フォトリカバリー9.0plus 写真・ムービー復元

デジタルカメラの写真ファイルやムービーファイルにも様々な種類のものがあるだろう。ファイル拡張子の話だけではない。初めて登山した山頂での雄大な景色、久しぶりに会った友人との飲み会での写真、家族でのひさしぶりの団らん、結婚式や披露宴での思い出など人生の歴史を綴る大切なシーンなど。これらは同じ拡張子を持つファイルであってもWeb上にある拡張子とは異なり、かけがえのない1枚のファイルであったりする。データをしっかりと保存しておかなければ、遡って撮影するわけにはいかないその時だけのデータである。

図2AOSテクノロジーズのフォトリカバリーのWebページ

AOSテクノロジーズは、画像、動画、音楽データなどの復元を目的とした復元ツール「フォトリカバリー9.0plus 写真・ムービー復元(以下、フォトリカバリーと略記)」を販売開始した。同社の製品には、同様の機能を有するファイナルデータシリーズがあるが、フォトリカバリーは復元対象となるファイルを写真やムービーに特化し、操作を簡略化することで、より初心者にも扱いやすいものとなっている。

今回の新機能では、スキャン機能が強化された。これによりフォーマットを要求されるようなメディアでも、物理ドライブスキャンで事前にフォーマットをすることなく、復元ファイルのスキャンが行える。システム要求は以下の通りである。

  • PC/AT互換機(NEC PC-9800シリーズでは、物理ドライブを認識しない可能性あり)
  • 対応OSは、Windows 7、Vista、XP、2000、NT4.0、Me、98、95(OSR2以上)、NT4.0 Workstation(SP4以上)、Server 2008、Server(SP4以上)、Server 2003などで、日本語版。また64bit版にも対応
  • メモリは、OSが動作する必要量に加え、128MB以上(256MB以上を推奨)
  • HDDの空き領域として、15MB(ただし、復元したファイルの保存領域は含まず)

これら以外にも、Webブラウザや光学ドライブが必要となるが、特に厳しいものはない。販売価格は、AOSテクノロジーズでは発売記念特価として、ダウンロード版が5,500円、パッケージ版が7,480円で販売されている。同社Webサイトには詳細な情報も掲載してあるが、復元対象となる画像ファイルの種類だけでも以下のように幅広い。

AI / BMP / EPS / GIF / JPG / PCX / PNG / PSD / THM / TIF / WMF / CR2 / CRW / DCR / DNG / ERF / KDC / MEF / MFW / MOS / MRW / NEF / ORF / PEF / RAF / RAW / SR2 / SRF / X3F

フォトリカバリーの便利な機能として、デジカメ画像ファイルでは、復元前にプレビューしたり、印刷することができる。動画ファイルでは、最初の1コマ目を表示、音楽ファイルは再生を行うこともできる。これらの機能をうまく組み合わせることで、復元するファイルを効率よく選択することができるであろう。フォトリカバリーは、PCにインストールし実行する方法と、製品CD-ROMから実行するといった2通りの方法が可能である。インストール前に、HDD上の復元作業が必要となった場合、CDから起動し、復元の可能性をより高めるためである(インストールでデータの上書きが発生し、復元できないこともある)。

図3 製品CDからの起動も可能

ここでは、事前にフォトリカバリーをインストールしておく。

図4 インストール画面

デジカメの画像ファイルを復元

では、フォトリカバリーのもっとも標準的な機能のデジカメの画像ファイルを復元してみよう。ここでは、普通に削除を行った状態で復元を行ってみる(誤削除などの例にあたる)。まずは、現状である(図5)。

図5 画像ファイルが存在しないデジカメ

ここで、フォトリカバリーを起動する。まずはドライブ選択となる(図6)。

図6 ドライブの選択

後述するが、フォーマットしますか?といったメッセージが表示される場合は、論理ドライブではなく物理ドライブから選択する。ここでは[リムーバブルディスク]を選択する。次いで、復元したファイルの種類を指定する(図7)。

図7 復元するファイル種類の指定

ここではデジカメなので、[画像ファイル]にチェックを入れる。次にファイルの拡張子の選択である(図8)。

図8 ファイル拡張子の選択

デジカメの場合は、ほとんどが「JPG」であるが、わからなければ[すべて選択]にチェックを入れ、すべての拡張子を選択する。ついでスキャンの方法を選択する。今回の例のように、誤削除を行った場合には、[高速スキャン]を選択する(図9)。

図9 スキャンの詳細を設定

高速スキャンが復元ファイルが発見できない場合は、詳細スキャンを選択する。ただし、セクタ単位では時間もかかる点に注意しよう。図5で保存された画像が残っている場合などは、[「通常のファイル」は検出しない]にチェックを入れることで、削除されたファイルのみを表示させることができる(ここでは、1つもないのでチェックを入れなかった)。実行するとフォトリカバリーのメイン画面に移動し、拡張子ごとのフォルダが作成される(図10)。

図10 フォトリカバリーのメイン画面、画像

ここで、左のペインから「jpg」のフォルダを選択する。復元可能なファイルが表示される(図11)。

図11 一覧の表示、148個も見つかった

[表示]メニュー、もしくはツールバーからサムネイルの表示を選択すると、サムネイル表示となる(図12)。

図12 サムネイル表示

右クリックでプレビューもできる(図13)。

図13 プレビュー

あとは、復元したいファイルを選択し、[ファイル]→[復元]、もしくはツールバーから復元を行う。復元先のフォルダを指定する(図14)。

図14 復元先のフォルダの指定

復元を行うドライブを復元先には指定できない。この例ではHDDを選択する(HDDからの復元では、別ドライブやUSBメモリを使用するとよいだろう)。

図15 復元したデジカメ画像ファイル

もちろん、すべてのファイルやファイルを複数選択しての復元も可能である。