いよいよ、10月1日よりタバコ増税に伴う値上げが実施される。今回の値上げは、1箱(20本)110~140円程度と過去最大で、喫煙者への影響は必至だ。

ファイザーが実施した「日本全国の"ニコチン依存度チェック" 2010」によると、ニコチン依存症の喫煙者は推計1,534万人。喫煙者のニコチン依存症比率は66.9%で、2008年の70.8%から下がったものの依然として高い水準で推移している。

今回のタバコ値上げで禁煙に挑戦すると答えた人は53.3%(5,014人/9,400人)に上り、2年前の同調査では43.1%にとどまっていた禁煙挑戦者が1割も上昇。その影響の高さが窺える結果となった。

こうした禁煙意識の高まりを好機とするのが、禁煙補助剤など販売するメーカーだ。ジョンソン・エンド・ジョンソンコンシューマーカンパニーは「弊社のアンケート調査の結果からも、今回の増税を機に喫煙者の6割が『禁煙する』と回答しており、禁煙補助剤の市場全体が伸長していくものと予測しています。禁煙補助剤のリーディングカンパニーである弊社にとっては大きなチャンスと捉えています」と意気込む。これまで同社が実施した調査から推計すると、約1,100万人が禁煙に踏み切ると予測されている。そのため、同社はテレビCM、交通広告、店頭での販促強化を実施。特にインターネットでは、禁煙意向者をサポートする仮想禁煙ツアーを実施し、2週間で約2,000名近くの参加者を集めたい考えだ。

ハッピーに禁煙ツアー

禁煙補助をうたったユニークな商品も続々登場。ANAインターコンチネンタル石垣リゾートは10月1日より、宿泊プラン『今が止め時! 禁煙あと押しプラン』を発売。チェックイン時に持参しているタバコをフロントで預かるほか、吸いたい気分を紛らわすアイテム(ミネラルウォーター、ホテルオリジナルの飴・お茶)を提供する。なお、滞在中にどうしても吸いたい場合は、フロント申請しタバコの喫煙1本当たり100円を支払い、石垣の美しい自然を保護ずるための「美ら海、美ら山募金」に寄付する必要がある。

今が止め時! 禁煙あと押しプラン

また、プラスアールは禁煙をサポートするiPhoneアプリ『禁煙なう』を提供開始。Twitterで禁煙・喫煙をつぶやくことで、禁煙時間を表示。ガムやニコチンガム、清涼タブレットなど禁煙方法を選択することにより、改善した肌年齢や消失を防いだビタミンCなど表示するほか、禁煙時間に応じてバラが若返ってくるイラストにより視覚的にも禁煙をあと押しする。さらに、Twitter上のハッシュタグやリプライ機能を活用して、禁煙仲間やフォロワーからの励ましも受けられるとのこと。

禁煙なう

健康保険等を使った禁煙治療への関心も高まっている。ファイザーは「すぐ禁煙.jp」では、禁煙治療についての情報が得られるほか、最寄りの医療機関を検索することもできる。同社は「健康保険等を使った禁煙治療では、12週間で5回の診察を受けます。1日1箱吸うとすると、1箱400円と仮定して、3カ月で3万6,000円かかりますが、3カ月の禁煙外来と禁煙外来で処方される弊社の飲み薬『チャンピックス』を含めて、3割負担で1万8,000円~2万円ぐらい(地域差あり)。お医者さんから直接アドバイスをもらえるので、禁煙成功率も個人差はありますが7割前後だと言われています」と禁煙治療のメリットを説明。今回の値上げについては「もともと、社会的機運やタバコを吸う人の環境も禁煙にシフトしてきていますので、今回の値上げとあいまってより禁煙志向に傾くのではないか」と話す。

すぐ禁煙.jp

もちろん、そんなにすぐにはやめられない……という人も多いはず。喫煙歴30年になるという女性(69)は「毎日1箱分のタバコを吸っていたが、10月1日以降は1箱当たり410円になる(1箱当たり100円の値上げ)。年金暮らしで毎週2,400円のタバコ代というのはさすがにきつい。とりあえず、1カ月分の3カートンは買いだめ、1カ月は乗り切りたいと思っている」と話す。都内在住の男性(41)は「できれば自分の意思でタバコをやめたいが、何度も禁煙を失敗しているので……」と言葉を濁しながら「まずは本数を減らすことからはじめたい」とした。

モバイルマーケティング・ジャパンの調べによると、「禁煙はしたいが無理だと思うのでしない」「禁煙したいと思わない」を合わせた"喫煙継続派"の24%がタバコの買いだめをしていると回答。買いだめ量は平均5.6カートン(56箱)で、中には30カートン(300箱)買いだめた人もいたという。