後にいきなり姿勢を崩したことが見て取れる。

OME噴射後の姿勢情報

あかつきのX/Y/Z軸

特に大きく乱れたのはX軸周りの姿勢。エンジンを噴射したまま、ほとんど5秒間で1回転してしまっている。X軸というのは、ローゲインアンテナ(LGA)が付いている面を貫いている軸で、X軸周りに1回転というのは、ちょうどLGAをコマの軸にして回ったような形になる。もちろん、これは通常ではあり得ないことで、この直後にセーフホールドモードに入ったと見られている。

この「2分23秒後」に何が起きたのかは、現時点では分かっていない。可能性としては、OMEのトラブル(破損など)も考えられるが、中村プロマネは「今後の詳細な解析を待ちたい」として原因の断定は避けた。

「あかつき」は6年後に金星に再接近する見込みで、そのときに周回軌道投入に再び挑む方針であることは前回のレポートで述べた。今回の燃焼が予定(720秒)の2割程度で終わったため、推進剤はかなり残っていると見られるが、もしOMEに問題があって使えないとなると、軌道投入はかなり難しいものになる。

「あかつき」のOMEでは、世界で初めてセラミック製のスラスタが搭載された。これとの因果関係を指摘された中村プロマネは、「セラミックなので割れやすいと思われるかもしれないが、試験をして十分な強度があることが確かめられている。μmオーダーの微粒子が衝突しても壊れることはない」として、強度への不安は退けた。

OMEに異常があるのかないのか。カメラがないので外観のチェックはできず、調査できることに限りはあるが、試験をするチャンスがあれば、再噴射を試みる可能性もあるという。ただし、推力が500Nと強力で噴射すると軌道が変わってしまう上、再び姿勢を乱してしまう恐れもあるので、かなり慎重に行う必要がある。

原因の究明には、今後、まだしばらくはかかる見込み。JAXAは順次、姿勢系以外のサブシステムについても、ダウンロードしたデータの分析を進めるとしている。

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