それでは、ビルドしてみましょう。ビルドすると設計したテーブルが作成され、アプリケーションに必要なコードが出力されます。実行ボタンをクリックするとアプリケーションが起動します。
レイアウトは3ペイン構成です。上部に操作リボン、左側に操作メニュー、右側にマルチタブのメイン画面が表示されます。それでは、社員データを登録してみましょう。
データ型やサイズに応じた入力チェックが自動的に実施されます。そのため、必須項目が未入力であったり登録データが不正だったりした場合はエラーメッセージが表示されます。正しいデータを入力してSaveボタンをクリックすれば、社員データが保存されます。
登録したデータは社員一覧スクリーンで一覧表示できます。データを変更したい場合はグリッド上で直接編集できます。編集ボタンを押してモーダルダイアログから編集することもできます。また、検索ボックスにキーワードを入力して、検索を行うこともできます。
もし、画面の表示内容を変更したい場合には、画面右上の「Customize Screen」ボタンをクリックします。そうすればカスタマイズモードに切り替わります。
カスタマイズモードを使用すれば、プレビューを操作しながらスクリーンの項目を変更できます。ビルドし直す必要がないので、大変便利な機能と言えるでしょう。
プロジェクトのプロパティ設定
アプリケーション全般の設定についても確認しておきましょう。
Generalタブでは、シェル(画面構成の枠組み)とテーマ(色合い)を変更できます。シェルを変更することによって、同じプログラムでも異なるUIを提供できるようになります。現在は他のシェルは公開されていませんが、デモではタッチパネル用のUIに切り替えるシェルが紹介されていました。
Screen Navigationタブでは、ナビゲーションメニューを設定できます。初期表示する画やメニューグループを設定できます。また、ユーザーとロールに応じてメニューの表示を切り替えることができます。
Application Typeタブでは、Silverlightアプリケーションの構成をプロパティから変更できます。デフォルトは2層デスクトップ形式です。
クライアントアプリケーションの種別と特徴
構成種別 | IIS | 中間層の実行 | 配布方式 | リソースアクセス |
---|---|---|---|---|
2層デスクトップ | 不要 | クライアント | ClickOnce | 緩い |
3層デスクトップ | 必要 | IISサーバ | ClickOnce | 緩い |
3層ブラウザ | 必要 | IISサーバ | 配布不要 | 厳しい |
ブラウザの場合、インストールの手間は少なくなりますがローカルファイルなどのリソースにはアクセスできなくなります。そのため、リッチな機能を提供したい場合はデスクトップ形式を検討するとよいでしょう。
まだある便利な機能
ここまで、ノーコーディングで業務アプリケーションを作成する例を紹介しました。LightSwitchには、これ以外にも有益な機能がいくつも備わっています。
- テーブルでクエリーを用意できる。条件の絞り込み、ソート順、パラメータを指定できる
- テーブル間にリレーションを設定でき、外部データソースのSharePointやSQL Azureなどに対しても設定できる
- テーブルで計算列や表示列(姓と名を結合した列など)をコーディングすることができる
- スクリーンからExcel形式でエクスポートできる。コーディングすればWord帳票も出力できる
- 独自のスクリーンコントロールやデータ型をコーディングできる
機能が豊富なためすべてを紹介することはできませんが、LightSwitchのWebサイト(英語)にはビデオやトレーニングキットが公開されていますので、興味がある方はご覧になってみてはいかがでしょうか。
以上、LightSwitchについて紹介しました。GUIを使って開発するアプリケーションには制約が多く実務で使えないと感じている方が多いかもしれません。しかし、LightSwicthには多くの拡張ポイントが用意されていますので、必要に応じてコーディングを行い自由にカスタマイズすることが可能です。
正式リリース時期は未定ですが、マルチプラットフォームで動作する業務アプリケーションを作成できるLightSwitchは要注目技術と言えます。