既報の通りエクストリーム ネットワークスはデータセンター向けスイッチの新製品「Summit X460 シリーズ ギガビットスイッチ」(以下、X460)を発表し、同シリーズの販売を開始した(出荷は11月末からの予定)。小誌では製品の担当エンジニアである笹川裕氏に、X460の特徴について話を伺う機会を得たので、その内容を2回に分けてお伝えする。1回目の今回は、ハードウェア面での主な特徴を紹介しよう。

「Summit X460 シリーズ ギガビットスイッチ」(写真はツイストペアケーブル対応の48ポート搭載モデル「Summit X460-48t」)

最大100mまで80Gbpsでの高速接続が可能に

エクストリーム ネットワークス システムズ・エンジニアリング部 システムズエンジニア 笹川裕氏 (ENS認定技術者)

同社はすでにX460について顧客への提案活動を展開しているが、とりわけ「80Gbpsでの高速スタック(接続)が最大で100mまで可能となったことに対する評価が高い」(笹川氏)と手応えを感じているという。

Summitシリーズは、豊富なオプションによる異機種間接続の柔軟性など、スタック性能の高さについては定評があり、「当社製品の既存ユーザーが、ネットワークの更改時に当社の新製品にそのまま移行するケースが多い」(同氏)とのことだが、このようなユーザーにとって、高速接続に対する事実上の距離の制約から解放するスタック性能の向上は魅力的に映るようだ。

この高速スタックを実現するのが、X460に用意されたオプションの新モジュール「SummitStack-V80」だ。

最大100mまでの距離で80Gbpsの高速接続を可能にする新モジュール「SummitStack-V80」)

現時点では、この"80Gbps高速スタック"が実現できるのはX460同士を接続した場合に限られるが、今後は結線側のモジュール対応により、異機種間接続も可能になる予定だという。

このモジュールについて、「SummitStack-V80」は今夏に制定された40~100GbE接続に対応する光ファイバのトランシーバ規格「QSFP+ (Quad Small Form-factor Pluggable Plus)」にいち早く対応。同氏によれば「今後は他社もこの規格に追随することになる見通し」とのことだ。

また、結線について「もちろんユーザー自身が用意してもいいが、当社側でも比較的安価なPassive Copper(銅線によるファイバチャネルインタフェース)とActive Fiber(光ファイバ)という2種類の選択肢を用意し、入手の容易性を確保していることも特徴」(同氏)だとされる。

Passive Copper

Active Fiber

内部冗長電源対応でラックスペースを有効活用

X460は、筐体設計についても大きく2つの特徴がある。

1つは、内部冗長電源に対応したことにより、ラックの省スペース化を実現できるようになった。

スイッチの電源を冗長化する場合、オプションの電源のためだけにラックの1Uスペースが占有されるといったケースがあるが、X460ではスイッチの筐体内部にオプション電源を収容できるため、ラック内の省スペース化が可能となっている。

オプションの電源を筐体内部に格納可能に(画面側)

2つ目は排熱設計。昨今のデータセンターのラックスペースのレイアウト(ホットアイル/コールドアイル)にあわせて、従来の横面吸気から、前面/横面吸気→後面排気設計に変更された。ラック背面側にある後面の排気ファンは標準で2台が実装されており、これらは稼動中の交換も可能なホットスワップに対応する。

前面/横面吸気→後面排気設計に変更された筐体設計

対応インタフェースによって3種類をラインナップ

X460は、実装されたポートの種類(対応インタフェース)によって、大きく「t」「p」「x」の3種類が用意されており(モデル名称末尾の表記で区別)、それぞれ24ポートモデルと48ポートモデルが提供される。

「t」は通常のツイストペアケーブルに対応するポートを持つモデル、「p」はPoE対応モデル、「x」は光インタフェース対応モデルを示す。

PoE対応モデルは、今回新たにPoE Plusに対応し、1ポートあたり最大で30Wの給電が可能になっている(IEEE 802.3at準拠デバイスに対応。標準PoEもサポート)。笹川氏は「海外ではすでに、この機能を利用してファイルサーバをPoE接続して稼働させているケースもあるようだ」と語る。

また、余談的な要素とはなるが、X460はツイストペアまたは光ファイバに対応した24ポートモデル、48ポートモデルについて、それぞれ両方に対応するポート(コンボポート)が4ポート別途装備されている。この点について同氏は、「24ポートモデルの場合は実質的には28ポート、48ポートモデルの場合は52ポートとなるため、ユーザーにとっては"お得感"があるのではないか」という見解を示している。

X460は従来の「Summit X450aシリーズ」の後継製品として位置付けられおり、データセンターのほか、一般企業や大学などの教育機関における"コアスイッチ"としての導入も視野に入れた製品となっている。

SummitStackモジュールを使えば40Gbps、SummitStack-V80モジュールを使えば80Gbpsで8台までのスタック接続が可能