米SAS Instituteは10月26日(現地時間)、米国ノースキャロライナー州に位置するヘッドクォーターにてプレス向けの年次カンファレンス「2010 SAS Media Day」を開催した。同カンファレンスでは、幹部が同社のビジネスの概況について説明したほか、広大な敷地の本社キャンパスが公開された。ここでは、その模様をお届けしよう。

SAS Institute Senior Vice President and Chief Marketing OfficerのJim Davis氏

初めに、Senior Vice President and Chief Marketing OfficerのJim Davis氏が同社のビジネスの概況について説明を行った。

同社は1976年の創業以来増収増益を続けており、2009年度の収益は23億1,000ドルだったという。「特に新規ライセンス契約は2ケタ成長を遂げており好調」と同氏。同社は1年目に売り切る形ではなく毎年更新するというライセンスモデルをとっているため、経営も安定している。

売上の内訳は、アメリカ大陸が44%、EMEA(ヨーロッパ、中近東、アフリカ)45%、アジアパシフィック11%。そのうち、米国の売り上げ構成は30%であり、同氏は「グローバル企業として健全なポートフォリオとなっている」と、同社の経営の健全性をアピールした。

同氏は今後の重点分野としては、「データ」「アナリティクス」「プラットフォーム」の3点を挙げた。プラットフォームはマルチプラットフォームを原則としており、モバイルデバイスにも対応している。例えば、25日にはIBMのデータベース「DB2」の内部で稼働するアナリティクスエンジン「SAS Scoring Accelerator」のリリースが発表されている。

今後、注力していく具体的な製品として、ソーシャルメディアの分析を行う製品「SAS Social Media Analytics」が紹介された。最近、エンタープライズアプリケーションでもソーシャルメディアを取り入れる動きが増えているが、同社もTwitterやFacebookなどのソーシャルメディアにおけるブランドの測定や顧客の感情的なインタラクションの分析を行っている。

ちなみに、同氏は来月に国内で開催される「ソーシャルメディア・マーケティングの最前線」のパネルディスカッションにも参加する予定だ。

SAS Institute CEO and Principal Consultant, Decision Management Solution James Taylor氏

続いて、CEO and Principal Consultant, Decision Management SolutionのJames Taylor氏が「意思決定とアナリティクス」というテーマの下、講演を行った。

同氏はまず、企業ではいろいろなレベルにおける意思決定が行われるが、最も重要なことは「その意思決定を下した理由を明らかにすること」と説明した。そして、経営陣は従業員に対してその決定について理解をとりつける必要があるという。

正しい意思決定を導くカギとなるのがアナリティクスというわけだ。同氏は、「ITシステムを意思決定に役立てるには、ビジネス部門のマネジャー、IT部門のマネジャー、分析プロフェッショナルという3つの立場の人々が一体となってプロジェクトを進める必要がある」と指摘した。また、同氏は正しい意思決定を行うためのアドバイスとして、ステップを踏んでいくことを挙げた。