【レポート】

FTF Japan 2010 - Exectiveに聞くFreescaleの戦略

1 多彩な選択肢を提供することでMCUのマーケットリーダーに

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FTF Japan 2010の2本目のレポートは、基調講演やプレス向けのQ&Aセッションの後でHenri Richard氏及びDavid M. Uze氏に直接インタビューを行う機会に恵まれたので、その内容をお届けしたいと思う。

前半はRichard氏にWorld wideの話を、後半はUze氏に日本の話をそれぞれ伺った。またインタビューには伊南恒志氏も同席されている。Q:は筆者の質問、R:はRichard氏、U:はUze氏、伊:は伊南氏のお答えとなっている。

Richard Henri氏に聞く世界戦略

Q:まずFreescale Japanの社長としてのUzeをどう思いますか?

R:昔も一緒に仕事をした仲であり、また一緒に仕事をできる事を幸せに思うよ。かつては難しい競争を行ってきたが(*1)、そこから比べると今の仕事は競合メーカーとバランスが取れているから、ずっと楽なんじゃないかな? これがまぁ一番大きな理由だ。

真面目に答えると、全く異なる会社、異なる環境でもう一度一緒に仕事できるのは大変楽しいし、彼は日本マーケットや日本の顧客に対する情熱を持ち合わせており、だから以前一緒に働いたときと同じ成功を期待できると思う。

*1:AMDに在籍時代、独占禁止法違反の訴訟を起こすなどの方法でIntelと戦ってきた事を指す

左がHenri Richard氏、右がDavid M. Uze氏

Q:Uzeに対して、具体的な数値目標の様なものはあるのでしょうか? R:そうしたものはない。Uzeの最優先の任務は、アドバンテージを確保することだ。ご存知の通り我々は北米と欧州の自動車業界向けに大きなプレセンスを確保している。ところが日本では、非常に強力な競合メーカーがあるために、こうしたプレセンスを日本では確保できていない。ただし市場の変化があり、また我々は品質を高めることで、日本市場を掴むための機会が訪れたと考えている。この機会を捉え、他の地域と同等のプレセンスを確保することが1st priorityだ。

2つ目だが日本はご存知の通りコンシューマ向け製品に強い。Freescaleは他のメーカーほどコンシューマ向け製品に特化していないが、いくつかの製品セグメントには注力している。こうしたセグメントについては、日本でも他のマーケットと同等の強みを発揮して欲しい。我々はNetwork、RF、Printing、産業向けなどでは非常に強いポジションにある。ただ幾つかのセグメントについては、同等のポジションに達するのは楽ではない。こうしたセグメントをなるべく早く強化してほしい強くしてほしい。

Q:次にMCUについて。現在Freescaleは8bit~32bitのFlexis、このFlexisのアッパーバージョンですが周辺機器などが強化されたColdFire+、それとハイエンドでパワフルですがColdFire系と互換性のないKinetisの3種類の製品ラインを持っている形になるのですが、これのマイグレーションパスはどうなっているのでしょう?

R:まずColdFire+に関しては、ColdFireとの互換性があるから、既存のColdFireのアプリケーションをColdFire+に移行するのは容易だ。もっと全般的に言えば、どんなMCUを選ぶのか、というのは当然顧客によって異なる。ある顧客は「どんな種類のコアを利用できるか」を非常に気にしているが、別の顧客はコアではなく「どんなソリューションが提供されるのか」を気にする。

我々がMCUのマーケットでリーダーになるためには、顧客に対して多彩な選択肢を提供できることが重要だと思う。Power Architectureは非常にパワフルだし、ColdFireは長期間にわたってFreescaleが提供してきており、多くの顧客がColdFireに満足している。それゆえ我々はColdFire+を新たに提供する形だ。ただ、それとは別にARMベースのMCUを望む顧客が多いのも事実だ。なので、MCUマーケットでリーダーとなるためには、ARMベースのMCUも必要となる。個人的な見解を言えば、Kinetisの製品ラインは、我々の持つ製品ポートフォリオを丁度補完するものになると思う。

Q:例えば競合メーカーのSTMicroelectronicsやNXP Semiconductorsも同じようにCortex-M3ベースの製品をリリースしていますが、彼らは同時により低価格なCortex-M0ベース製品も用意しています。例えば最初の製品はCortex-M3ベースで構築したとして、次により低価格品が必要になったら、Cortex-M0ベースの製品に切り替えるということが可能ですし、その場合ソフトウェアの互換性は保たれます。ところがKinetisの場合、より低価格あるいはローパワーという場合、ColdFireなり8bitのFlexisのソリューションに切り替えることになり、これはソフトウェアの互換性という観点からはやや難しい様に思えるのですが?

R:私が知る限り、顧客はプロジェクトごとに利用するMCUを選定しているようだ。で、プロジェクト間でリソースの共有は余り行われていないケースが多い。この結果、例えばある大手企業の場合、ある部署ではPowerPC、別の部署はCortex-M0、更に別の部署はCortex-M3、もっと別の部署はColdFireといった具合だ。こうした部分はPCビジネスとはまた違っており、なので私自身は(そうした非互換性が)大きな問題になるとは思っていない。我々は既に膨大なColdFire製品のポートフォリオとPowerPC製品のポートフォリオを持っており、そして多分ARMについても業界で最大の製品ポートフォリオを持つことになると思う。Kinetisについても、様々な価格やパフォーマンス、機能を網羅する形のポートフォリオを提供できるはずだ。

現時点でMCUの大半は8bitないし16bitだ。これは安定したマーケットで、価格も低い。我々はこのマーケットにPower、ColdFire+、Kinetisといった32bitのアーキテクチャを持ち込むことで、マーケットをリードできるポジションを掴みたいと思っている。

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インデックス

目次
(1) 多彩な選択肢を提供することでMCUのマーケットリーダーに
(2) MCUで重要な事は、ニーズにあった動作する製品を出荷すること
(3) IPOを再び行う可能性はあるのか
(4) 「死に物狂い」こそ顧客との関係を築くために必要なこと
(5) ポジションを掴み、それを逃さない戦略を続ける
(6) 劇的な「革命」が2011年中にデジタル書籍のマーケットで起きる
(7) グローバルでのサポートを強みに顧客にソリューションを提供

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