上半期だけで1,000万件もの新たなマルウェアが出現

「McAfeeの最も重要な使命は、実績に裏付けられた包括的なテクノロジを投入し、インターネット上に存在するさまざまな脅威からユーザーを守ることです」と語るのは、米マカフィーのコンシューマグループでエグセクティブバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーを務めるトッド・ゲブハート(Todd W.Gebhart)氏だ。

同氏によると、インターネット上の脅威は日々増加し続けており、上半期だけで1,000万件もの新たなマルウェアが出現。個人情報の盗難が相次いでいるほか、検索エンジンからは800万もの新たなリスクを持つWebサイトが見つかっている現実もあるという。また、スマートフォンだけでなくテレビやビデオレコーダーなど、インターネットへ接続できる機器が増えているのも軽視できない点だ。

「最近はPCだけでなく、スマートフォンをはじめとした各種デバイスを通じてインターネット上のサービスが利用されています。こうした背景から、McAfeeでは最新技術を搭載した「McAfee SiteAdvisor」などでWebサイトの脆弱性を検知/防御する一方、WindowsをはじめLinux/Symbian/iOS/Symbian/Androidといった各種モバイルテクノロジに対する防御機能も充実させているのです」と、ゲブハート氏は語る。

米McAfee コンシューマグループ エグセクティブバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーのトッド・ゲブハート氏

クラウドベースの最新技術でユーザーをリアルタイム保護

こうしたMcAfeeの考えは、同社が8月26日に発表した最新の個人向けセキュリティソフト「マカフィー トータルプロテクション」「マカフィー インターネットセキュリティ」「マカフィー アンチウイルスプラス」にも反映されている。

具体的には、従来製品で用いられていたインターネットベースのセキュリティ解析基盤「McAfee Artemis Technology(Artemis)」が、最新テクノロジ「Hermes」を有するクラウドベースの「Global Threat Intelligence」へと進化したことが挙げられる。これはコンシューマユーザーに対して、インターネット上におけるリアルタイムな保護を実現するもの。

「McAfeeは現在、全世界で1億2,000万人のユーザーから支持されており、彼らの協力によって毎月数百万という膨大な量のセキュリティ情報が収集/分析できます。これらをクラウド上のデータベースに集約することで、ユーザーに対して低負荷かつリアルタイムなブロックを実現できるわけです。従来製品で同レベルのセキュリティを実現するには、シグネチャファイルが格納されたデータベースの使用が必要不可欠でしたが、最新技術では疑わしいデータを発見した際にエンドポイントへ素早くブロックコマンドを発行し、すべてのユーザーをリアルタイム保護するという、業界でも画期的な手法を採用しています」(ゲブハート氏)

こうした最新技術を提供する一方で、ゲブハート氏は「私たちが提供するのはあくまでもツールですので、利用側が正しく使わなければ意味を成しません。特に最近では、PC以外のセキュリティも重要ですね。スマートフォンや家電などデバイスによって危険度は異なりますが、必ず情報漏えいのリスクが存在します」と、ユーザー側の意識向上も必要だと語る。そこでMcAfeeでは、セキュリティに対する啓蒙活動を推進すると同時に、ユーザーがより簡単に利用できる製品の開発を通じて、安心かつ安全なインターネット環境を提供していくそうだ。

今後もリーディングカンパニーとして高度なセキュリティを提供

Intelによる買収について質問を向けると開口一番、「とてもエキサイティングな出来事だ」と答えたゲブハート氏。「Intelの子会社になっても、あらゆるプラットフォームをサポートします。もちろんAMDもね(笑)」

また、8月19日にIntelがMcAfeeを76億8,000万ドルで買収すると発表した点についてゲブハート氏は「ハードウェアとソフトウェアのテクノロジを共有することで、従来よりも高レベルなプロテクションの実現に加え、最新デバイスに対するテクノロジをスピーディーに提供できるようになります」と語る。

その一例として、ユーザーの使用率が少ない夜間に自動でPCを起動し、プロテクトをアップデート後にスリープ状態へ戻す「ウェイクアップアラート」技術を紹介。これにより、ユーザーはアップデートを意識することなく常に最新のプロテクションを使えるほか、企業ユーザーの場合はセキュリティ強化と同時に、消費電力や運用の手間を削減できるといったコストメリットも得られるという。

最後にゲブハート氏は「法人形態こそIntelの100%子会社となりますが、McAfeeでは今後も業界のリーディングカンパニーとして、すべてのプラットフォームに対する高度なセキュリティを提供し続けていきます」と、自信に満ち溢れた表情で語った。