ワコムは都内にて、「ワコムペンタブレットセミナー」を開催した。同セミナーでは、 ペンタブレット中級者向けのセミナー「ペンタブレットを使った画像処理セミナー」が実施された。

ペンタブレットを既に使用しているが、自分のレベルをもう一段高めるためのヒントを得たいというペンタブレット中級者向けのユーザーを対象とした「ペンタブレットを使った画像処理セミナー」が開催された。同セミナーでは、写真のレタッチや「Photoshop」関連の書籍を執筆している吉田浩章氏により、人物写真のレタッチ、動物と背景写真の合成テクニックなどが紹介された。

中級者を対象とした「ペンタブレットを使った画像処理セミナー」。ハンズオンの対象者は、セミナー直前にくじ引きによって決められた

ペンタブレットのポイントはカスタマイズにあり

ワコムの「Intuos4」は、人間工学に基づいて設計されたエクスプレスパッドと片側に集中配置されたファンクションキーやタッチホイールの使い勝手の良さが魅力だ。タブレットからキーボードへ手を離すことなく、基本的な操作であればエクスプレスパッドにて完結できる便利さを備えており、講師を務める吉田氏もセミナー冒頭でその部分に触れた。また、吉田氏は「効率よく作業環境を整えるのもポイントです。この『Intuos4』はファンクションキーをカスタマイズでき、自分好みの機能を設定することが可能です。今回は、是非皆さまにも試していただきたいと思います」と語り、教材として使用しているPhotoshopの機能[Control+0]キーでのフィット表示、[Control+1]キーでの等倍表示を実際にIntuos4のファンクションキーに割り当てるカスタマイズを、ハンズオン受講者と一緒に行った。

このファンクションキーの機能割り当ては、アプリケーションごとに行うことが可能で、カスタマイズをどう使いこなすかが作業効率向上のポイントとなる。また、カンバスの回転や拡大縮小をタッチホイールで行うことも、作業の効率化には有効だ。

人物写真レタッチのコツは筆圧をいかに味方に付けるか

Intuos4の便利な機能についてのレクチャーの次は、より実践的な人物写真のレタッチについての解説。レタッチのポイントとして、ペンタブレット独特の筆圧を利用するという部分がある。スポット修復ブラシツールを用いて20pxを選択し、ニキビを消す、余計な髪の毛を消すなどの作業を行うとき、筆圧を調整して作業すると効果的に進められる。また、すべての作業をスポット修復ブラシツールで行うのではなく、場合によってはコピースタンプツールを併用するのも良い。

肌のシミやニキビを消したり、被写体の目力を上げるテクニックも伝授された

肌の質感を広告写真のように綺麗に仕上げるTipsも披露された

次に、ややピントの甘いまつげや眉毛をシャープにし目力を与えていく。ここでは、複製したレイヤーに対し、ぼかし処理を行い、レイヤーマスクを用いて自然な仕上がりになるように馴染ませていく。この作業でも、レイヤーマスク上での作業を行う際には筆圧を調整してやることがポイントになる。同様に、肌の質感をなめらかにする、口紅の色を鮮やかに調整するといった作業においても、ブラシのサイズを調整しつつ筆圧で繊細なラインを描いていく。

また、吉田氏は肌だけでなく髪の毛の修正に関するTipsも紹介。写真のモデルの髪の毛は、スタイリストやヘアメイクが現場にいれば美しく整っているが、そうでない場合も多々ある。そんな時は髪の毛を直書きしてしまうのも手法のひとつなのだという。時間が掛かる作業だが、何度もストロークを重ね仕上げていくとクオリティが向上するという。

動物と背景写真の合成

顔写真の修正の次は、写真と写真の合成を行うセッション。写真合成のキモとなるのは、より自然な仕上がりを醸し出すこと。ここでもIntuos4が効果を発揮する。まず、背景画像に合成する動物を切り抜く。「クイック選択ツール」を使用して動物の輪郭の内側をドラッグすると、必要のない背景画像まで選択されてしまう場合がある。ここでIntuos4のAltキーを押しながら不要な部分をドラッグすれば、思い通りの選択範囲が得られる。次に、「境界線を調整」を選択し切り抜いた画像をチェック。細部を見ると切り抜きがぎこちなく、そのまま使用するのは厳しい。今回のハンズオンでは、犬を切り抜くにあたり、しっぽのフサフサ感を出すために「境界線を調整」の「半径調整ツール」を選択し、修正を加えていた。「自由なストロークや筆圧によって描くことはタブレットならではの良い部分」だと講師の吉田氏はコメントした。

ペンタブレットの筆圧や自在なペンストロークを活用する

次に、切り抜いた犬に陰影を与える。光源や光量に応じて犬に色補正を行い完成させていく。ここでも、やはりポイントとなるのは自由に曲線が描けるペンタブレット。1gから検知し2048レベルもの筆圧を感知することができるIntuos4なら、ONとOFFしかないマウスでは処理の難しい作業であっても簡単に行える。実際にハンズオンに参加した受講者は、それを実感したのではないだろうか。

今回の「ワコムペンタブレットセミナー」では、「初心者向け」、「中級者向け」のふたつのセミナーが行われた。どちらのセミナーも、それぞれの参加者に対して、ペンタブレットの魅力や機能を伝える有意義な場となった。今後もワコムでは、様々なイベントやセミナーを実施していく予定だ。