【レポート】

FTF Japan 2010 - Kinetisとe5500を読み解く

1 7つのファミリで展開されるKinetis

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さて、基調講演とそれに続くインタビューをお届けしたところで、その他気がついたものを色々Pickupしてご紹介したい。

Kinetis - 10レベルの電源管理

既に報じられた通り、今年アメリカで6月に開催されたFTF America 2010にあわせてCortex-M4を搭載したKinetisが発表になった。国内での発表会は概略程度だったが、FTF Americaではもう少し詳細な説明が行なわれており、これが日本語の形で今回2つ(厳密に言えば片方はColdFire+の紹介も兼ねていたので1つ半といったところか)のセッションに跨る形で説明が行なわれたので御紹介したいと思う。

まずPhoto01がそもそもの製品分けである。Freescaleの場合、同一のArchitectureをつかってMPUとMCUの両方を提供するケースが目立っており、例外的なのがARMということになる(ARM v7アーキテクチャとくくればi.MX51シリーズとKinetisはまぁ同じコアと言えなくも無いが、実際はCortex-AシリーズとCortex-Mシリーズで全く異なっている)。ColdFireは完全に同じだし、Powerについても車載用はMCUが大半で、一方通信用はMPUの構成になっている。厳密に言えば車載用はe200系がメインで、若干e300が入る程度、対して通信用はe300とかe600が若干残っているが主流はe500系に移っているので、厳密には多少異なるが、ARMほど異なってはいない。

Photo01:Cortex-M4がAutomotive向けにも展開されるというのは、要するに自動車業界のクライアントからARMベースのマイコンを要求された、という事であろう。実際後で出てくるようにDual CAN I/Fを搭載するなど、結構自動車向けの構成になっているものもある

面白いのは、ColdFire/ColdFire+の方が、Cortex-M4より処理性能いは高いと位置づけていることだ(Photo02)。Cortex-M4は概ね1.25 DMIPS/MHzといったところで、ColdFireはV2で0.8~0.9 DMIPS/MHz、V4では1.5 DMIPS/MHzあたり。2006年に発表されたV5では1.8 DMIPS/MHzがターゲットになっていたことを考えればまぁ間違っては居ないのだが、製品の使われ方を見る限りむしろColdFireの方が下に位置しそうな印象があるので、ちょっと興味深い。

Photo02:QorIQがIndustrial向けにも考えられているのがちょっと興味深い。ハイパフォーマンスが必要とされる、例えばデジタルサイネージあたりを狙っているのか、それとも産業制御のシーケンサ的な要素を狙っているのか、ちょっと確認したかったところだ

さてそのKinetisだが、K10~K70までの7つのファミリで展開されることになっている(Photo03)。細かい仕様は後で説明が出てくるが、K10/K20ファミリは汎用、K30/K40はLCDやUSBを利用する向け、K60/K70がネットワーク向けとなっている。ちなみにパッケージは32pin~最大256pinで幅広いが、専ら使われると見られる48pin~80pinで信号ピンの構成をなるべく共通化する(Photo04)とか、周辺回路を共通化する(Photo05)といった配慮がなされている。

Photo03:システム共通のアナログ/デジタル周辺回路を見る限り、既存のCortex-M3ベースのMCUと真っ向勝負出来るだけの構成になっていると言える

Photo04:なぜか後にもK50ファミリの話が無いが、これは医療機器向けという扱いである。ちなみにK10→K20及びK30→K40での差は、USBのピンが4本追加され、Digital I/Oのピンが4本減っただけでほぼ同じ、K10→K30及びK20→K40の差は、セグメントLCDのピンが追加になったことと、若干のボードレイアウト変更が必要になったことだ。K20→K60ではEthernetが追加になっているが、こちらは他の信号ピンと多重化しているのでピンそのものに変更はないとしている(といっても、基板側は当然それに対応した変更が必要なのだろうが)

Photo05:MCUの場合、コアが同じでも周辺回路が異なると基本的な部分でソフトウェアの互換性が保てない事が少なくない。むしろコアのアーキテクチャが異なっても、周辺回路の構成やアクセス方法が同一な方が移植は簡単だったりする。もっともColdFire+とKinetisは「基本的に周辺回路は同一」との事だったが、どの程度まで同一なのかは現時点ではちょっと不明である

さて、K10/K20ファミリは、基本的なコンポーネントを搭載した低消費電力・低価格向けといった構成である(Photo06)。K20はK10にUSB OTG(それも480MbpsのHS)とDCDを搭載していることで、狙いとしてはUSBで繋がる様々な携帯機器向けといったあたりだろうか?

Photo06:FTF Americaのプレゼンテーションによれば、32KB Flashを搭載する32pinパッケージのものは、1万個の場合で0.99ドル/個だとか。これはCotex-M3 MCUというよりもCortex-M0 MCU並の価格である

K30/K40はCANを含むI/Fを充実させ、またLCDコントローラを内蔵するといったあたりが相違点となる(Photo07)。一方K60/K70は暗号化やタンパリング(改竄検出)、QVGAまでに対応したLCDコントローラを搭載するなど、ハイエンド向けの製品となっている(Photo08)。出荷時期は、サンプル出荷が2010年11月、量産出荷が2011年前半となっている(Photo09)。

Photo07:ちなみに製品分類は"LCD HMI Applications"(LCDを搭載したHuman-Machine I/Fアプリケーション)。CANが付いているあたりは、車載あるいは工作機械で、タッチセンサとLCDなどで構成されるシンプルなコントローラパネルあたりに最適というところだろう

Photo08:ちなみにこのプレゼンテーションではコアの動作周波数が"~150MHz"となっているが、FTF Americaのプレゼンテーションでは"Up to 180MHz"となっており、どちらが正しいかは現時点では不明

Photo09:FTF Americaでは"Alpha Sampling"(限られた顧客への最初のサンプル出荷)は2010年第3四半期とされており若干ずれがあるが、"Alpha Sampling"といわゆる(大量の)サンプル出荷は意味合いが異なるのが普通なので、まぁオンスケジュールと考えてよいだろう。むしろ、FTF AmericaではMCF51シリーズのColdFire+の量産出荷が"1H 2011"(2011年前半)なのに、FTF Japanではこれが2011年後半になっているあたりの方が問題かも

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インデックス

目次
(1) 7つのファミリで展開されるKinetis
(2) Kinetisの内部構造
(3) e5500はe500mcの64bit拡張版なのか?
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