FileMaker Pro 11ではグラフ描画をはじめ、ユーザ/デベロッパ向けに多数の機能が追加された。見た目のインパクトはグラフ描画機能以外はパッとしないが、どれも「縁の下の力持ち」となるものばかり。これら新機能を使いこなせばこれまでの不要な手順を省略でき、開発効率もアップする。バージョンアップしてから半年ほど。まだ使っていないFileMakerデベロッパは要チェックだ。

FileMaker Pro 11で強化された点

ファイルメーカーは4月7日(日本時間)、データベースソフト新製品「FileMaker Pro 11」を発売した。FileMaker Proはリレーショナルデータベース型のアプリケーション。GUIが充実しており、初心者からデベロッパまで手軽にアプリケーションを開発できる。(マイコミジャーナル内のニュース記事「ファイルメーカー、グラフ/レポートなど"見える化"機能強化の「FileMaker Pro 11」」)

FileMaker Pro 11であたらしく追加された機能はおもに次のとおり。

  • グラフ描画機能
  • クイックレポート
  • スナップショットリンク
  • 定期的なインポート
  • クイック検索
  • インスペクタ
  • オブジェクトバッジ
  • レイアウトフォルダ
  • ポータルフィルタリング
  • 検索条件とマージフィールドに変数が使用可能に

インパクトの強い更新箇所はやはり「グラフ描画」。これまでグラフをFileMaker Pro上で実現するには、サードパーティ製のプラグインを活用するか、Webビューアで外部APIやJavaScriptなどを駆使する必要があった。FileMaker Pro 11ではこれがビルトインの機能で、簡単に作成することが可能だ。

グラフ描画機能の後ろに隠れてしまいがちだが、ほかの更新点も見逃せない。ユーザ向けというよりはFileMakerデベロッパ向けの機能がおおいが、地味に嬉しいものばかり。インスペクタやオブジェクトバッジで、レイアウトに配置されている各オブジェクトを解析するわずらわしい作業が簡略化。ポータルフィルタリングやマージフィールドに変数が使用できるようになったことで、ファイル解析を困難にするトリッキーな実装をする必要もなくなった。

本稿ではこれら追加された多数の機能のうち「グラフ描画機能」と、FileMakerデベロッパ向け機能の使い方に焦点をあてて紹介しよう。なお、ここでの動作環境は次のとおり。

  • OS: Mac OS X 10.6.3
  • FileMaker: FileMaker Pro 11.0v2 Advanced

Hello, FileMaker! グラフ描画機能

まずはグラフ元のデータを用意する。「【コラム】FileMaker×PHPで作る、簡単・便利なWebアプリ 59 FX.php/APIの違い - レコード検索(4)」で使用したFX.php/FileMaker API for PHPの処理速度平均値をレコードとして登録する。

グラフ元のデータとして登録

グラフ元のデータが決まったら、次にレイアウトモードにする。ツールバーよりグラフのアイコンをクリックし、グラフを表示したい箇所をマウスで指定する。

ツールバーよりグラフのアイコンをクリックし、グラフを表示したい箇所をマウスで指定

グラフ設定ダイアログで、表示したいグラフの種類やX軸/Y軸/データ元となるフィールドを指定する

グラフのタイプは「棒グラフ」「水平棒グラフ」「線グラフ」「面グラフ」「円グラフ」の5種類から選択する。種類を選択後、タイトルやデータ元となるフィールドを選択すればOKだ。

グラフのタイプを「水平棒グラフ」とし、ラベルデータに「同時使用ユーザ数」、値データに「平均」フィールドを指定した

グラフを作成後、ブラウズモードで動作を確認する。

ブラウズモードでさきほど作成したグラフを確認

わずかなステップでプログラミングの知識なくグラフが作成できるのは、ユーザ/デベロッパ双方にとって嬉しい機能だ。Webビューアも使用していないので、ネットワークに繋がっていないスタンドアロン環境でも高速に動作する。グラフは画像として出力されるので、クリップボードにコピーするなどすれば、ほかのアプリケーションで使用することも可能。

ほかのグラフサンプルは次のとおり。

グラフのタイプ「棒グラフ」

グラフのタイプ「線グラフ」

グラフのタイプ「線グラフ」

グラフのタイプ「円グラフ」。デフォルトは3D円グラフ

3D円グラフは誤解を与えやすい。グラフの書式オプションで2Dにできるので、なるべくこちらを使おう

グラフの書式オプションではさらに細かい見栄えの調整が可能。

グラフの書式オプションダイアログ。グラフの外観や凡例、フォントなどを編集する。グラフのタイプによって編集項目が異なる

配色のテーマが最初から複数用意されており、アプリケーションの外観にマッチングさせることも簡単にできる

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