経営者やIT管理者に対して、ハードウェア調達に関する新たな選択肢を提供しているデータライブ。リユース(中古)機器を活用したソリューションにより、コスト削減のみならず、システム延命といった難しい課題にも解決策を提示していることは、これまでにお伝えしてきたとおりだ。

データライブ 代表取締役社長 山田和人氏

そのデータライブが、先日、顧客の要望に応じるかたちで2つの新サービスを追加した。それが、「EOLパーツ保守サービス」と「EOLオンサイト保守サービス」である。

前回の『長期稼動中のハードに救いの手! データライブの新形態サポートサービス』では、両サービスが生まれた背景やサービスの概要について説明した。今回はもう一歩踏み込み、両サービスの利用事例について紹介したうえで、併せて開始した、仮想化による環境移行サービスについて触れていく。

想定外のニーズが存在

両サービスは今年9月にスタートしたばかりだが、すでに契約顧客がかなりの数に上っているという。なかには「数十台という単位で契約した顧客もいる」(山田氏)と言い、システムの規模に関係なくニーズが高いことがうかがえる。

では、どういった企業が利用しているのだろうか。

「例えば、耐用年数を考えるとリプレースの時期を迎えているものの、不況や円高の影響などにより今は予算を確保できないので、もう1年だけ稼働期間を延長したいというエンドユーザー様や、システム構築時に開発作業が思うように進まず、サービスインが数カ月遅れてしまった結果、契約書に記載されたシステム運用終了時期よりも数カ月早くハードウェアの保守サービスが切れてしまうことになったので、一定期間メンテナンスをお願いしたいというシステムインテグレータ様などがいらっしゃいます。まだスタートして1ヶ月ですが、弊社の想像よりも広い範囲でご活用いただいています」(山田氏)

なお、価格については都度見積もりとなっている。事前に価格を明示できないのは、ハードウェアの種類や台数、使用年数、地域などによって金額が変わってくるためだ。ベースにしているのは過去の統計から算出した機種ごとの故障率で、「"一年に何回程度交換する可能性があるのでこの金額が必要"というかたちで見積もっている」(山田氏)。とはいえ、当然ながら、新品によるリプレースと比較するとコストメリットは大きいという。

山田氏はそういったメリットを紹介したうえで、2つの新サービスについて次のようにまとめた。

「今回の新サービスでは、技術力に自信のある企業は『EOLパーツ保守サービス』、一切の対応を任せたいという企業は『EOLオンサイト保守サービス』というかたちで、ニーズに合わせて選んでいただける状況が作れました。サーバの長期運用で不安に苛まれているお客様はぜひ相談してほしいですね」(山田氏)

仮想化による環境移行サービスも開始 - ハードもソフトもワンストップ対応

さて、データライブでは、もう1つ新たなサービスを始めているという。それは、仮想化技術を活用したシステム延命サービスだ。

こちらは「ハードウェアを新しいものに切り替えたいけど、アプリケーションの仕様詳細がわからないから怖くてできない」といったユーザーに向けたソリューションで、ハードウェアの切り替えの際にVMwareを使ってOSやデータベース、アプリケーションなどのソフトウェア環境を丸々移行し、同じシステムをそのまま継続して利用できるようにする。EOLオンサイト保守サービスと同様、ハードウェアの販売を行っていたデータライブにとって、これまでの業務領域を超えたサービスになる。

山田氏は同サービスについても、顧客の悩みを解消するために生まれたサービスであることを強調する。

「世の中には、開発担当者と連絡がとれなくなっているアプリケーションがたくさん稼動しています。これらに関しては、何がどう動いているのかわからず、手がつけられないというのが実情でしょう。こうしたアプリケーションを異なるサーバ上で実行するとなると、設定などを変更しても問題ないかどうかを調べなければならず、システムインテグレータなどに依頼すると調査費用だけで数人月といった見積もりになってしまうこともあります。しかし、仮想化技術を使ってOSごと移行してしまえば、調査するまでもなくそのまま使い続けることがでるわけです。これにより、余計な心配をしなくて済みますので、『であれば、ハードウェアの切り替えに踏み切ろう』と考えるユーザーさんは少なくないようです」

では、なぜデータライブでそのような対応ができるのか。実は、同社には、過去にシステムインテグレーション事業を展開した経験がある。そのため、仮想化技術を活用した環境移行に関しては、問題なく進められる技術力を備えているのである。

もちろん、インフラ周りに強いシステムインテグレータであれば同様のニーズに応えられるわけだが、データライブが通常のシステムインテグレータと異なるのは、ハードウェアの調達/サポートも担当できるため、すべてのサービスを1ストップで提供できる点である。通常、故障やトラブルが発生すると、事象を切り分け、ハードウェアの問題なのかソフトウェアの問題なのかを判定したうえで、それに応じた担当業者に問い合わせるといった作業が必要になる。しかし、ハードウェアを販売するデータライブが移行までをサポートすることで、問題が発生した際には何も考えずにデータライブに問い合わせるといった対応が可能だ。有事の対応に許される時間の短さを考えると、非常にありがたいサービスと言えるだろう。