色々気がついたこと

今回出展者として参加して、色々見えてきたノウハウを以下にちょっとまとめてみた。

  • こちらから声を掛ける

勿論来訪者の中には「これ何ですか?」と積極的に声を掛けてくださる方も居られるが、大抵は「これ何だろう? 説明してくれないかな?」と待っている人が殆どである。筆者の経験で言えば、積極的に話しかけてくれる来訪者は大体1割程度だろう。なので、「あ、説明聞きたがっているな」と思う人がいたら、すかさずこちらから「これはですねぇ」と声を掛けて説明を始めるのが吉である。

  • 展示内容の紹介とチラシは重要

目立つところに、「今回は何を紹介したいか」をA4一枚程度にまとめて張っておくと、先の「これ何だろう? 説明してくれないかな?」という人がまずそれを読んでくれる。そうした人にすかさずチラシ(内容は紹介と同じで良い)を渡すと、今度はそちらを読んでくれる。興味ない来訪者はこの時点でチラシを「結構です」と断ったり、貰ったらすぐ別の場所に移動することが殆どである。逆にここでチラシを読み始めた来訪者はまず展示に興味を持ってくれているので、すかさず声を掛けて説明を始めると熱心に聴いてくれる。

  • だらだら話をしない

ある程度、起承転結をまとめて数分(2~3分程度)で全体の説明が終わるようにしておく。中には説明を聴いて「やっぱり興味ないや」という来訪者もいるので、そうした方が立ち去りやすいように、話にオチをつけるとお互いに幸せになれる。本当に興味ある来訪者は、その後でも食いついてくるので、そうしたらゆっくりお話をすれば良い。

  • 引きがあると便利

今回はCPUに無駄に負荷を掛ける、という意味で猫が踊っている動画(こちらにあるJIBJAB)というeメッセージサービスで作ったもの)を流していたのだが、これがなかなか奇妙な事もあり、これで声を掛けてくれた来訪者の方も結構おられた。また筆者のブースでは特になかったのだが、来訪者が自分で操作できるようなものも、これまた引きが強かった。そうしたものがあると、来てもらえやすい。

  • お土産があると記憶してもらえる

今回は猫シールなど作り、最後までお話を聞いていただけた来訪者の方にプレゼントした(うっかり何人かの方には渡しそこなってしまいました。すいません)のだが、こうしたものがあると覚えてもらえるというメリットがあり、またちょっと得した感じを来訪者の方に感じてもらえるのも嬉しい。

  • 説明員が複数いると楽

今回これだけはどうしようも無かったのだが、一人でやっていて、しかもそこそこ来訪者があるとトイレ休憩すらままならない。可能なら、説明できる人を複数用意したほうが楽である。

というあたりだ。実のところ筆者は普段、様々な業界イベントに参加しており、その際にこうした展示会はほぼ毎回訪問者として経験している訳で、今回は立場がひっくり返った形だ。なので普段、「こうして欲しいな」と思うことをそのままやってみたら、比較的うまく行ったというところか。今回はチラシを300枚(内容紹介をA5に縮小し、A4用紙に2枚分を収め、これをコンビニで150枚コピーして後で裁断した)用意し、250枚余りを受け取ってもらえた。そのうち説明を聴いてくださった方は概ね3~4割といったところ。人数にして100人弱程度の計算になる。実際体感でも、初日/2日目ともに最初の2時間で大体10回強の説明をしており(このあたりで数がわからなくなってくる)、しかもどちらの日も閉場に近くなるほど頻繁に人が来る事を考えると、やはり100人弱程度の方に説明をしたと思う。結果、2日終わったら見事に喉が死んだ。

ただその一方で、自分の作ったものを人に紹介し、その感想をダイレクトにフィードバックを受け取れるといった機会は中々にない。今回の展示の場合、ポイントはArduinoとWindowsの連携「だけ」で、このニッチなニーズがどこまで受けるかちょっと自分でも不安だったのだが、蓋を開けてみると意外に多くの方が面白いと評価してくださった(何人かの方にはキット化の予定を聞かれたが、キット化はまた全然違う作業が入るので今のところ考えていません。すいません)のは非常に嬉しいことである。こうした嬉しさと疲労が相まって、終わる頃にはちょっとしたハイ状態になる、というのを体験できたのもこれまた貴重な経験であった。

他にMTMならでは、として感じた事としては、

  • 参加者がいずれも礼儀正しい

参加者はお互いに「物を作る人」という共通土台があるためか、年齢とか経験とかとは無関係に、お互い礼儀正しく相手を尊重するという気風が、ごく自然に形成されている(これは特に来訪者の少ない、事前設営とか開場前/閉場後に特に強く感じた)のは非常に嬉しいことだった。また朝晩は参加者やスタッフがごく自然に挨拶を交わすという様子は、どちらかというとMaker Faireの本場であるアメリカ的(それもアメリカの西海岸的)な風景を思い出し、これも筆者には非常に心地よかった。

  • 性善説で動いている

これも前項にも関係するのだろうが、お互いに性善説で動いていると考えて振舞い、それがごく自然に成立する状況が非常に心地よかった。なのでお互いに迷惑にならない様に振舞い、定められたルールをきちんと守る、という当たり前の(にも関わらず最近社会ではしばしば実現しえない)マナーが、ここでは自然に成立していた事もある種驚きであった。

の2点であった。この雰囲気をまた味わいたい、というだけでもMTMに出展者として参加するに十分な動機に感じるし、逆にこうした事を守ってゆくことでMTMが今のまま続いてゆくといいなぁ、と強く感じざるをえない。

逆にMTMならではの反省として、

  • 説明は十分に書こう

申し込みページで参加登録を行う際に、自分の展示の説明を求められる。なのでここで説明を書くわけだが、ここで書いた説明がそのままプログラムや展示ポスターに記載される。今回筆者はそこまで考えず、簡単に「大原が(連載している|これから連載を始める)Arduinoを使ったPC周辺機器の実物を展示いたします。」とだけ書いたら、それがプログラムにもポスターにもそのまま反映されてしまい、説明が3行だけでした(苦笑)。ちなみに他の参加者の方は? というと多い方は20行近かったりして、まるで目立たなかった。ポスターも余白が非常に多く、間が抜けていること夥しかった。

  • コーヒーこぼしてはいけません

ポスターは水性インクで印刷されているので、滲みます(笑)

の二点を記しておきたい。