マイクロソフトは「地域若者サポートステーション」を受託するNPOと連携して「ITを活用した若者就労支援プロジェクト」を展開している。同プロジェクトの一環として、「若者向けマイクロソフト インターンシップ プログラム」が行われる。今回、同インターンシップの参加者に話を聞く機会を得たので、インターンシップの講習の様子と参加者の声をお伝えしよう。

働きたい若者の背中を一押しするプロジェクト

「ITを活用した若者就労支援プロジェクト」では、職に就いていない若者を対象に、Word/Excel/PowerPoint、Access、HTML/Java Scriptの3つのITスキル講習(各講習20時間、計60時間)と就労支援を行っている。今回、ITスキル講習を終了した若者のうち、6名がマイクロソフトで業務を体験することとなった。

法務・政策企画統括本部 政策企画本部 渉外・社会貢献課長の龍治玲奈氏は、「このプロジェクトによって、働きたいと思いながらもきっかけがつかめないでいる若者の背中を一押ししたいと思っています」と語る。

同社はこれまでもインターンシップを行ってきたが、技術系の学生を1、2名受け入れるといった規模のもので、今回のような大掛かりな取り組みは初めてだという。

参加者の配属先は同プログラムの主旨に賛同した部署から決められた。インターンシップ中は、参加者一人ひとりにマイクロソフトの社員がメンターとしてつくほか、サポートステーションの相談員がサポートする。

マイクロソフト社員としての心得を学習

マイクロソフト 社長室コーポレートオペレーションズグループ コーポレートリスクマネジメントマネージャーの久保田成氏

実務に入る前に、マイクロソフトの社員としての心構えを学ぶべく、講習が開かれた。一部の参加者は翌日より、現場への配属がスタートする。

見学をさせてもらった時は、セキュリティに関する講義が行われていた。今日の若者は日常茶飯事でインターネットを利用しているだろうが、企業の社員としてインターネットに触れるとなると、それなりのスタンスで臨む必要がある。

「マイクロソフトのセキュリティ製品」、「2chなどネット掲示板でマイクロソフトに関する書き込みを見つけた時の対処」、「知人などから新聞やニュースサイトなどメディアの報道について聞かれた時の対処」などがお題として上がっていた。

いずれのお題のディスカッションにおいても、参加者から積極的な回答があり、インターンシップに対する意気込みを感じた。

講師を務めた社長室コーポレートオペレーションズグループ コーポレートリスクマネジメントマネージャーの久保田成氏は、「マイクロソフトのルールは、"何かをこうしなさい"と指示するものではなく、社員に考えさせる内容になっています。だから、この講習でもその考え方を学んでもらいました。1ヵ月間のインターンシップでは、社会人としての経験を学んでください」と話していた。

「若者向けマイクロソフト インターンシップ プログラム」の講習の様子

インターンシップをやり遂げたらきっと変われる

今回のITスキル講習を受講した後、マイクロソフトの認定資格「MOS」を取得した尾野山陽氏

講習の後、3人の参加者に話をうかがった。今回のインターンシップでどんなことを学びたいのかと尋ねたところ、正社員としての就労経験がない本多祐樹氏と尾野山陽氏からは「とにかく現場で働くということを学びたいです。インターンシップをやり遂げたら、変われると思っています」という答えが返ってきた。

正社員としての就労経験がある齋藤敏行氏は、「正社員として働いていましたが、新たにやりたいことが見つかりました。地方の名産の販売するビジネスを行うなどして雇用を拡大し、地方にもチャンスがあることを示したいと思っています。そして、地方から日本を元気にしたいです」と、熱意をもって語ってくれた。

今回、本多氏はコンシューマー向けのオンラインビジネスを行うコンシューマー&オンライン(C&O)事業部、尾野山氏と齋藤氏はPCにプリインストールするアプリケーションに関するビジネスを行うマイクロソフトオフィスプレインストール事業統括本部に配属される。

「将来は地方の雇用を拡大するビジネスをしたい」と明確なビジョンを持つ齋藤敏行氏

配属先についての期待を尋ねてみたところ、本多氏は「いろいろな仕事をしている人を見て、会社というものを学びたいと思っています」と答えた。同氏が配属されるC&O事業部は独立した企業のように、さまざまな職種の人が働いているという。これまでに営業経験がある齋藤氏は「マイクロソフトの社員がどのような営業を行うのかを知りたいです。これまでの経験と照らし合わせて、その違いも感じられたらと思います」と話す。

また「今回のインターンシップ制度を経験して変化を感じているか?」という質問に対し、本多氏と尾野山氏は「外に出るようになり、イキイキとした生活が送れるようになりました。仕事に対する意欲も出てきたと思います」と答えた。こう答えた2人の目はやる気に満ちて、キラキラと輝いていた。

地域若者サポートステーションの相談員の日下麻里絵氏は、「今回のインターンシップのようにきめ細かな制度は本当に助かります。日頃、若者のサポートをしている際、"あと一歩踏み込んだサポートがあればうまくいくのに"と歯がゆい思いをすることもあります。これから、こうした制度に協力してくれる企業が増えることを切に願います」と語る。

近年、環境関連のCSRに取り組んでいる日本企業は増えておりよい傾向だと思うが、今後はさらにサポートの幅を増やす企業が出てくることを期待したい。