セキュリティ専業ベンダーとして、ハードウェアとソフトウェアの提供により包括的なセキュリティを提供するチェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ。同社の製品は日本企業でも支持を得ている。

先日、Check Point Software Technologies アジア太平洋セールス担当副社長 Itzack Weinreb氏に話を聞く機会があったが、日本におけるビジネスついて深く聞くことができなかった。今回は、日本ビジネスの現状、日本市場で人気があるアプライアンスビジネスについて話を聞いた。

Check Point Software Technologies アジア太平洋セールス担当副社長 Itzack Weinreb氏

ノキアの買収で日本の売上は増加

同氏によると、日本はアジア太平洋の一市場であり、2年前までは売上も小さかったという。しかしここ2年ほど、アジア太平洋地域は拡大しており、その成長率は150%に及ぶ。その理由は、「顧客のニーズにこたえる製品を提供しているから」と同氏。

同社は「Software Blade」という単一のプラットフォーム上にセキュリティ機能をモジュールとして追加することができるアーキテクチャを提供している。同アーキテクチャの下では、顧客は必要なセキュリティ機能だけを購入し、その分のコストだけを支払えばよい。

こうしたなか、日本法人を1997年に創立して以来、日本のビジネスは順調に伸びており、ノキアのセキュリティ・アプライアンス部門を買収したことがさらに大きなインパクトを与えたという。「1億ドル以上の売上も不可能ではない」と同氏は話した。

また同社は、顧客の財政状態に応じて支払い方法を変更するといった柔軟な仕組みも持っており、「景気がよくない今こそ、日本のユーザーにも当社の柔軟性を活用してもらいたい」と同氏はアピールした。

同氏はさらに、製品を購入した後のサポートを重視する日本のユーザーに向けて、ダイレクトサポートサービスも提供が開始されたことを付け加えた。

ハードウェアベンダーとの提携も積極的に実施

次に、日本市場で根強い人気があるアプライアンスについて聞いたところ、同社の強みとしては、「ハードウェアとソフトウェアをワンストップで提供できること」、「他社に比べて製品のラインアップが豊富なこと」が挙げられた。

同社は8月に「Series 80アプライアンス」を発表している。同製品はSoftware Bladeアーキクテチャに対応しているため、、VPN、アンチウイルス、URLフィルタリング、アンチスパム & E-mail セキュリティといったさまざまなセキュリティ機能を搭載することが可能だ。

前述したノキアのアプライアンスは現在「IPアプライアンス」として提供されているが、同社を買収してから売上が伸びている。

同社のアプライアンスとしては、IPアプライアンスのほか、UTMアプライアンス「UTM-1」「Power-1」、仮想化アプライアンス「VSX-1/VPN-1 Power VSX」などがある。

なお、同社はハードウェアを提供しているからといって、ハードウェアベンダーと争う姿勢はとっていない。例えば、同社はIBMと提携しており、チェックポイントのソフトウェア製品をIBM System xサーバはIBM BladeCenterに組み込んで提供するといったことも行っている。

今月7日には、クロスビーム・システムズ・ジャパンと提携し、同社のハードウェアを採用した統合アプライアンス・ソリューションをリース形式の月額料金体系で提供するという発表が日本で行われた。

今年8月に発表された「Series 80アプライアンス」

UTMという観点から見ても、同社のSoftware Bladeアーキクテチャが果たす役割は大きい。例えば、同アーキテクチャでは、ファイアウォールのスループットに大きなインパクトを与えると言われているアンチウイルスの機能に割くCPUの割合を10%に抑えるといった設定も可能だ。

そのほか、同社は仮想化環境を保護するアプライアンスを提供してきたが、今年3月には仮想デスクトップ構築ツール「Abra」を提供し、仮想化に関する製品のラインアップを強化している。

仮想化、クラウドコンピューティングの利用が広がる今日、セキュリティの「Simple」「Easy」を追求する同社がどのような製品を提供していくのか興味深い。